ケータイコンテンツのデバッグ事情
まず、皆さんは以下のケータイに関することを憶えてますか? もしくは、知っていますか?
・ケータイにカメラが搭載された時のこと
・QVGA規格のケータイが発売されて画面の解像度が格段にあがったこと
・DoCoMoのFOMA900シリーズが発売されて大容量のデジタルコンテンツが楽しめるようになったこと
・Vodafone(現SoftBank)の3G規格ケータイの到来により、どのケータイサイトも対応に四苦八苦したこと
上記の出来事はとても昔のことのように思えますが、実際にはほんの何年か前の出来事なんです。そんな歴史を物語るのが以下の写真です。

早いですよね……、モバイルの流れは。私の所属しているモバイルメディア部では、ひとり3〜4台のケータイ、多い人は10台ほどのケータイを確保して管理しています。
今でこそパケット定額制が普及していますが、以前はパケ死状態の人も多くいたかと思います(いまでは死語ですね)。そんなケータイとにらめっこをしながら、私たちがどのように業務を進めているかというと……

……と、こんな感じでやってます。2〜3台のケータイを並べ、メインとなる高スペックのケータイで操作をしつつ修正。それらを繰り返し、ひととおりOKであれば他のキャリアへ移る。それから前世代のケータイなど、新旧問わず特徴のあるケータイでも確認を進めていきます。
いま説明したのは特に問題ないノーマルな場合のやり方ですが、やはり「このケータイだけ、このキャリアだけうまくいかない!」なんてことも日常茶飯事。いま、うちの部署でアツいのが以下のような問題です。
・各サイト、サービスでのXHTML化
課題:各キャリア、世代で微妙に違う
対応:切り分けか所の洗い出し。該当箇所をMACROで一括管理
・Willcom対応
問題:ブラウザがいろいろあり、コード定義が厳しい
対応:細かくコードを見直す
<br> →<br />
<img src ="#"> → <img src ="#" />
・デコメールでのメール配信
問題:絵文字がうまく出ない、デコメール非対応ケータイの取り扱い
対応:キャリア仕様書を細かくチェック。あとはゴリゴリ修正して確認をするという繰り返し
それらの問題も四苦八苦しつつも整理をして解消し、各サービスに反映されてきています。ガチンコ気分でデバッグするのも大事なのですがやはり「普段からケータイを使う」「いろんなサービスを試す」などの実践的な部分がいちばん大事だと、最近つくづく思ってます。
そんな作業も、livedoor では楽しみながら仕事ができますし、楽しみを仕事につなげることができます。余談ですが、当然のことながら最新の機種はもちろん、化石のような古い端末などにも触れることができるので楽しい職場です(自分が機種変更する際にもかなり役に立ちます)。
これからも『ケータイ livedoor』や『nowa』などをはじめ、livedoor コンテンツをよろしくお願い致します。
紙の校正とサイトの校正
インターネットが世間に広まるまで“校正校閲の仕事”といえば紙媒体(つまり印刷物)が主体でした。新聞や雑誌、書籍などの編集者にとって、校正スキルは必須といえます。正しい日本語で正しい情報を伝えるために、文章の校正はとても重要です。校正だけを業務とする校正者という職業があるくらいですから、「物事を正確に伝える」ことは大切なのです。
そんな紙媒体特有ともいえる校正校閲の仕事でしたが、パソコン通信やインターネットが普及してきてから、紙媒体と同じような情報がモニターの画面表示というかたちになって掲載されるようになりました。特に『Yahoo! JAPAN』がスタートした1996年以降は顕著です。インターネットには、紙媒体と変わらぬ膨大な量の情報が数々のサイトに掲載されるようになりました。
情報という意味では紙媒体もインターネット媒体も同じです。つまり、インターネット媒体にも紙媒体と同じクオリティーの文章が求められるわけです。では「紙の校正」と「サイトの校正」には違いがあるのでしょうか? カンタンにいえば70パーセントは同じで、残り30パーセントは違うといえます。ちなみに、『Yahoo! JAPAN』さんにはQA(Quality Assurance)という、サイト校正や校閲などをする品質保証の部があるそうです。
では、私がlivedoorの各コンテンツの文章を校正する場合を例にとって、サイト特有の校正をひとつ紹介しましょう。ちなみに、サイトの校正でも紙としてプリントアウトし、赤ペンで校正をします(直接テキストファイルを校正する場合もあります)。
・文章の一部を削る校正記号
紙の校正:「トルツメ」 サイトの校正:「トル」
「トルツメ」は「文字を削って詰める」という意味です。紙媒体の場合、削った文字を詰めないとそのまま空白になってしまうため、「トル」と「ツメ」の指示が必要です。しかし、パソコン上では文字を削れば自動的に詰められるので「ツメ」は必要なく「トル」という指示だけで問題ない。ただし、文字を削ったあとを空白にする「トルアキ」「トルママ」はサイト校正でも使われます。
上記は校正記号の場合ですが、それ以外にも紙媒体とは違う表記ルールがサイト校正にはあります。たとえば……
・数字はすべて半角
数字1ケタの場合、紙媒体では全角数字を使うことが多いですが、サイト校正では1ケタでも2ケタでも半角数字を使うのが適切です。こうするわけは、見た目と読みやすさの問題が大きいといえます。
1ケタ全角、2ケタ半角の場合
「12月7日、8回の裏10打点を取った4番が23回転んで5回三振」
すべて半角の場合
「12月7日、8回の裏10打点を取った4番が23回転んで5回三振」
上記の例は数字だけでなく英字にも当てはまるルールで、基本的に英字も半角で表記します。実際、英数字を全角のみで表記したり、半角と全角を混在させて表記した場合、とても読みにくいのがわかるはずです。ですので、全角と半角が混在していた場合は半角英数字に修正します。
今回は、いくつかの例を出しつつ、校正についてお話しました。それらは私が受け持つコンテンツでの校正方法ではありますが、きっと、どのサイトにも使える校正方法ではないかと思います。「紙の校正のままサイト校正をしてはいけない」ということがわかっていただければ幸いです。次回、私が記事を書く機会があれば、引き続き校正についてお話したいと思います。
今後とも、livedoor をよろしくお願い申し上げます。
【番外編】モンハン部
『Google Japan Blog』で見かけたので、弊社の部活も宣伝してみたいと思います!
