こんにちは。
livedoor でディレクターをしている有賀です。

今回のお題は、「部門横断型プロジェクト」についてです。

ライブドアのメディア事業部の組織構造は、ピラミッド型組織というより、横のつながりを重視するネットワーク型の組織と言っていいと思いますが、その効果を最も高く感じられる一つが、今回お話しする「部門横断型プロジェクト」です。
異なるセクションにいる人材や意見を集約して行われる新サービス開発もそうですし、既存のサービス同士の連携や組み合わせで一つの活動を行う場面でも、風通しの良さや隔たりのない部分が、奏功するからです。

部門横断型プロジェクトといっても、サービスや商品の開発といった対外的に評価されたいものだけでなく、制作規定(レギュレーション)策定や工程の検証、オフィス設備やイベント実行といった社内的なものまで、広範囲に及びます。今回は、ディレクターBlogということで、部門横断的な制作ディレクション業務の一部を紹介します。

【01】『年末年始ライブドア感謝祭』にみる部門横断企画の概念


ポータルサービスでは、季節や年の替わり目、イベント開催や記念日などに合わせて、通常のサービス以外にキャンペーンを行うことが多い傾向にあります。これは特別な時期に行うことでの集客や告知、販売などのほかに、ユーザーへの感謝を表す機会と捉え、賑やかな装飾や企画、プレゼントを用意するケースを増やしています。
いま、行われている『年末年始ライブドア感謝祭』もそのコンセプトで、l多くの部門連携により実現しています。

具体的には、各コンテンツに散らばったマークを集めて応募することでプレゼントを獲得できるという、言わば「ウェブ版スタンプラリー企画」なのですが、これは全社的な協力無くしては実現できない企画です。
livedoorでは、各サービスの担当者が分かれていますので、例えば、30個のコンテンツ連動では最大30人のディレクターに協力を要請しなくてはいけません(実際にはひとりのディレクターが複数のコンテンツを担当していますが)。これだけでも大変なエネルギーを使います。

この企画進行を例に、アプローチの方法を紹介します。


【02】アプローチ 〜方向について〜


全社的な企画は、大きく分けて3つの「方向」へのアプローチが設定されます。

第一に、メディア全体の戦略と関係し、また影響範囲が大きいので、上層部への意図説明が鍵になります。


ライブドアでは、企画者自身が、社長を含めた席で各部門長(マネージャー)にプレゼンを行うことで、迅速な意志決定が可能になっています。この会での企画書には、企画の主旨、効果予測、予算(開発・運用工数含む)の3ポイントが端的かつ明確に書かれている必要がありますが、特に、予算と効果に重点が置かれます。
また、営業部門や広報部門にも、このタイミング直後の早めの告知が、プロジェクトのスムースな進行を助けます。


第二に、実際にもの作りに携わる開発部門への説明となります。


ここでいう開発部門とは、プログラマー・デザイナー・マークアップエンジニアといった、実作業部隊で、彼らなくしては如何なるサービスも展開できません。ですから、丁寧で細やかな伝達が求められます。ここでの伝達ロスが、プロジェクトの成否を左右すると言っても過言ではないでしょう。
用意する企画書においては、予算や効果よりも、仕様やイメージ、スケジュールの綿密さが期待されます。ミーティングも、想定するストーリーはもちろん、「こんな場合はどう動くのか?」「悪意のあるアクセスについての対応は?」といったイレギュラーのケースについて、説明を求められるので、必然的に、会議は説明型から討議型に、熱を持ちはじめます。しかしながら、この場での意見交換が、より深みのある企画への進化に絶対不可欠なものなのです。開発現場からの意見や疑問を踏まえないで、うまくいくプロジェクトは無いと思っていますので、この時間を十分に確保することが、良い企画設計と言えると思います。

