こんにちは。『livedoor フォーチュン』(占い)を担当しております、ナガナガと申します。ライブドアでは、さまざまなオープンソースソフトウェアを利用してサービスを提供しています。

オープンソースソフトウェアとは、「自由に利用・コピー・再配布・改変が可能なソフトウェア」のことです。オープンソースという言葉からも想像できるように、ソフトウェアのソースコードを入手することができます。無料で利用できるという意味での「フリーソフトウェア」と混同される方も多いですが、無料であっても再配布や改変を許していないライセンスのソフトウェアはオープンソースソフトウェアではありません。また、オープンソフトウェアは無保証であり、利用者の自己責任で利用する必要があります。セキュリティアップデートやサポートを受けられるかわりにお金を払う必要があるソフトウェアとは対照的だと思います。ちなみに、フリーソフトウェアの「フリー」は「無料」という意味ではなく「自由」という意味です。

「自由」についての説明はこちら。


そこで今回は、オープンソースソフトウェアのライセンスについてごくごく簡単に説明をしていきたいと思います。ライセンスについては、かなり多くの数があるので有名なものをいくつかピックアップして説明していきます。まずは「いろは」の「い」ということで、細かい部分には言及せずにオープンソースソフトウェアのライセンスに興味を持っていただけるきっかけになれば幸いです。

■ オープンソースソフトウェアのライセンスの種類
現在多くのオープンソースソフトウェアが存在し、そのライセンスもさまざまです。それらのライセンスはソフトウェアを開発・配布している企業や団体が公開しています。どのライセンスも「無料で利用」、「コピー・改変・再配布可能」、「無保証」といったオープンソースソフトウェアの必須条件を満たしています。ただし、再配布や一部改変した派生ソフトウェアの公開において、適用しなければいけないライセンスが決まっているものもあります。とはいえ、皆さんが自分でダウンロードしてきて個人的に利用するぶんには、あまり気にすることはないかと思います。それでは、数あるオープンソースソフトウェアのライセンスのなかでも、有名なものをいくつか紹介します。

GNU General Public License (GNU GPL)

『GNU GPL』は『Free Sofrware Foundation』(FSF) という団体が公開しているライセンスです。 FSF は「誰もが自由にソフトウェアを利用できるべきである」という思想を掲げてフリーソフトウェア運動という活動を行っている団体で、リチャード・ストールマンが設立しました。『GNU GPL』のソフトウェアを再配布する場合や改変した派生ソフトウェアを公開する場合に、必ず同じ『GNU GPL』で配布しなければならないという決まりがあります。これは、派生ソフトウェアの配布者がオープンソースではないライセンスのもとで再配布してしまい、ソフトウェアが自由でなくなってしまうことを防ぐためにある制約で、「コピーレフト」という考え方がもとになっています。

※コピーレフト:著作権を保持したまま、二次的著作物も含めて、すべての者が著作物の利用・再配布・改変できなければならないという考え方(引用:ウィキペディア コピーレフトより

BSD ライセンス

『BSDライセンス』は『FreeBSD』というオペレーティングシステムのライセンスとして有名です。無保証であることとソフトウェアの著作者を表記する二つの条件が規程されています。再配布や派生ソフトウェアの配布時に、『BSDライセンス』以外のライセンスを利用しても良いという点で、先に述べた『GNU GPL』と大きな違いがあります。『GNU GPL』はその背景にあるコピーレフトの考え方や「すべてのソフトウェアは自由であるべきである」という思想の過激さから再配布の条件が厳しくなっていますが、『BSDライセンス』にはそのような条件がないため制限の緩いライセンスと言えるのではないでしょうか。

MITライセンス

『MITライセンス』はアメリカのマサチューセッツ工科大学で開発された『X Window System』(X11) のライセンスです。大学の名前をとって『MITライセンス』と呼ばれています。 X11 のライセンスと呼ばれることもあります。『BSDライセンス』と同内容のライセンスです。

Artistic License (Perl のライセンス)

『Artistic License』は、ライブドアのサービスで利用している『Perl』というプログラミング言語のライセンスです。『GNU GPL』とほぼ同内容のライセンスですが、改変した派生ソフトウェアを再配布する場合の著作権の取り決めの点で微妙な違いがあります。また、『Perl』そのものはこの『Artistic License』と『GNU GPL』とのデュアルライセンスという形式をとっており、利用者がどちらか一方のライセンスを選択して利用できます。

パブリックドメイン

パブリックドメインとは著作権を放棄した状態のものをさします (ソフトウェアに限りません)。パブリックドメインとして配布されるソフトウェアには利用や再配布に関する何の制限もありません。したがって、もっとも制限が緩いライセンスであると言えます。パブリックドメインとして配布すると作者本人の権利も主張できなくなるので、公共のものとして寄贈する場合など道徳的な観点からこのライセンスが利用されることが多いようです。

ですが、パブリックドメインは利用には注意が必要とされます。それは、日本の現行の著作権法において「著作権の不行使特約」というのは不特定多数を対象には出来ないためです。そのため契約という観念ではなく、著作者の単なる著作権放棄の意思表明に過ぎず、事実上の著作権放棄といえるかもしれませんが、法的において著作権放棄という効果は発生しないのです。たなみに「著作権の不行使特約」とは、「著作権を行使しません」っていう合意をする契約のこと。以上、簡単にではありますが、オープンソースソフトウェアのライセンスの一部について説明しました。

■ライブドアがオープンソースソフトウェアを利用する理由
最後に、ライブドアがさまざまなオープンソースソフトウェアを利用してサービスを提供している理由について、少しお話したいと思います。

ひとつの理由として、経済的な理由があります。小規模なウェブベンチャーにとって、巨額のライセンス料金と無縁のオープンソースソフトウェアは、コストをかけずに商用の高価な製品に引けを取らない高品質のソフトウェアを自由に利用できる点が魅力です。

また、ソースコードが開示されているので、どのようなことが行われているのかが理解することができますし、不具合が生じた場合にすぐに対応できるというメリットもあります。「使っている製品がもし新しいバージョンをださなくなってしまったら」ということを考えると、自分たちでその後の開発を続けられるという安心感があるのも、理由のひとつにあげられるかと思います。

若くて勢いのある組織には勤勉で有能な人物がいて、彼らが磨きをかけた技術力によってライバルに先んじることができます。自助努力を要するオープンソースソフトウェアは個人や組織の能力向上にも貢献しているのでは? と思ったりもします。


■関連リンク
オープンソースの定義とライセンスを理解する - ITアーキテクト [IT Architect]:

GNU プロジェクト - フリーソフトウェア財団 (FSF)

OSI承認ライセンス 日本語参考訳

ウィキペディア

以下を修正いたしました。
・BSD ライセンス
最後の一文冒頭にある、『GNU GPL』は『FreeBSD』から修正いたしました。