『モンハン』部の活動は、PSPのゲームソフト「モンスターハンターポータブル2nd」を起動し、ただひたすらオンライン集会所に集まって肉を焼くことです。活動時はこんなカンジでやっています。
肉を焼くのに飽きたらモンスターを狩りに行きます。狩っているときは必死です。
あ、すいません。間違えました。こっちでした。
なかには、ランチの時間を利用して狩りをする猛者もおります。仕事だけではなく、プライベートでも“リアル集会所”と称して、週末にどこかの家で一緒に『モンハン』をしている人もいるようです。
4人パーティーで「巨大なモンスターを皆で倒す」という行為は、livedoor 精神に似ているような似ていないような、そんな気がします。
ところで。
写真に写っているみんなのPSPの電源、入ってませんよ?
YouTube検索ができるまで
今回は、実際にどのようにlivedoor Blogへの機能追加が行われているのか、一例を取り上げてその流れを簡単にご紹介します。
先月の7月27日にリリースされたブログ投稿フォームからのYouTube検索機能についてお話します。
参考:YouTubeの検索機能を追加しました
最近、「livedoorへのご要望」にYouTubeの検索やブログ貼り付けの機能が欲しいという要望を多数いただくようになったことと、ライブドアでもYouTubeに動画をアップするような機会が増えたこともあり、ブログの定例会議においてYouTube検索機能の追加が決定しました。
参考:http://jp.youtube.com/livedoorcom
■今回のディレクターとしての仕事
1.要件定義
最初に、YouTubeのAPIではどんなことができるのかということを調査し、そこからこのYouTube検索機能で何を実現するのかということを決めていきます。開発者用サイトの例を見れば分かるとおり、APIを使って複雑なことをやろうと思えばいくらでもできますが、このYouTube検索機能では「ブログでYouTubeの動画を紹介する」ことのみにフォーカスし、特別なスキルや知識がなくても簡単に利用できるものを目指すことにしました。
2.構成書の作成
サイトの構成書を作成します。主にPowerPointを使用して、必要な要素とその配置をフレームで表現します。ここでは、簡単に利用できるようにするにはどんなインタフェースがいいのかということも、本家YouTubeや他のサイトで利用されているYouTube検索などを参考にしつつ考えていきます。
この構成書はプログラマーやマークアップエンジニアに説明するときの資料としても利用します。

3.実装後のデバッグ作業
1で出した要件定義を元に、プログラマーに検索機能の部分を実装してもらい、2で作成した構成書のイメージを元にマークアップエンジニアにコーディングしてもらいます。制作するものによってはデザイナーの方に実際のものに近いラフデザインを作成していただくこともありますが、今回は構成要素が少なくシンプルなため省略しています。
その後、ディレクターは実装・コーディングされたものをデバッグ(動作確認)しながら、バグフィックスや細かい点の調整などをそのつどBTSやIRCを通して連絡して進めます。
4.本番リリース
デバッグ作業が終わり、開発環境で問題なく動作していると判断できたらいよいよ本番リリースに突入します。今回のYouTube検索機能の場合は、プログラムやHTML、CSS、画像ファイル、JavaScriptなど多くの修正・追加が行われたので、本番環境で影響が出ないようにうまく順序を組み立てて本番化作業を行っていきます。
以上が、YouTube検索機能追加のディレクターとしての作業です。
実際に制作していくと、構成書作成の段階で考えていたものに問題点が見つかったり、もっとうまい方法を誰かがひらめいたりすることもよく起こります。
今回の例では、検索結果からYouTubeの動画を確認しようとした場合に、いちいち別ウインドウを開くというのは実際やってみると煩雑であまりスマートではないと感じられたので、ほぼ完成という段階で急遽Videoboxを採用しようという話になりました。私自身、Videoboxの元となっているLightbox JSは個人的に使ったことがあり、比較的簡単なコーディングで導入が可能なことを知っていたので、採用を決定しました。
企画ごとに実現すべき目標や問題となる部分も変わってきますので、Webディレクターには完全なマニュアルのようなものは存在せず、いつも臨機応変な対応が求められます。また、知識があるとその分できることの選択肢も広がってきますので、新しいWeb業界の技術やトレンドなどもしっかり把握しておく必要があります。
あなたはビジネス派?それともサービス派?
