■はじめに



ブログサービスを担当しているの森です。

ブログで収入を得ることって可能?4ヶ月間の実践記録

上記のブログに見られるように、個人でブログメディアを立ち上げ、収入を得ようと試みるケースが最近よく見られるようになってきました。

世の中に溢れているブログはほとんど無償で閲覧でき、多くは広告による収益モデルとなっています。ライブドアも同様の形式で、「アゴラ」や「Tech Wave」などメディアを立ち上げ、ブログ単体で黒字を目指すプロジェクトを行っております。

しかし、ブログでのマネタイズは、個人で行うと大変な労力がかかります。その上、すでに著名な方を除き、月間100万PVに満たなければ、ブログ単体で得られる収入は予想以上に少なかったりします。

マネタイズの中でも収益率が高く、個人の方でも使い勝手が良いと言われている『Google AdSense』を例に説明します。ちなみにライブドアではGoogle AdSenseの最適化にとても力を入れており、東洋太平洋(パシフィック圏内)で最大級の売り上げをあげているようです。以下にGoogle AdSenseを最適化する具体例を紹介しますが、どれほどの労力を必要とするのか、察していただければと思います。

■Google AdSenseの最適化



・CTRとCPCとCPM(RPM)

Google AdSenseを導入する上で、以下の用語は知っておいたほうが良いでしょう。ネットの広告を理解する上でも、きっと役に立ちますので覚えておいて損はありません。

<最低限覚えておきたい用語>

【1】CPC=クリック単価・・・1クリック辺りの広告収入
【2】CTR=クリック率・・・『広告クリック数』÷『広告表示回数』
【3】CPM=広告表示1000回当たりのサイトの収益

詳しい用語説明は以下をご覧下さい。

AdSenseの鬼教官 畑山の語るAdSense入門

Google AdSenseの仕組みは簡単で、CPM(広告表示1000回当たりの単価)を最適化(最大化)すれば、あとはサイトのPV(ページビュー)を上げるだけで、必然と収入は増加していきます。

月間1000万PVを誇るサイトでも、CPMが本来あるポテンシャルの2分の1しか発揮出来ていなければ、月間500万PVで最適化しているサイトと同じことなります(全く同条件のサイトというのは絶対にありませんが、笑)。結果的に機会損失をしていることになります。

CPMをあげるには、CPC(クリック単価)とCTR(クリック率)を上げる必要があります。ほんの一例ではありますが、ライブドアで実践しているCPMを最適化するノウハウをお教えします。


・CPC(クリック単価)を上げる4つの方法

【1】特定分野に特化する

数値上、実証されておりまして、詳しくはCNETのインタビューで元ライブドアの田端さんが述べているとおりです。

【2】テーマは固いほうがいい

芸能やスポーツをテーマにしたブログよりも、政治、金融関係やビジネス、ライフハックなどに関するブログのほうがCPCは高くなります。弊社のブログメディア(livedoor トップの右下に一覧があります)で言いますと、アゴラMarkethackMMA PLANETFOOTBALL WEEKLYよりも高い数値になります。

ただし、ヤフーやライブドアのニュースランキングを見ればわかるように、芸能やスポーツは、マスなのでPVは多くなります。どのテーマを選択するかは、運営者の判断にお任せしますが、好きでもないジャンルを書き続けても長続きはしませんし、限界があります。やはり得意なジャンルで始めるのがベターではないでしょうか。

【3】CTR(クリック数)を上げる

広告主は「広告効果が良いサイト」に広告をつけます。広告効果が良いというのは、誤クリックなくスムーズに商品まで到達するサイトです。以下にCTRを上げる施策を挙げますので、是非、参考にしてみてください。

【4】ただし誤クリックは絶対に避ける

クリック数を上げる施策を繰り返していると、そのうち誤クリックを招く危険性があります。誤クリックはコンバージョンを下げ、結果としてCPCを下げる原因となりますので絶対に避けてください。

Google AdSenseのレポートには、数値としてコンバージョン自体は表記されておりませんが、CTRが上がっているのに、CPCが下がってきたら、おそらく誤クリックが多いサイトと識別されていることでしょう。

【5】季節要因に注意

広告ビジネスに携わっている方はご存知だと思いますが、期末ごとに予算消化が行われます。そのため、12月や3月は世の中的にCPCが上がります。一方で四半期初頭は当然低くなります。景況にもよりますが、数値はなるべく年毎や四半期毎に測定しましょう。

