こんにちは。コミュニティサービス部のアオキです。コミュニティサービス部では、「結婚相手を探すyoubride」や「恋愛の相手を探すYYC」を運営しています。youbrideにもYYCにも、会員のプロフィールには「年収」という項目があります。今日はこの年収について考察してみたいと思います。

年収を基準にして相手を探すひとたち


会員プロフィールには、「年齢」「職業」「趣味」など様々な項目があります。しかし、客観的なデータとして比較可能な「年収」は目につきやすく、例えば婚活中の方に話を聞くと、相手に求める条件として「年収」をあげる人もいらっしゃいます (特に女性)。

「相手の年収は1,000万円以上が希望です」みたいな感じですね。これに対して、年収1,000万円などあるはずもない私みたいな独身男は「んなヤツいねーよ」とやさぐれるわけです。

しかし、年収1,000万円の人が、日本の人口の中でもごくごく僅かであることは真実。20〜49歳の未婚男性のうち、年収1,000万円以上はわずか0.4%=約4万6千人です!

そんな数少ない年収1,000万円の独身を捕まえるのは至難の業と言えるのではないでしょうか。もちろん、ネット婚活の良いところは、その「至難の業」を簡単な検索でちょいちょいっと出来ちゃうところなんですが。
そこで発想を転換してみましょう。

年収1,000万円を考える前に可処分所得で想像しよう


ところで私はもともと銀行の出身です。銀行員時代に、個人のお客様に対して融資をする仕事をしていたことがありますので、そのときのモデルを使って「可処分所得」の計算をしてみましょう。可処分所得とは、「自由に使えるお金」のことです。年収1,000万円あっても、自由に使えるお金は生活スタイルによって全然違いますよね。

以下は、住宅ローンの融資を組むときに計算する可処分所得の計算モデルです。
01
この家庭の世帯主は年収1,000万円ありますが、子供を高級私立中学に通わせており、養育費が抜群に飛びぬけています。子供は中学校だけでなく、学習塾ならぬ理系受験に特化したサイエンスアカデミーにも通わせており、こんなところも養育費が嵩む要因です。よって可処分所得は圧迫されているこの人なのですが、年収1,000万円という自信からか、リッチに高級マンションを買おうとしていたのです。

ローン審査では、養育費のことなど黙っていれば可処分所得は判明しづらいのですが、この場合だと審査時に本人確認のために提出してもらう住民票に、世帯全員の名前があって子供がいることを発見しちゃいました。結局この人は、高級マンションを買うと返済可能額がギリギリなため、もっと安いマンションの購入に切り替たのです。
02
この人も年収1,000万円です。しかし、親思いのこの人は、病気がちな親に相当な仕送りをしています。親に仕送りをするために、がんばって年収1,000万円の仕事に就いたといっても過言ではありません。表面的には余裕の可処分所得ですが、実際は支出がものすごくかかっています。残念ながらローンの審査が通らず、マンションを買えなかった実例です。

この人の場合は、提出してもらった確定申告書に扶養控除と医療費控除があり、医療費控除を追求していくと親への仕送りが発覚したのでした。
03
一方、この人も年収1,000万円ありますが、じつはその前年の収入は600万円でした。なぜいきなり収入が増えたかというと、勤務先の工場でのシフトの都合で、特別手当 (夜勤手当や危険手当など) をたくさんもらったからです。今の年収は良いかもしれませんが、この金額が必ず来年以降も確保できるとは限りません。

ローン貸付の際には、債務者の過去2年ないしは3年の収入の推移や、勤続年数を確認します。この人は過去3年の源泉徴収票の数字があまりにぶっとんでいて発覚しました。残念ながらこの事例ですと、年収1,000万円ではなく年収600万円の人、として貸付できるかを審査することになり、融資はできませんでした。

婚活における年収1,000万円の意味とは?


さて、年収1,000万円あってもマンションが買えないという悲惨な例を紹介しましたが、これを婚活にあてはめてみましょう。
04
Aさんの年収は1,000万円ですが、仕事も激務なので都心の勤務先に近い家に住まないといけません。だから家賃も高めです。仕事では顧客との関係を維持するため、頻繁に交遊に出かけ、交際費もたっぷり必要なようです。まして、交友関係が広いものだから、ビンテージワインの収集などというお金のかかる趣味も覚えてしまって、出ていくお金がたくさんです。
05
一方、Bさんの年収は500万円ですが、実家は東京郊外の土地持ちです。家賃代わりに月に数万円を家に納めていますがたいした額ではありません。また趣味は自宅近くでランニングをして汗を流すこと。ジムに行くわけでもないためお金はかかりません。

AさんとBさんを比較すると、年収こそ差はありますが、可処分所得は変わりません。ほんとに変わりません。さぁどちらと結婚するのが幸せなんでしょう?

答えはわかりません。いや、結局は性格や知性など、数字で判断できないところで結婚の決断がくだされるのかもしれません。でも一つひとつ言えることは、もしお金という指標を軸に結婚相手を探すのだとしても、「年収」は収入というお金の一側面を捉えたものでしかないということです。同時に支出をどう見るかによって、自由に使えるお金は変化します。

未婚男性にとっては、自分の年収が高くなくてもそこで諦める必要はありません。また未婚女性にとっては、年収1,000万円未満の男性にも目を向ける価値は十分あるということです。

しかし何より重要なのは、結婚後の生活スタイルをどう思い描くか、だと思います。いったい自分が結婚後にどんな生活をしたいのか (どんな子育てをしたいのか、どんな老後を過ごしたいのか……) によって、必要なお金の額は変わるでしょう。そして、そのとき世帯の経済を世帯主一人だけに頼るのか、夫婦二人で頑張ろうと思うのかを考えることになるのでしょう。

男性にも女性にも、年収という一つの数字に翻弄されることなく満足いく婚活をしてほしいと思います。そのためにYYCもyoubrideも、「趣味」や「休日」など年収以外の様々な検索条件を設けているのです。

ライブドアでは、数字の裏側にある真実を見つけ出せるディレクターを募集しています。