そのなかでも大きく分けられると思うのが、下記のふたつのタイプのディレクターです。
・収益性の高いサービスを考えるのが得意なビジネス派ディレクター
・ユーザーニーズの高いサービスを考えるのが得意なサービス派ディレクター
前者は、ロジカルに物事を考えるのが得意で、競合他社のリサーチや、他社との交渉ごとが得意な人です。高い収益性を求めるサービスに力を発揮します。後者は、ユーザーの利便性やUIなどを考えるのが得意で、サービスを盛り上げるアイデアが豊富な人です。新規のCGMサービス立ち上げなどに力を発揮します。
現在、livedoorにはさまざまなサービスがあり、ユーザー利便性が高いもの、エンタメ要素が高いもの、収益性が高いものなど、それぞれに特徴があります。当然、それらが目標とするKPI(※)も異なります。そういったことからも、サービスによってディレクターに求められるスキルも変わってきますし、個々の得意分野を生かせるような適切なアサインが必要となってきます。
ネットサービスにおけるミッションとして「収益性」が求められるのは、ビジネスをやる上で当然のことですが、弊社のようにさまざまなサービスを擁するポータルサイトにおいてミッションを達成するということは、ある種、団体競技のスポーツのように感じております。
それぞれのサービスがそれぞれの役割を果たし、お互いのサービスの連携を深め、いかにして「集客→回遊→収益化」のサイクルをポータルサイト全体を通して実現するかが重要なのです。
その上で各ディレクターが理解しておかなければいけないことがあります。担当サービスのKPIが何かという認識はもちろんですが、全体の収益化の為には以下の点を意識することが大事だと思います。
・ポータルサイトにおいて収益化しやすいポイントはどこか?
・そのバリエーションをどう増やすか?
・収益化ポイントへのトラフィックどうやって集めるか?
もっと平たくいえば、「いかに収益化ポイントへ良いパスを出せるか?」ということを意識しましょう、ということでしょうか。
冒頭にも書きましたが、ライブドアではさまざまなタイプのディレクターが、それぞれの得意な分野を生かしつつ活躍しております。全員がお互いに良いパスを出し合えるような意識を大切にしつつ、より多くの人に使っていただけるサービスを提供し続けたいと思っております。
#ライブドアでは、こんな社風に共感していただけるディレクターさんを募集しております。「私はこんなことが得意なのです」という読者の方や、Tシャツを無理に着せられて「任意」だと言い張られてご不満のディレクター、ぜひご応募をお待ちしております。
※KPI:Key Performance Indicator(重要業績評価指標)ビジネス戦略目標を評価するための具体的なものさし。主要な業績評価指標。
携帯小説サイト構築 4つのポイント
外出先や家でちょっとした時間ができたとき、何か暇つぶしになるものはないかな、とケータイをいじることはありませんか?
ゲームやSNSなどケータイで楽しむコンテンツが日に日に増えているなか、今若い世代を中心に人気を博しているのが「ケータイ小説」と呼ばれるものです。
『livedoor小説』とは、そのケータイ小説を無料で毎日配信しているコンテンツです。
私はディレクターとして作品の配信設定やサイトの更新、次回作の選定などを行っております。
「読書」といえば書籍が少し前までは当たり前でしたが、最近ではケータイで読書をすることが女子高生を中心に定着してきました。
今では、サラリーマンや主婦の間でも暇つぶしのコンテンツとして注目されています。
しかし、同じ小説だからといって書籍や文庫と同じ文章を載せると、ケータイではとても読みにくいものとなってしまいます。
今回はケータイ小説を配信するに当たって、書籍との違いやケータイならではの工夫点についてお話したいと思います。
◆文字数◆
まず最初にあげられる書籍との一番の違いは、ケータイには一度に表示できる文字数に制限があるということです。
書籍の場合は、章ごとなどでの文字数制限がありません。しかし、ケータイで制限なく書いてしまうと下にスクロールする回数が多くなり、ユーザーがストレスを感じてしまう可能性があります。また古い世代の端末ですと、容量オーバーとなり全文表示させることが出来ない恐れがあります。
そのようなことがないように、ケータイ小説では一話あたりの文字数を800〜1200字で依頼しています。それにより、ケータイの画面で読んだときのストレスをなるべく少なくしているのです。
◆配信話数◆
もちろん一話あたりの文字数が制限されることは、書き手にとってはなかなか厳しいものです。その中にストーリーを無理やり収めようとすると、作品の展開が単調なものとなりクオリティが下がってしまう可能性も出てきます。いくらケータイ向けに読みやすくしても、作品がつまらなくなってしまっては元も子もありません。
そこで、その分配信話数を多くすることで、作品全体のクオリティを維持するようにしています。一話あたりが短くてもそれをまとめて2〜3話配信することで内容的にも読み応えのあるものが配信可能となるのです。
◆作品描写◆
また、作品の描写方法も書籍とケータイでは異なってきます。
書籍であれば、その場面の背景や状況などを詳しく描写することで読者の作品イメージを膨らませることが可能ですが、ケータイで同じ書き方をしてしまうと、上述したように文字数が増えて、とても読みにくいものとなってしまいます。
そこで、ケータイでは作家さんに人物の会話シーンを増やしたり、描写の一文を短くするなどの対応をしていただいてます。
また、会話シーンの台詞部分に男性には青、女性にはピンクの色をつけるなどモバイルならではの工夫を施すことで、読者がさらに場面のイメージを膨らませられるようにしています。
◆行間◆
ここまでの対応でもだいぶ読みやすくはなりますが、さらに行間を空けることでその読みやすさは倍増します。
画面が小さいので、ついつい文字を詰めてしまいがちですが、そうするとせっかく文字数を少なくしても読んでいる途中で疲れてしまいます。台詞まわりや段落ごとに行間を入れることで、疲れを感じることもなくスムーズに読むことができるようになります。
以上のことを踏まえて、掲載している作品が以下のものになります。
[左:修正前 右:修正後]

いかがですか?
