こんにちは。ライブドアでモバイルサイトを担当している伊藤です。モバイルの世界では、モバイル特有のサイト構築に関する技術や、PC のものをモバイルコンテンツ向けに作り直した技術が使われていて、ほとんどの仕様がPCと異なります。今回はその中のひとつである「Flash Lite」について書きます。

モバイル向けの「Flash」である「Flash Lite」は、ところどころで使われはじめているものの、本格的に使われるのはまだまだこれからというのが現状です。ただ、活気を帯びてきている技術の一つで、昨年末、新しいバージョンの「Flash Lite 3.0」が発表されたことは、今後モバイルサイトにおいて大きな意味を持ってくるでしょう。そこで、モバイルディレクターとして最低限、知っておきたいと思うことをまとめてみました。

【01】「Flash Lite」とは

「Flash Lite」はバージョン1.0からはじまり、1.1〜2.0〜(2.1)〜3.0とバージョンアップされており、最新版は2007年11月に発表された「Flash Lite 3.0」です。バージョンアップする度に、できることは増えてきていますが、PC版「Flash」に比べるとまだまだ厳しい制約があります。

※以下、「Flash Lite XXX が搭載されている端末」を「Flash Lite XXX端末」と呼びます。

【02】対応機種について

「Flash Lite」は携帯のキャリア・機種によってバージョンが異なるため、仕様決定には配慮が必要です。ディレクターとしては、どういう対応を取るのか悩むところで、

・3キャリア向けのサイト
・DoCoMo のみのサイト
・au のみのサイト

という分類や

・「Flash」がメインコンテンツのページ
・あくまでメインコンテンツは他にあって、「Flash」はサブコンテンツとして投入する

という分類によっても対応は異なりますが、基本的には下のどちらかの対応になるかと思います。

A:特定のバージョンのみに対応する
(他のバージョンの端末を非対応端末とする)

1)「Flash Lite 1.1」のみ対応

「Flash Lite 1.1」は現状では最も対応端末が多いので、「Flash Lite 1.1」で作ることが一般的です。User Agentで判定をかけて、非対応機種の場合(この場合Flash Lite 1.0端末)、非対応エラーページに遷移させます。

★対応端末:「Flash Lite 1.1、2.0、3.0」端末
★非対応端末:「Flash Lite 1.0」端末
※「Flash Lite」は、上位互換があるため、「Flash Lite 2.0」が搭載されていれば、1.1も1.0も動きます)

2)「Flash Lite 2.0」のみ対応

「Flash Lite 2.0」はDoCoMoで対応していないので、「Flash Lite 2.0」のみを対応とすることはほぼありません。

★対応端末:「Flash Lite 2.0、3.0」端末
★非対応端末:「Flash Lite 1.0、1.1」端末

3)「Flash Lite 3.0」のみ対応

現在はあまり使用されていませんが、「Flash Lite 3.0」の機能を活かしたコンテンツが出てくるとこのパターンが増加するでしょう。

★対応端末:「Flash Lite 3.0」端末
★非対応端末:「Flash Lite 1.0、1.1、2.0」端末

4)「Flash Lite 1.0」のみ対応

「Flash Lite 1.0」はDoCoMoの一部機種でしか使われていません。機能制限が多く、サイズ制限もほとんどの機種で20KBまでと厳しいため、使用されることはほとんどありません。

★対応端末:「Flash Lite 1.1、2.0、3.0」端末
★非対応端末:なし

B:「Flash Lite」各バージョン別に処理を分ける

「Flash Lite 2.0」端末なら2.0のバージョンを、「Flash Lite 1.1」端末なら…。という具合に各バージョンに最適化されたものをUser Agentで判定して機種ごとに振り分けて表示(ダウンロード)させる方法です。

「Flash Lite」はバージョンが異なれば、使える「ActionScriptのバージョン」も異なりますし、ほとんどの場合、サイズ容量もかなり違います。その、各バージョンごとにページを用意するのに等しい手間がかかるので、特別な事情がない限りはこの方法はとりません。ただ、3キャリア向けではなく、au 向けのみのサイトだと、「Flash Lite 2.0」と「Flash Lite 1.1」を作って、それぞれ振り分けるという方法は時々使用されます。

※最後に各キャリアの対応機種をまとめてみました(2008年1月15日現在)。

docomo

DoCoMo は基本的に FOMA 端末以上を想定し、505i、506i、900iシリーズのみ「Flash Lite 1.0」、その他は「Flash Lite 1.1」、905iシリーズだけが「Flash Lite 3.0」です。
※「Flash Lite 2.0」を飛ばして、いきなり3.0になっているところからもモバイルサービスの進化の速さを感じさせます。

au

au は基本的に WIN端末以上が対応で、比較的新しい端末が「Flash Lite 2.0」、それ以外は全て「Flash Lite 1.1」で「Flash Lite 1.0」はありません。

softbank

SoftBank も au と同様で新しい端末が「Flash Lite 2.0」、それより古いものが「Flash Lite 1.1」で「Flash Lite 1.0」はありません。


