こんにちは。『livedoor スポーツ』を担当している F です。おもにスポーツ関連のニュースや試合速報、あるいは画像アーカイブなどを扱っている情報サイトを担当しています。その立場でスポーツを取り巻くメディア業界について、少し思うところをつづらせてもらえればと思います。

国内でスポーツを扱うメディアは、この数年のあいだに激変しました。変化の方向性は、あまりポジティブなものではありません。スポーツ紙や雑誌といった紙媒体の売行きが大幅に落ち込む一方、テレビでもプロ野球やサッカーなどスポーツ中継の視聴率が低下しつづけています。先日、物議をかもした一連の“亀田一家騒動”も、根をたどればスポーツ中継の行き詰まりを抜きにして語ることはできません。

いうまでもなく、背景にはネットメディアの存在があります。私たちの運営する無料のスポーツサイトが順調にトラフィックを伸ばしていけばいくほど、既存メディアがあおりを食っている実態があります。なかでもスポーツ関連雑誌の低迷は顕著。ここ1年間だけでも大手出版社でも廃刊・休刊といった話が相次いでいますが、この流れはまだもう少し続きそうです。

だから「ネット媒体は安泰」かというと、そうかんたんな話ではありません。収益性の高いビジネスモデルの構築もさることながら、さらに根の深い問題として“情報源”の問題が立ちはだかってきます。簡単にいってしまうと、既存メディアに頼らなければ、ユーザーのニーズを満たすコンテンツがそろいづらい現状があります。

既存のメディアにはこれまでに構築したネットワークがあり、過去の実績に応じて、スポーツイベントや団体の独自取材も許されています。場合によっては、ライツ事業も行なうこともあります。その結果、記事や画像、あるいは動画も含め、蓄積されている素材のボリュームは膨大だったりします。ところが、たいていは、これまでのビジネスモデルに固執するあまり、そういったストックをデジタルコンテンツとして活用することにあまり積極的ではないようです。ビジネスモデルが破綻しつつあるものの、膨大なコンテンツを持つ既存メディア。以前、出版に携わっていた自分の目から見ても、とてももったいないと感じます。

私たちのようなスポーツサイトが顧客を拡大するひとつの大きな道すじとして、こうした既存メディアとの提携は有効と感じています。ポータルサイトの持つトラフィックやノウハウに、既存メディアの持つコンテンツ。サービスとしての相性はよく、即効性もある。実際にそうした取り組みを進めているポータルサイトもあります。ただ、そこに関わった人間の話を聞くと、ネットとリアル媒体との間にある“文化の隔たり”にいつも苦しめられているようです。提携と解消。試行錯誤の繰り返しで、まだ成功例はないといえるかもしれません。

とはいえ、スポーツメディア全般でネットを使ったビジネスモデルの再構築は不可欠。とすれば、いずれそうした隔たりも解消するのでしょう。またより早くその垣根を解消した媒体が生き残っていくと思います。『livedoor スポーツ』でも、そうした取り組みは積極的に続けていきたいですね。