このようにちょっとした工夫を施すことで、読みやすさにここまで差が出てきます。
「おもてなしの心」にありましたように、ユーザーにとってストレスのないサイトを作ることはディレクターにとって重要な役割のひとつだと思います。そのためには、自分もいちユーザーとしてそのコンテンツを楽しむことも必要です。上記にあることも、休みの日や電車を待ってる時間などに自分で実際に小説を読んでみて気づいたことがほとんどです。
今後も開発者視点とユーザー視点の両方からよりよいサイトにしていけるようブラッシュアップしていきたいと考えています。
皆さんもちょっとした空き時間に手軽に読書を楽しんでみませんか?

デジハリでは教えてくれない(かもしれない)、Webディレクターの基礎知識
Webディレクターに必要な基礎知識って何? という問題を考えるにあたって、『デジハリ』のようなスクールのカリキュラムを参考にしてみることにしました。まずは下記のリンク先をご覧ください。
Webディレクター専攻|クリエイターズスクールデジハリ
網羅的にあらゆることを勉強するカリキュラムになっています。もちろん、それぞれの分野におけるエキスパートを目指す必要はないのですが、とりあえず知っておくべきことだけでもかなりたくさんあります。
Webディレクターの場合、この「とりあえず知っておく」ということがとても重要です。
個人の技術が問われる場面であれば、「ちょっと知ってる」というのは「まったく知らない」のと同じ意味でしかありません。しかし、専門の異なるエキスパートたちをまとめてプロジェクトを進める場面になると、「ちょっと知ってる」ことと「まったく知らない」ことの間には大きな差が生まれます。まったく知らない言葉で会話はできませんが、おおまかな意味さえわかればなんとかなるものだからです。
とはいえ、あらかじめすべてを勉強しておくことはできないので、知らない言葉が出てきたらその場ですぐメモっておくようにします。さりー(sary)、せな(senna)、るしん(lucene)のように音からは想像できない表記が多いので、つづりも一緒に確認しておくと、あとで検索するときに便利です。
というわけで今回は、Webディレクターに必要な基礎知識のうち、デジハリのWebディレクター専攻のカリキュラムでは教えてくれない(かもしれない)ようなキーワードを思いつくままに書き出してみました。
なお、詳しい解説はあえてしていません。「とりあえず知っておく」ことと、検索して自ら勉強するクセをつけることが目的ですので、知っているキーワードであれば飛ばし読みして、知らないキーワードであれば検索してよくお調べになることをお薦めします。
* LAMP(らんぷ)
Linux、Apache、MySQL、Perl(あるいはPython、PHP)の頭文字を取ったもの。「LAMPがさー」という話はしませんが、「聞いたことありません」だと恥ずかしい言葉なので覚えておきましょう。ちなみにlivedoorの開発も基本はLAMPです。
* Linux(りなっくす)
OSです。「Linuxがさー」という話をする機会はあまりないのですが、代わりに、「CentOS」や「Turbolinux」といったディストリビューションの名前は出てくることがありますので、必要に応じて覚えていけばよいと思います。
* Apache(あぱっち)
Webサーバのデファクトスタンダードです。「Mac OS X」には最初からインストールされているので、お持ちであれば試しにそれをさわってみるといいかもしれません。Webの仕組みが理解しやすくなります。
* MySQL(まいえすきゅーえる)
もっとも有名なリレーショナルデータベース(RDBMS)です。RDBMSは単にDBと言う場合も多く、「でーびー」と発音します。関連して、「MyISAM(まいあいさむ)」「InnoDB(いのでーびー)」といったキーワードも不意に出てくることがあるので、知っておくと議事録をとるときにもつづりを間違わず恥をかきません。
* Perl(ぱーる)
プログラミング言語です。「Pearl」と書くと恥をかくので、つづりだけでも覚えておきましょう。ちなみに、ディレクターがプログラムをさわることはありませんが、「TT(Template Toolkit)」には常日ごろからお世話になっています。
* ロードバランサ
負荷分散装置のことです。F5社の「BIG-IP」のような専用ハードウェアを使うもののほかに、LVS(Linux Virtual Server)のようなLinuxを使ったものもあります。
* セッション
あっさり解説するにはあまりに重要な言葉なので、これについてはよくお調べになることをお薦めします。勉強していくと、「http」「リクエスト」「GET」「POST」「SSL」といった関連語句が頻出し、「そもそもWebって何?」という疑問も出てくると思いますので、これを機会にしっかり読んでおくとよいと思います。
* XSS(えっくすえすえす)
