livedoor グルメ』と『本が好き!』の根岸です。今回は「SEOは単なる HTML の書き方テクニックではない」ということを中心に、極私的なSEO論をしていきたいと思います。

■「検索上位にでない! なぜか!」「坊やだからさ」
 あるキーワードの検索に対して、自分のウェブページが検索結果リストの上位に出るようにチューニングすることを「SEO=Search Engine Optimize」というのは、みなさんご存じかと思います。その基本テクニックとして、検索でヒットさせたいキーワードを titleタグや hタグや strongタグで囲うということをしている方も、多くいるのではないでしょうか? それゆえ、hタグだらけのページなんてのも、少なくありません。そんなことをしても効果はほとんどないはずなのですが。

 逆に「うちは FLASH 中心のサイト(※)なのに、検索上位に出まくりなのはどういうことよ!?>SEO関係者」というブログをみかけたこともあります。なぜ、そうなるんでしょう?

■「hタグなんて飾りです! 偉い人にはそれがわからんのです!」
 Googleの検索結果リストの上位に出れば「広告料金をかけずに利用者を集めることができる」ということに、僕が気がついたのは2000年の1月でした。日本で最初に SEO手法を紹介した本『検索にガンガンヒットするホームページの作り方』が発売されたのが2003年の4月です。僕がやりはじめたころには「SEO」という言葉すらありませんでした。現在では当たり前になっている HTML の最適化についても知らなかったのですが、とにかく当時はライバルがいませんでした。

 僕が作った『東京グルメ』(現在の『livedoor グルメ』)は、Googleでおもしろいように上位をゲットして、宣伝ゼロで急速にPVを増やしました。最初の『東京グルメ』は tableタグでガチガチにレイアウトを組んで、hタグも使っていない、ひどい HTML でしたが、検索には強いサイトでした。その後、上記の本を読んで hタグなどによる SEO も導入しましたが、順位がまったく変わらなくてガッカリしたのを覚えています。最初の東京グルメでやった(いまでいう) SEO の施策は以下のとおりです。

<意識的にやったこと>
・動的に生成されるすべてのページに、静的に見える固有の URL を与えて、ロボットがクロールするようにした。
・すべてのページをロボットが訪れるように、トップ→分類別リストページ→お店詳細ページという構造を作った。
・metaタグは、いちおう設定した。
・当時は当たり前だったフレームを廃した。

<無意識的にやっていたこと>
・お店詳細ページの下にユーザーのコメントを並べることで、あるお店に関するテキスト情報密度が濃いページを作った。
・「300のカテゴリ」×「24のエリアと1200」の駅の順列組み合わせによる膨大なリストページから詳細ページにリンクすることで、膨大な内部被リンクを発生させた。
・リストページと詳細ページの両方に固有URLを持たせることで、掲示板などからリンクされやすくして外部被リンクを増加。
・すべてのお店詳細ページの titleタグに店名を出すようにする(ロボット対策ではなかった)。
・hタグは使わなかったが、ビレッジセンターの『正しいHTML4.0』を読んで、きれいな HTML を心がけた(いまから見るとひどいもんだけど!)。
・『ぐるなび』など、外部のリソースへも積極的にリンクを張った。

<やらなかったこと>
・hタグや strongタグを重要なキーワードに使うこと。
・hタグと pタグによるページ内の文章構造の階層化。
・ページランク上位のサイトからリンクをしてもらうこと。
・その他、最近の SEO施策。

■「白い SEO が勝つわ」「ララァは賢いな……」
 いま、こうして振り返ってみると、「利用者のために」と思って(SEOを意識せずに)やったことが、結果的に (無意識的)SEO として大きな威力を発揮したことがわかります。上記は7年前の話ですが、僕の体感からすると、いまでも大枠は変わっていないはずです。
 
 検索エンジンの目的は常に、ユーザーが求める情報にもっとも適したページを上位に表示することです。HTML のタグとか、上位サイトからのリンクはページの内容を分析する手がかりのひとつとして、いまのところ重視されていますが、結局はたんなる「手がかり」にすぎません。
 検索エンジンの技術は年々、人工知能に近づいているといわれています。究極に進化した検索エンジンは、HTML のタグやリンクポピュラリティなど関係なく、内容で判断して適切なページをリコメンドするようになるでしょう。
 僕にとって、SEO とは、以下のことにつきます。

(1) インターネットは膨大なニッチの集積であることを常に意識し、そのニッチを幅広く取り込む仕組みを作る。
(2) ひとつひとつのニッチニーズに対して、濃い情報が詰まったページを作る。

 ユーザーも検索エンジンも、日々賢くなっていきます。それに対して、自分の(ウェブページの)価値を無理に大きく見せるような、騙しのテクニックとしての SEO は、結局廃れていきます。「ユーザーにとって良いページを作る」という当たり前のことに精進することが、究極の SEO になっていくはずです。

 とはいえ、HTML はどんなに汚くても問題ないという話ではないです。個人的には、機械に読みやすいセマンティックウェブとダイナミックなユーザビリティの両立こそ、SEO の最重要要素になると考え、今更ですが XHTML と DOM Scripting をイチから勉強中です。

と、偉そうなことを言いつつ、僕も結構世の中の情報や状況に惑わされて迷走することがあるんですが。「認めたくないものだな、若さ故の過ちというものは……」。

※FALSHについて
 検索ロボットは、FLASH や PDF でも、その内部のテキストデータを読んでくれますから、有意義な情報が詰まってて、有効な被リンクが多ければ検索上位に出ても不思議はありません。