第三に、協力をお願いするディレクターやサポート部門への要請です。


これは実は、第二の説明より後というわけではなく、同時並行に位置付けられる工程です。特に、同じ立場のディレクター陣には、双方のメリット・デメリットをより早い段階で包み隠さず共有することが大事です。各ディレクターは、担当するサービスの集客や売上げといった結果に、責任を持っていますので、立ち上げる企画が進路妨害をして一方的にユーザーを奪うものであったり、イメージを損ねるものであっては協力してもらえません。ですから、ユーザーの思惑や進路を邪魔しないか、マイナスイメージを与えないか、といったことが、ケース毎に徹底的に討論されます。つまり、用意する企画書も、主旨(コンセプト)や意義について違和感のあるものでは問題になるのです。
また、「こういうユーザーにはどう対応するのか?」といったことは、サポート部門担当者との意見交換によって磨かれていきますので、これも企画設計の早い段階で協議することが重要です。


【03】アプローチ 〜方法について〜


アプローチについては、「方向」以外に、「方法」も熟考を求められます。全社横断企画などの規模の大きいプロジェクトは、大きく分けて3つのアプローチ方法をうまく使い分けることが肝要です。

(1)全体への説明


最も広い範囲に早く伝える方法では、全体会議やメーリングリストが該当します。
これらは、一斉に同じ情報を素早く伝える利点がある反面、一方通行な物言いとなるため、リアクションが読めませんし、聞き逃し、読み逃しのがあると対応できません。また、受け手によって感触が異なるような機微的なことや意見交換すべきことには不向きです。ですから、決議事項や告知のみの情報がメインとなります。
プロジェクトの進捗報告など、無くてはならないものもありますが、いずれにしても、他の方法と組み合わせて活用することが重要です。

(2)作業依頼時の説明


特定関係者にのみ伝える方法では、『fixdap』(フィックスダップ)などのタスク管理ツールが活用されます。
文章技法でもある「5W」(Who[誰が]、What[何を]、When[いつ]、Where[どこで]、Why[どうして])を明確にすることで、プロジェクトのコミュニケーションロスを防ぎます。また、アーカイヴすることで、再読やプロジェクトの途中参加者や中座するケースにも、ロスを最小限に抑えることができます。
とはいえ、上記機会やツールだけに頼った、無機質な対応では、良いディレクターとはほど遠いかもしれません。

(3)作業中の会話


個別のコミュニケーションを、タイミングよく盛り込めるか、がプロジェクトの要と言えます。
IRCは、最も利用されるツールの一つです。直線的な実利はもちろんですが、PCを通じてとは言え、雑談からはじまって、「ぶっちゃけ、このプロジェクト、キミにしか頼めないんだよ…!」とか、「あそこ、ちょっと先に見せてもらえると助かるんだけど…」といった感覚的な打ち明け話などをするのに、活用されるケースも多いです。
もちろん、個別のコミュニケーションといえば、実際に会って話すことも大事ですし、これ以上のコミュニケーションはまだ無いと思っています。意志統一を計るときや不穏な空気が流れそうなとき、士気を鼓舞するときなど、実際に席に行って話したり、会議室に呼んだりするのが、遠回りのようで一番近道なことは多々あります。


開発は淡々とシステマティックに進むものと思われがちですが、意外にも潤滑油となるのは、人間くさいアナログなコミュニケーションなのです。

【04】まとめ:企画を信じること、信じてもらうこと


部門横断企画は、一つのサービスを立ち上げる以上に苦労する部分も多いのですが、その分、それでしか実現できない効果があります。そして、そこでしか学べないことも多くあります。
紹介した「3×3のアプローチ(3つの方向と3つの手法の組み合わせ)」は、ノウハウでもスキームでもフローでもなく、そして、常に同時並行で動いていなくてはいけないので、その都度、泥臭い場当たりな部分は否めませんが、それでもなお、部門横断型プロジェクトが意義深く思えるのは、「傍観者をいかに当事者にするか」というトライアルの妙や、「すべてがオートクチュール(一点モノ)」といった醍醐味があるからだと思います。

そして、それらを支えるのは、いつも「人」だということを実感できるので、私は、とても面白いと思っています。
他の人が描いたプロジェクトであっても、それを担い、完遂するためには、企画を信じること、信じきることが、ディレクターのまず最初の仕事かもしれません。そして、それが、関係者の共感を呼び、信じてもらうことに繋がっていくと思っているからです。

ライブドアでは、「livedoorでこんな企画やってみたい!」という好奇心旺盛なアイデアマンを募集しています。