クロスサイトスクリプティング (Cross Site Scripting)のことです。頻出しやすい脆弱性でありながら危険度は一級なので、XSSという文字を見るだけで心臓がドキッとします(本当に)。どういう危険性があってどうやって回避可能なのかについては、ぜひ知っておきましょう。
* CSRF(シーエスアールエフ)
これもXSSと同じく脆弱性に関する言葉です。どういう危険性があってどうやって回避可能なのかについては、「ぼくはまちちゃん」 ――知られざるCSRF攻撃が参考になりますので、ぜひ読んでおきましょう。
* インジェクション
これもまた脆弱性に関する言葉です。代表的なものとして「SQLインジェクション」があります。検索するといろいろな例が出てくると思いますので、まずはこの危険性の恐怖を調べ、セキュリティに関する意識を高めていきましょう。
* SPF(えすぴーえふ)
メールの送信元アドレスの偽装を防止する技術です。これをやっていないと、『Gmail』や『Hotmail』などのWebメールにSPAMとして判定されてしまい、ユーザーにメールが届かなかったりします。私の場合、普段はlivedoor.comのドメインでサービスを提供しているので意識することがなかったのですが、nowa や Fastladder といった別ドメインでのサービスを行うときに勉強しました。とりあえず知っておくだけでも、いざというときかなり差が出るものだと実感しています。
* バージョン管理システム
CVS(しーぶいえす)やSubversion(さぶばーじょん)のことです。複数の人間がファイルを編集する場合に便利なものなのですが、自宅と会社のマイドキュメントを同期させるために使っているという人もいます。必要になったときに覚えてもいいのですが、あらかじめて覚えておいても便利です。また、「リビジョン」という言葉も出てくるので覚えておくとよいと思います。
* BTS(びーてぃーえす)
バグ管理システム(Bug Tracking System)のことです。バグの管理だけでなく、プロジェクトの進捗管理にも役立っており、私の場合、これがないと仕事ができないというくらい信頼を寄せています。
* マージ
「合わせる」とか「混ぜる」といった意味合いで使います。たとえば、「検索結果をマージして最新順でソートする」とか。とても便利な言葉なのでよく使います。
* サニタイズ
これも、普段はまったく使いませんが、会社にいるとよく耳にする言葉のうちのひとつです。
* 協調フィルタリング
Amazonの「おすすめ商品」のようなことやろうとするときに出てくる言葉です。わかりやすいのでよく使われるのですが、「強調」と勘違いしやすいのでご注意を。
これだけ書いても全然足りない感じなのですが、「とりあえず知っておく」のが目的ですので、今回はこれくらいに。知らない言葉はすぐ検索する、というクセさせつけておけば、あとはその場その場で勉強して次第にスキルアップしていけると思います。
livedoor社内コンペ、こっそり公開しちゃいます(動画あり)
「そろそろ新しいコンテンツ、やりませんか?どうせなら全社員ガチンコのコンペとかで!」と社長へ勢いだけで提案してみたところ、二つ返事でOKが出たのでサクッと実現した「livedoor社内コンペ」の模様をお届けしたいと思います。
やるとなったら即行のlivedoor。ささっと募集概要をまとめ、提案から3日後には「こういうのやりますよー」と発表するはこびとなりました。通常業務もある中で告知から2週間後のプレゼンということで、朝早くから資料作成をしている人がいたり、応募しようとしている人の案を盗み聞きしている人がいたりと、様々な思惑が錯綜するなか行われた社内コンペの模様を一部ではありますがご覧ください。
今回から始まった社内コンペ。実はゴールをどう設定するかも具体的に決まらないままスタートしたものの、いざ蓋をあけてみると40名が参加し50個のアイデアが集まりました。発表されたアイデアの中には、長期的にみてもやるべきもの、今すぐ欲しいものなど、想像以上に(失礼?)クオリティの高いものが多く、いくつかのアイデアは実際にプロジェクトとして始動しようということになりました。
■急遽決まった各賞
・技術賞
技術的に評価が高かったアイデア
・アイデア賞
一定以上のレベルにあるアイデアを複数発表
・社長賞
プレゼンがユニークだったもの
・準グランプリ
採用!プロジェクトとして始動
・グランプリ
採用!プロジェクトとして始動
思い描いたコンテンツが動き出すのを間近で見ていられるというのは貴重な体験だなぁと思いつつ「あれ実際に作る担当ディレクターに自分が任命されたらどうしよう・・・」と自意識過剰気味な今日この頃。
今年の秋には新しいlivedoorのコンテンツをお届け出来るのではないかと思っています。ご期待ください。
livedoorの開発体制
■担当する案件の数
よくいろいろな会社の方に驚かれるのですが、基本的に livedoor の案件には、ディレクター、プログラマー、デザイナー、マークアップエンジニアの各担当者が、ひとりずつ就くことになります。職種を問わず、ひとりあたり運用サイトをふたつ、新規サイトをひとつほど、常時担当しているのが平均的です。
