こんにちは、広告事業部に所属するディレクターの阿部です。LINEをはじめ、NAVERまとめやlivedoorの広告タイアップに携わっています。今回は、ユーザーに受け入れられやすいスポンサードスタンプについてお話します。

LINEを使った企業向けのプロモーションツールのひとつに「スポンサードスタンプ」という広告商品があります。スタンプとは、LINEのトーク画面(チャット)において、ユーザーのその時のエモーションやシチュエーションを代替する絵文字のようなものです。


©LINE Corporation

上記はLINEのキャラクター「ムーン」です。上のようにキャラクターがユーザーの気持ちや気分、状況を代弁してくれるというわけです。スタンプは、3種類のバリエーションがあります。1つは、LINEをインストールした時点から無料で使えるブラウン、コニーなどLINEキャラクターのスタンプ。2つ目は、170円ほどで有料販売されているミッキーマウスやドラえもんなどのキャラクターのスタンプ。3つ目は、昨年の7月頃からはじまった、企業のキャラクターなどをスタンプ化したスポンサードスタンプです。

 
日清食品株式会社が発売するチキンラーメンのキャラクター「ひよこちゃん」や、株式会社ロッテ「コアラのマーチ」のようにお馴染みのキャラクターをスタンプ化し、ユーザーへ無料で配布することで、キャラクター認知や、企業のブランディング醸成に役立てて頂くというものです。これを「スポンサードスタンプ」という名称で提供しています。

約2,000人のLINE利用者を対象に調査したユーザーアンケートによれば、無料スタンプ(スポンサードスタンプ)を利用するユーザーは「よく使う」「たまに使う」を含めると全体の8割を超える数値となっています。


非常に多くのユーザーが使っているスポンサードスタンプですが、キャラクター、企業、ブランドへの認知に一役買っているほか、企業への興味や好感度が増したという結果にもつながっているようです。つまりLINEのスポンサードスタンプを通して、「意識変容」や「態度変容」を起こす効果が確認されています。


さて、そんな「スポンサードスタンプ」ですが、スタンプの制作を思案するタイミングになって、次のような点の相談を頂くことが多々あります。

1.どんなキャラクターをスタンプ化すべきか?
2.スタンプ化するキャラクターにどんな表情・表現をさせるべきか?

という事で、本稿ではディレクターが使えるHack!といういつもの記事とはちょっと趣旨を変えて、中の人が語る「スポンサードスタンプ」の作り方をお伝えしたいと思います。

1.どんなキャラクターをスタンプ化すべきか?


どんなキャラクターをスタンプ化すべきか?結論を先に言えば、最もLINEスタンプに適しているキャラクターは、上記図の右上に分類されるキャラクターです。今話題のマトリクス、ポジショニングマップで表現してみました。すなわち、表情が豊かで身振り手振りで感情を伝えることができ、かつユーザーに広く認知されているようなキャラクター。逆に、人気獲得に苦戦しそうだな・・・というケースは、左下に分類されるような、表情やポーズのバリエーションが乏しく(あるいはレギュレーション上の制約があり表情を可変できない)、一般認知の取れてないキャラクターです。
スタンプとしては、表情や身振り手振りをより大きく分かりやすく表現できるキャラクターの方が適しています。認知のとれた有名なキャラクターでも表現に制限があるキャラクターと、無名だけれどもドラスティックな表現が可能なキャラクターであれば、後者の方がスタンプ向きと言えます。上記の表で言えば上段の方がスタンプに向いています。

では、なぜ図の右上が適しており、左下が適さないのか?その理由を解説したいと思います。

1-1.デフォルメ可能なキャラクターをスタンプ化すべき


スタンプは「感情で会話することのできる非言語コミュニケーションツール」です。そのためスタンプのクリエイティブでは、言葉以上にユーザーの気持ちを伝えることのできる大げさなリアクションと、キャラクターの表情の振り幅が重要になります。つまり、スタンプ化するキャラクターが、デフォルメ可能なキャラクターであるか否かが使用頻度に影響してきます。

 
喜ぶ表現にしても、ニッコリという顔の表情だけでなく、スキップや小躍りして喜ぶとか、泣くにしても涙がポロリではなく、涙の海に溺れているような表現など、喜怒哀楽をデフォルメして伝えることのできるキャラクターの方が、使用規範に縛られたキャラクターよりも感情を分かりやすくスタンプで表現することができるため、使われやすい傾向があります。


1-2.すでに認知のとれたキャラクターをスタンプ化すべき


スタンプの利用頻度をアップするためには、まずは当然、ユーザーにスタンプをダウンロードしてもらわなければなりません。ダウンロードしたくなるような気持ちを喚起させるためには、見た目に可愛らしい愛嬌があるなどのクリエイティブであることが有効です。またそれと同じくらい「可愛らしく愛嬌があるということを説明することなくユーザーが知っている」という共通認知のあるキャラクターを選ぶということも重要です。

 
もちろん、「無料だから使うか使わないか分からないけど、とりあえずダウンロードしとこうか」というユーザーもいるでしょう。しかしその場合、ダウンロード数に対してスタンプの送信回数が伸び悩む結果になりがちです。無料だからダウンロードしたけど、カワイイんだかなんだか分からないので、結局カワイイという共通認知のある有名な企業キャラクターのスタンプばかり使ってしてしまう、という傾向です。


1-3.認知度を十分に上げたのち、スタンプとして展開


例えばTVCMなどマス広告で事前に認知を獲得し、キャラクターの表情や、動き、セリフなどを広く浸透させたのちにスタンプでさらなる拡散を狙うという手法もあるでしょう。

 
SoftBankのお父さん犬の「お前が言うな」や、東進ハイスクールの林先生の「今でしょ!」スタンプなどは、まさに日常会話で使えそうな、真似できそうなクリエイティブであるため、必然LINE内のトークでも盛んに使われました。事前にキャラクターの表情や、動き、セリフなどの認知を獲得しておき、話題化させ「あれLINEのスタンプにならないかな」というタイミングでスタンプをリリースすることで、スタンプの利用を促進させます。

 
一方で事前に認知が取れているという訳ではなく、JALの「JALion」やDHCの「タマ川ヨシ子」など、LINEスタンプからデビューしたキャラクターもいます。
しかし何れのスタンプも見た目にカワイさがあります。JALの「JALion」は、8コのスタンプのなかで汎用的なシチュエーションとエモーションをバランスよく配分することで使ってもらいやすさに配慮していますし、DHCの「タマ川ヨシ子」は、涙をグッとこらえる悲哀と困惑とが入り混じった中間の感情をスタンプ化することで、過去あまりなかった表情の表現を獲得し、使われやすいスタンプに仕上がっています。


まとめ


広告主企業がスタンプを使った広告コミュニケーションを実施する場合、その目的として多いのは、キャラクター認知や、企業のブランディング醸成というケースです。
スポンサードスタンプが「使われる広告」であり、送信する相手が必ずしも1人ではない(グループトークの場合もある)と考えると、非常に波及効果の高い広告であると言えるでしょう。

スポンサードスタンプを効果的につかい、より多くのユーザーに使ってもらえるようなクリエイティブを作るためにはキャラクターの選定から、TVCMなどのマス広告連動による事前準備など、さまざまな工夫が必要になるでしょう。

次回はもうちょっと具体的な内容に踏み込んで、2つ目のポイント「キャラクターを選んだのち、スタンプ化するキャラクターにどんな表情・表現をさせるべきか?」という点についてお伝えしたいと思います。

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