【03】「ActionScript」に関して

「Flash Lite」の各バージョンでできること≒「ActionScript」の各バージョンでできることです。ですから、「ActionScript」の各バージョンで何ができて何ができないのかを把握しておくと、

「カレンダーFlash 作ろうと思うんだけど、fscommand2( "GetDateDay" );で日付情報を取得し、変数に格納すればいいから、『Flash Lite1.1』以上なら出来そうだね」

というようなことがわかります。
ディレクターとしては実際に「Flash」を操作するわけではないにしろ、「ActionScript」を知っておくと企画設計がスムーズです。日付情報の取得・音量の取得・バイブレータの ON/OFF などができる fscommand2 などいくつか重要なものを押させておくだけで随分違うと思います。

基本的に「Flash Lite 1.0」、「Flash Lite 1.1」は「ActionScript 1」、「Flash Lite 2.0」、「Flash Lite 3.0」は「ActionScript 2」ですが、同じ「ActionScript 1」でも「Flash Lite 1.1」と1.0では使える「ActionScript」が異なったりするので注意が必要です。


【04】「Flash Lite」の利用のされ方

1)「Flashゲーム」、「Flash待ち受け」などコンテンツとしての利用

現状ではコンテンツとしての利用が半分以上を占めているのではないでしょうか。モバイルのゲームにおいて、「Flash Lite」は本当によく使われています。

2)UI での利用

アクロディアの VIVID UI、着せ替えツールなどで使われているような、携帯のUI(ユーザーインターフェース)での利用です。今後はこの利用が増えていくでしょう。

3)サイトトップページでの利用

各キャリアのトップページ・トップメニュー(iMenu、au oneなど)、一部のCP(コンテンツプロバイダー)が運営している公式サイトの TOP ページに見られる使われ方ですが、サイト TOP ページに「Flash Lite」を使っているパターンです。

単純に TOP ロゴをFlashロゴにしている例はいくつも見られますが、こういう形での利用はまだまだ少ないです。例として、「お笑いTV」というサイトの QR コードを載せておきます。

「お笑いTV」
owarai

<メリット>
・サイト全体に統一感が出て見栄えが良く、ユーザーが使いやすい。
・画像表示が早い。

サイト TOP で画像をいくつも置くと、画像の読み込みに時間がかかってしまいますが、「Flash」で表示させる場合は画像を一つ一つ読み込まなくていいので表示速度が早いというメリットがあります。

<デメリット>
・UID (固体識別情報)などのパラメータの引き継ぎなどができない。

各キャリアのトップページ・トップメニューではできていますし、システムで対応すれば不可能ではありませんが、基本的にはできないようです。

・手間がかかる。

HTML/XHTML で作る場合と比べると、更新する際など時間がかかり、確認に手間がかかることがあると思います。

・SEO (Search Engine Optimization) 的に不利。




【最後に】今後の「Flash Lite」はどうなるか

今後「Flash Lite」の使われ方において、ポイントとなるのは「Flash Lite 3.0」でできるようになった Flvファイルの再生機能を活かした動画との組み合わせでしょう。「Flash Lite 3.0」搭載端末は DoCoMo の905iシリーズのみですが、au、SoftBank でも2008年春モデルから「Flash Lite 3.0」搭載端末が出てくるでしょうし、将来的には「Flash Lite 3.0」が主流になっていくと思います。

現在は、モバイルコンテンツの動画再生というと、「iモーション・着ムービーで、avi から QuickTime で 3gp とか 3p2 とか aac に書き出して…」という形ですが、画質が荒い上にサイズ制限がきついという難点、 PC での動画サイトのほとんどが Flvファイルで再生・保存されていることを考えると、今後はモバイルコンテンツでの動画再生=Flvファイルで、という流れになっていくのではないでしょうか。


モバイルの世界はサイズの制限に苦しんだり、機種対応で悩んだり、の一方で、速いスピードでできることが増えていくやりがいのある世界です。ライブドアでも新しい技術を積極的に取り入れて、面白いサービスを生み出していきたいと思っています。

ライブドアでは、「今までの常識にとらわれず新しいことにどんどん挑戦していきたい!」という貪欲なディレクターを募集しています。


一部誤りがありましたので、本文中の表記、画像などを修正しております。