とはいえ、大規模なサイトや OJT を兼ねる場合は、ひとつのサイトに各職種がふたり就く場合もあります。ひとりあたりの担当する範囲が広くて大変な部分もありますが、少数精鋭なぶん効率が良くなり、いわゆる「待ち状態」が少なくなるため、無駄の少ないユニット制といえるかと思います。「これどうするんだっけ? はいやろう。こっちは? じゃあこうしよう」というカンジです。
■新規サイトの作成におけるディレクターの役割
担当するべき部分は本当に多岐に渡るのですが、新人ディレクターや入社したばかりのディレクターへの OJT で使用する資料の一部を抜粋してお話したいと思います。図をご覧いただければおわかりになるかと思いますが、ディレクターはサービスの方向性を意思決定する者であり、実際の構築でも細かな気配りを必要とされる職種だといえます。

※あくまでもディレクター向けの資料ということでディレクターの担当部分が詳細に書かれていますが、ほかの職種の担当範囲はここに書かれているものだけではありません。
■オマケ MTGの風景
案件の進み具合によって違いますが、ほとんどの案件で週に一度の頻度で定例ミーティングが開かれます。今回は livedoor のソーシャルネットワーキングサービス『フレパ』の定例ミーティング風景をお届けします。定例ミーティングにはパソコン版『フレパ』の担当ディレクター、プログラマー、デザイナー、マークアップエンジニア、そしてモバイル版の担当ディレクターなどが集まり、ディスカッションしながら進めていきます。この画像はモバイル版『フレパ』とパソコン版『フレパ』を同時に見つつ、次に実装する機能の話をしているところですね。

受託案件にはない自由な空気を感じながら、あなたもライブドアで働いてみませんか?
現在、ライブドアではディレクターを募集しています。
モバイル市場における「放送と通信の融合」
現在、モバイルサイトの市場は大きく「コンテンツ市場」と「コマース市場」の2つに分かれています。
「モバイル・コンテンツ・フォーラム」の調べによると、2006年度のモバイル関連市場の売り上げは9,285億円で、そのうちコンテンツ市場が占める売り上げは3,661億円と、コマース市場に圧されています。
これは、売り上げ単価が異なることが原因だと思いますが、今後、モバイルコンテンツ市場が発展していく過程において、特に求められるのは、量ではなく「質の高さ」ではないかと思います。
テレビCM等での告知を目にした方も多いかと思いますが、2011年7月24日までにアナログテレビ放送が終了し、デジタルテレビ放送へと移行します。この地デジ移行は、今後のモバイルコンテンツ市場を大きく変えるのではないかと思っています。
地デジ放送への移行が完全終了すると、アナログ放送で使用していた周波数帯が空くことになります。現在、この周波数帯を「ケータイ端末向けマルチメディア放送」として使用することが、総務省によって検討されています。もしこれが決定事項となると、今後はワンセグ放送だけではなく、『スカイパーフェクTV!』のような「生放送あり、PPVあり、専門チャンネルあり」といった「放送サービス」事業がケータイでも始まるようになります。それは、モバイルコンテンツの「質」を向上させることに繋がります。
最新のケータイ端末は、大容量の動画を閲覧することができるようになっています。
しかし、容量は増えたものの「質」という観点では、まだまだユーザーを満足させるものに至っておりません。
初めてワンセグケータイでのテレビ放送を見たとき、その質の高さに驚かされました。
「通信サービス」と「放送サービス」の違いを見せつけられた気がしたわけですが、この「放送サービス」がケータイコンテンツ市場に本格参入すると、現在1兆円規模のモバイル市場を、さらに大きな角度で増長させる可能性があります。長編映画やスポーツ放送など、現在は提供されていないコンテンツが増えることになりますし、質が向上することによって、コンテンツ単価が上がっていくのではないかと思います。
しかし「モバイル市場」が大きくなるとはいえ、「通信サービス」を提供している私たち(特にコンテンツ課金を行っている会社)にとっては、放送サービスの参入は非常に脅威的な存在であるといえます。
とはいえ、多チャンネル化によってユーザーのコンテンツ選択肢は広がりますが、放送サービスは情報提供を「一方的」に行っているというイメージがあります。コンテンツで勝つのは難しいのかもしれませんが、「コンテンツと人」「人と人」を結びつける仲介役は、今後も通信サービスが担っていくはずです。
「テレビ放送とモバイルの融合」というのは既に行われていますが、「モバイル放送とモバイル通信の融合」は、これから迎えることになります。
新たな市場が開かれることは、モバイルサイトディレクターとして非常に楽しみなことであり、livedoorは得意とする「CGM(Consumer Generated Media)」分野で、貢献できることも多いのではないかと思っています。
