こんにちは、『livedoor Blog』の担当ディレクターをしている久野(くの)です。

今回は、実際にどのようにlivedoor Blogへの機能追加が行われているのか、一例を取り上げてその流れを簡単にご紹介します。

先月の7月27日にリリースされたブログ投稿フォームからのYouTube検索機能についてお話します。
参考:YouTubeの検索機能を追加しました

最近、「livedoorへのご要望」にYouTubeの検索やブログ貼り付けの機能が欲しいという要望を多数いただくようになったことと、ライブドアでもYouTubeに動画をアップするような機会が増えたこともあり、ブログの定例会議においてYouTube検索機能の追加が決定しました。
参考:http://jp.youtube.com/livedoorcom

■今回のディレクターとしての仕事
1.要件定義
最初に、YouTubeのAPIではどんなことができるのかということを調査し、そこからこのYouTube検索機能で何を実現するのかということを決めていきます。開発者用サイトの例を見れば分かるとおり、APIを使って複雑なことをやろうと思えばいくらでもできますが、このYouTube検索機能では「ブログでYouTubeの動画を紹介する」ことのみにフォーカスし、特別なスキルや知識がなくても簡単に利用できるものを目指すことにしました。

2.構成書の作成
サイトの構成書を作成します。主にPowerPointを使用して、必要な要素とその配置をフレームで表現します。ここでは、簡単に利用できるようにするにはどんなインタフェースがいいのかということも、本家YouTubeや他のサイトで利用されているYouTube検索などを参考にしつつ考えていきます。
この構成書はプログラマーやマークアップエンジニアに説明するときの資料としても利用します。
構成書1.1
3.実装後のデバッグ作業
1で出した要件定義を元に、プログラマーに検索機能の部分を実装してもらい、2で作成した構成書のイメージを元にマークアップエンジニアにコーディングしてもらいます。制作するものによってはデザイナーの方に実際のものに近いラフデザインを作成していただくこともありますが、今回は構成要素が少なくシンプルなため省略しています。
その後、ディレクターは実装・コーディングされたものをデバッグ(動作確認)しながら、バグフィックスや細かい点の調整などをそのつどBTSやIRCを通して連絡して進めます。

4.本番リリース

デバッグ作業が終わり、開発環境で問題なく動作していると判断できたらいよいよ本番リリースに突入します。今回のYouTube検索機能の場合は、プログラムやHTML、CSS、画像ファイル、JavaScriptなど多くの修正・追加が行われたので、本番環境で影響が出ないようにうまく順序を組み立てて本番化作業を行っていきます。

以上が、YouTube検索機能追加のディレクターとしての作業です。
実際に制作していくと、構成書作成の段階で考えていたものに問題点が見つかったり、もっとうまい方法を誰かがひらめいたりすることもよく起こります。
今回の例では、検索結果からYouTubeの動画を確認しようとした場合に、いちいち別ウインドウを開くというのは実際やってみると煩雑であまりスマートではないと感じられたので、ほぼ完成という段階で急遽Videoboxを採用しようという話になりました。私自身、Videoboxの元となっているLightbox JSは個人的に使ったことがあり、比較的簡単なコーディングで導入が可能なことを知っていたので、採用を決定しました。

企画ごとに実現すべき目標や問題となる部分も変わってきますので、Webディレクターには完全なマニュアルのようなものは存在せず、いつも臨機応変な対応が求められます。また、知識があるとその分できることの選択肢も広がってきますので、新しいWeb業界の技術やトレンドなどもしっかり把握しておく必要があります。