こんにちは。『livedoor Blog』のモバイル版を担当している早岡と申します。ほぼ新卒でライブドアに入社して、もうすぐ4年目を迎えます。

ディレクターという職種に限らず、誰にでも「絶対に失敗が許されない局面」を迎えるときがあるのではないでしょうか。そんなときは「失敗したときのことを考えると夜も眠れない……」という状況に陥り、マイナス思考になりがちですよね。

私はライブドア入社以前に、受託業務で1年半ほどテレビ局のケータイサイト開発に携わっていました。当時はとりわけ「失敗が許されない」状況を経験する機会が多かったように思います。今回は、その経験から学んだトラブル対応の心構えについてお話をしたいと思います。

「絶対に失敗が許されない」その裏側には、入念な事前テストと、最悪の場合を想定した複数のトラブル対応フローが用意されています。今ではすっかり当たり前となった「いますぐケータイから参加してね!」という、テレビ番組とケータイサイトの連動を例に、お話を進めていきたいと思います。

想定されるトラブルの一部として……

・突然、番組の開始時間が変更になった
・番組途中で臨時ニュースが入った
・テストでは正常に動いていたプログラムが、本番時に突然動かなくなった
・アクセスが集中しすぎてサイトにアクセスできない

上記のトラブルは私が実際に経験したことです。実際その場面を迎えてみないと、何が起こるかはわかりません。「そんなのありえない!」といったトラブルが発生することも珍しくないのです。

ですから、時間変更に柔軟に対応できるプログラムや、緊急時に表示させるメンテナンス画面の準備など、「もしも」のときを考慮したサイト作りが常に求められていました。テレビ局の場合、番組関係者だけではなく、スポンサーなどにも迷惑がかかることになります。それゆえ「絶対に失敗が許されない」というプレッシャーは非常に大きかったです。

ケータイサイト開発を担当していた1年半の間、幸いにもクリティカルな失敗は一度も起こりませんでした。しかしそれは運が良かったからではなく、入念なテストと「たとえ想定外のことが起きても対処可能なリスク管理ができていたから」だと思っています。

私はこの経験から、「絶対に失敗が許されない局面」では、事前の入念な準備はもちろんのことですが、むしろ「失敗してしまった場合の対応策」がキチンと考えられているかが大切だと学びました。「被害を最小限に食い止めるにはどうしたらいいか」「最悪のケースをどのくらい想定できるか」といったリスク管理は非常に重要であり、そこがディレクターの力量が問われる部分ではないかと思っています。

もちろん、最悪ケースの想定が杞憂に終わるのに越したことは言うまでもありませんが、あらゆる角度からサイトを見ることをできる力が、ディレクターには求められているのではないのでしょうか(過剰な心配は無用ですが)。

私自身、最初のころはトラブル時にオロオロしているだけというときがありました。プログラマーが必死に対応しているのを横目で見ているしかない状況に局面し、苦い経験を何度もしました。そんなとき、「自分はなんて無力なんだろう……」と痛感したのを覚えています。

しかし、プログラマーから「こういうことが起こった場合どうするの? ちゃんと考えてるの?」と質問攻めを受け、数多くの経験を重ね、ようやく「失敗できない場合に何が求められるか」が理解できたような気がしています。

これからも、数々の「想定外」に遭遇するかと思いますが、「ピンチはチャンス」のごとく、プラス要素として吸収していければいいな、と思っています。