今後とも、livedoor と『ケータイlivedoor』をよろしくお願いいたします。
必見! livedoor ネットラジオ/ねとらじ運営のディレクター術
今回はネットラジオのちょっとした紹介とポッドキャストの録音編集術を書きたいと思います。
『ねとらじ』は元々個人運営していたものをライブドアがM&Aしたということを存じでしょうか? 当時、『icecast』(アイスキャスト)というラジオサーバソフトを用いて運営していたのですが、とても個人では運営仕切れないほどのユーザー数になってしまい、ライブドアが運営することになりました。
そんな『ねとらじ』ですが、ほかのサイトとは違う“特殊な点”がいくつかあります。これは面白い点でもあり大変なことでもあるんですけど……。説明も交えてその特殊な点を紹介したいと思います。
<ライブストリーミングとは?>
『ねとらじ』はライブストリーミングとポッドキャストのコーナーに分けられてますが、当初はライブストリーミングしかありませんでした。実は『ねとらじ』はポッドキャストサイトでは無くライブストリーミングサイトのことを主に指しています。ではライブストリーミングとは何なのでしょうか?
簡単に説明するとユーザーが生配信できてしまうサービスです。「ライブドアがサーバを貸すので自由に生配信をやっても良いよ」というサービスなのです。
元々『ねとらじ』は『2ちゃんねる』という掲示板サイトで人気があったものなので、盛り上がり方やユーザーが『2ちゃんねる』ユーザーに偏りがちなのですが、たまにとてもおもしろいことをしてくれます。
懐かしいものではkobaryuさんによる『POPSTAR』の替え歌である『VIPSTAR』などが有名です(過去にライブドアの忘年会にも出演経験あり)。
やはり生配信は実況向きで、現在のニュースを延々と語るラジオなどはかなりのリスナー数を獲得しています。
こんなライブストリーミングですが、ログが残らないため生配信が終わるとユーザーが聴くことができません。誰かが運良く録音していたものをアップしてもらうのを待つだけです。
※もちろん運営側ではログを取っています。
また生配信のためパーソナリティーとユーザーがリアルタイムに交信できる、いわゆるチャット状態になるのも最大のウリです。『ねとらじ』の配信者は配信時に『2ちゃんねる』や『したらばBBS』にスレッドを立て、人集めを行ったうえでコミュニケーションを図ります。スレッドに書かれたことを延々と読んでいくというラジオもざらではありません。暇があるから『ねとらじ』をするという方も多いようです。一度やるとクセになるライブストリーミング、皆さんもやってみてはいかがでしょうか?
<ポッドキャストの録音と編集方法>
ライブストリーミングとは違い、いつでもオンデマンドで聴けるのがポッドキャストです。ダウンロードして聴いてもよし、『iPod』に入れて聴いてもよし、自分の環境に合わせて時間のあるときに聴けるのが特徴です。
そんなポッドキャストはどのように作られているのか? サラっと簡単に説明しちゃいます。
録音機材にマイクを準備、指向性のあるマイクを選べば余計なノイズを拾わずに収録できるので最適です。その代わりマイクがひとり1個必要となり、複数の人数で収録する場合はマイクが人数分必要となります。
そんなときに便利なのが、他指向性マイク。みんなの真ん中に置いておけば全員の声を拾ってくれます。その代わり余計な音やヒスノイズを拾ってしまいます。解決方法は後ほど……。
マイクを使う際にはパソコンやレコーダーに接続して録音を行うのですが、最近では高音質なボイスレコーダーが販売されているのでそちらもお勧めです。私が使用しているボイスレコーダーは、『EDIROL』(エディロール)という会社が販売している『R-09』です。これはかなり音質がよく臨場感もたっぷり。 MP3形式での録音も可能なのでSDカードに何時間も録音できます。もちろんボイスレコーダーは皆さんの好きなものを選んでください。
結構余談が入ってしまいましたが、次は録音したポッドキャストの編集です。
そのまま公開しても味があって良いのですが、せっかく収録したものなので音を付けたりミステイクを削除したりと“編集”をすると聴いてる側も聴き心地が良いはずです。
波形編集ソフトなど有料無料など各種ありますので好みのものを使って音楽をミックスさせたり、ノイズ除去を行ったりしてみると楽しいです。
ではここで、株式会社ライブドアホールディングス代表取締役平松庚三のポッドキャスト番組、『働くひらまっちゃん劇場』を例に挙げて編集方法をご説明していきます。
収録にはスタンドマイク2台、ゲストが来る際は3台使用、それらのマイクを接続するミキサーは『YAMAHA MW10』で、USB接続なのでデジタル収録が可能です。『働くひらまっちゃん劇場』はこれらを用いて収録してます。
録音時はパソコンに録音ソフトを導入する必要があります。Windows付属の『サウンドレコーダー』では機能不足なので、無償ソフトをダウンロードして使うことをお勧めします。