・CTRを上げる5つの方法

【1】ユーザーの視界に入る位置に設置する

大辞林によりますと、広告とは『広く世の中に知らせること』と載っています。自分で客観的に判断して、ユーザーの見えるところに設置しましょう。ちなみにこのディレクターズブログでは記事を読む前と読んだ後のユーザーを意識して、上下で挟んでいます。ブログは大体このパターンが基本的な形となっています。

【2】ユーザーの視界に入らない、効果が悪い位置には設置しない

Google AdSenseはクリックされないと、1円にもなりません。たとえ押されたとしても効果が悪い場所に設置すると、CTRが下がりCPCまで下落していきます。思い切って効果が悪い場所は表示しないようにしましょう。今まで効果が悪かった広告を削除するだけでも効果があがります。

【3】サイトに馴染ませる

ユーザーの視界に入る位置に設置することと矛盾していますが、広告を全面に押し出しすぎると、かえって効果が良くありません。以下、サイトに馴染ませる主な手法です。

・広告の背景をサイトの背景と揃える
・広告のリンク色をサイトのリンク色と統一する

【4】時期が来たらサイトの模様替えを行う

同じテンプレートを続けていると、徐々にCTRは落ちてきます。マンネリ化を避けるために、一定のスパンで模様替えすることをおすすめします。ただし効果が悪くなる可能性もあるので、蓄積したノウハウを活かして行ってください。

【5】ひたすらトライアル&エラーを行う

ある程度は上記でカバーできますが、サイト毎に特徴が異なります。Google AdSenseのレポートはとても便利で、ほぼリアルタイムで表記されます。またチャネルの分別が可能なため、掲載位置の異なった広告をそれぞれ計測できます。後はPDCAサイクルでとにかく手を動かしましょう。1年くらい続けたら、自ずと最適化が出来てると思います。

以下のサイトでも最適化の手段は講じられていますので、是非参考にしてください。

アドセンスで1ヶ月2万円稼ぐための13のルール
アドセンスで1日2万円稼ぐための6つのレッスン


■ライブドアの役割



ライブドアではこれらの対策を部署ごとにGoogle AdSense最適化の専門ディレクターをつけ、時にはマークアッパーやプログラマーのリソースまで稼働させ試行錯誤を繰り返し行っております。グループならともかく、やはり個人でその労力を負担するには限界があります。

そんなことにせっせと時間を費やすくらいなら、ブログの質を高めることに注力したほうが、効率的ではないでしょうか。内容さえ良ければ、確実にPVは伸びていき、マネタイズが行いやすい環境になります。

池田信夫さんや田端さんが良い例だと思いますが、ブログをフックに原稿依頼や講演依頼など、リアルな世界でもマネタイズできる環境は自然とついてきます。

それでも我々は誰もが『ブログ単体』でご飯が食べられる時代が来ると、本気で考えております。

アメリカでは、日本よりもネットでの広告単価が高いため、ブログだけでご飯を食べられる人が多いようです。日本でも2〜3年前に比べると、広告商品の種類は増え単価も上がり、流れは確実に良い方向へ傾いています。

繰り返しますが、ブロガーにはブログの内容を向上させることに注力しほしいと願っています。少年ジャンプの作家が売上げを意識していたら、作品の質は確実に落ちてしまいます。

漫画家にも編集者というサポーターがいるように、我々の役割はブロガーのサポートをすることです。ただ従来の編集者と異なり、内容には一切口出しをせず、マネタイズの最適化や新しく立ち上げたブログトピックスなどトラフィックの誘導でバックアップする役割を担います。

PVが少しでも増えていけば、ブロガーさんのモチベーションアップにつながり、質の高い記事が増えていくサイクルが確立できます。

小林弘人さんが著書『新世紀メディア論』で述べている通り、<誰でもメディア>の時代に突入しております。ブログメディアの立ち上げ方を参考に皆さんも是非、ブログメディアを立ち上げてみてください。一人では難しいという方は、仲間を集めてアゴラのように複数人でやってみてはいかがでしょうか。その際は、我々もお手伝いさせていただきます。


※5月14日 内容を一部見直し、アップデートしました。