ライブドアの田端です。
ディレクターズブログをお読みの皆さんは、 Web ディレクターとして、働いている、あるいは将来、働くことに興味がある、と思っている方がほとんどだと思います。

さて、そもそも Web ディレクターって、どういう存在なんでしょうかね? 
そもそも、何ゆえに必要で、誰のために仕事をするべき存在なのでしょうか。

英語で「Director」という言葉は、会社であれば「重役・取締役」という意味があります。映画業界でディレクターといえば、そう、映画監督のことです。映画のロケ現場で、「ヨーイ、カチン」とやらせている横で、監督が踏ん反りかえって、座っている椅子ありますよね。あれは、ディレクターズ・チェアと言います。

ところで、外資系の会社では、よくバイス・プレジデントという役職があり、これは、日本語に直訳すると「副社長」なのですが、ちょっとした大企業だと、実際にはバイス・プレジデントが数十人〜数百人くらい存在する場合もあって、これは、日本人の感覚からすると、課長か、せいぜい部長くらいのランクの場合が、多いです。つまり、肩書きが、実態に比べて、かなり、インフレしてしまっています。

ネットビジネス業界における、 Web ディレクターというのも、上記の「副社長が数百人」と同じように、呼称が示す本来の意味合いと、実態上の仕事の中身に、ギャップが出来てしまっているのでないのかな・、と思ったりもしています。

いま、 Web ディレクターをやっているというそこのキミ! 自分がやっている仕事の中身が、会社であれば「重役・取締役」であり、ハリウッドでいえば「映画監督」であり、クラシックで言えば「指揮者」にあたる、と言われるとどう思いますか。

「え?俺ってそんな偉かったんすかね・・・?」が正直な感想ではないでしょうか。

ハリウッドの映画監督が、自分の強烈な個性をギラギラと発揮しながら、超有名スターや、カメラマン、美術、大道具、SFX などの特殊効果にいたるまで数百名のスタッフを束ねるリーダーシップを発揮しているのと、同じような求心力をウェブサイトの制作過程においては、 Web ディレクターは、まだまだ、少ないように思います。

そういう意味では、鶏が先か、卵が先か、の議論になりますが、国内のネットビジネス業界においては、 Web ディレクターの地位が、まだまだ低いのかもしれませんし、その地位を高めるためにも、個々のより一層の奮起も必要なのかもしれません。

「そもそも論」でいえば、ディレクションには、方向性という意味があります。方向性を指し示すからこそ、ディレクターはディレクターと呼ばれうるのです。

各所との連絡、調整にやり、単に納期までに完成させる、というだけでは、ディレクターの仕事をこなした、ということには、全くなりません。

事務所と調整しつつ、俳優、女優などの出演者のスケジュールを押さえ、小道具や美術を手配し、日程どおりにロケをこなし、編集作業を完了させ、フィルムを映画館に配り終えた。「ただ、それだけ」を、サラリーマン的にミス無くこなしました、という監督(つまりはディレクター)が作った映画を見たいと思う人がいるでしょうか。

いませんよね?

観客には見終わったあとに「面白かった!」という満足を、製作費やスタジオを提供する映画会社には「儲かった!」という実績を残しながら、他の誰もが作りえないようなユニークな世界観で全編を埋め尽くす、そんなハリウッドの超一流監督に匹敵するようなスター・ Web ディレクターを、ライブドアから、どんどん出していきたいと思っています。

2時間で終わる映画とは違い、ウェブサイトの制作と運用は、観客と一緒に作る終わりのないドラマ、永遠に続く生放送のような仕事。映画監督が自分の映画について語るのと同じような思いで、世の中に対して、自分のアウトプットを発信していくことができる、それこそが Web ディレクターという仕事の醍醐味だと私は考えています。