私個人は『Cycle of 5th』(サイクルオブフィフス)が開発している、『SoundEngine Free』(サウンドエンジンフリー)を使用しています。録音だけならこれで十分です。マルチトラックには対応していませんが、ほかにもフリーの高機能波形編集ソフトはたくさんあるので探してみてください。
いざ収録すると時折ミスをすることがあります。咳き込んだり、司会進行役の頭が真っ白になって「もう一回!!!」とか言い出すときがあります。そんなときはテキストエディタにタイムレコードを作り、「05:15 要編集」と書いておきます。こうしてメモしておくと実際の編集の際に非常に便利です。この辺のやりかたは各個人やりかたがあると思うので、やりやすい方法をお勧めします。あくまでも私個人の場合です。
では次に編集に入ります。編集はさすがに前出の『SoundEngine Free』では大変なので、有料のソフトを導入します。『Sound Forge』(サウンドフォージ)や『DigiOnSound』(デジオンサウンド)、『Sound it!』(サウンドイト)『Adobe Sound Booth』(サウンドブース)などいろいろありますが、私は『DigiOnSound』を利用しています。『Sound Forge』がマニア向けだとしたら『DigiOnSound』は初級〜中級者向けです。インターフェイスもわかりやすく、初心者の方でも取っつきやすいはずです。
『DigiOnSound』でも機能はそろっていますので十分だと思います。
編集ではミステイク部分などを適当にカットしていきます。この辺の操作はとても簡単で、どの波形編集ソフトも共通です。不必要な範囲を選択して“カット”するだけです。一通りカット編集が終わったら今度は音量調整しましょう。『ノーマライズ』という機能があるのでそれで音量を均一化します。これも大抵のソフトについています。これで音量のばらつきがなくなると思います。
その後はボリュームを少し上げて聴きやすくしてあげます。少し大きいくらいの音量がちょうど良いですね。しかしボリュームを大きくすると“ヒスノイズ”が出るという弊害が起こります。ヒスノイズとは「サー」というあの耳障りなノイズのことです。ここでようやく有料ソフト『DigiOnSound』の本領発揮です。ノイズクリアで“ヒスノイズ”を検出して取り除いてあげましょう。検出量も調節できるので、聴きやすい程度と感じたところで先程までの波形データに反映させます。あまり検出量を多くしすぎると今度はノイズ以外の声や音楽が「モゴモゴ」してしまうので注意してください。
ノイズ除去だけでももっと奥が深いのですが、マニアックになってしまうのでここでは割愛します。
以上の波形に音楽をミキシングすれば、もっとラジオらしくなります。あとはこの音声をMP3などに圧縮してネットワーク上で公開。MP3への圧縮も上記のソフトで簡単にできます。これであなたが編集したラジオが全世界に旅立ちます。
基本的にポッドキャストのデータはモノラルで圧縮しましょう。
なぜステレオじゃ駄目なのか? それは収録中に使っているマイクのほとんどが、モノラルだからです。
基本的にマイクはモノラルだと思ってください(2本使えばステレオになります)。
モノラルで収録した物をステレオで圧縮しても無駄になりますよね。そんなわけでダウンロードする方のことも考えてモノラルに!
と、マニアックなことを書いてしまいましたが、おのおの好きなように配信すれば良いと思います。これはあくまで『働くひらまっちゃん劇場』での収録編集例です。
少し長くなってしまいましたので簡単にまとめておきます。
-収録に必要なもの
スタンドマイク or ボイスレコーダー
録音ソフト(パソコンで録音する場合)
-編集に必要なもの
編集ソフト
素材
-公開に必要なもの
公開場所
以上、ポッドキャストの録音と編集方法でした。
これを読んで皆さんがポッドキャストに少しでも興味を持っていただければと思います。また『ねとらじ』にもポッドキャストコンテンツがあり、おもしろい番組をそろえていますので、興味のある方は聴いてみてください。
まだまだ書きたいことがたくさんあるのですが、今回はこれくらいで。
(livedoor ネットラジオ/ねとらじ担当:高橋)
ネットの街のTシャツ屋さん
まずは、『T-SELECT』がどんなサービスなのかをご説明させていただきますね。『T-SELECT』は、Tシャツのデザインを一般の皆さんから募集し、事務局の選考を通ったデザインをサイトに掲載して注文を受け付けます。10枚以上の注文があったTシャツのみ生産化される仕組みで、販売枚数に応じてデザイン製作者(いわゆるデザイナー)にロイヤリティ報酬をお支払いいたします。デザインのテーマをお題として出す場合もありますが、常時、自由なデザインで募集をかけています。

『T-SELECT』は、デザインする楽しみと着る楽しみを体験できるTシャツ販売サービスなのですが、具体的にどんな楽しみがあるのかというと……
<デザイナー側 3つの「できる」>
・自分のセンスで世界にひとつだけのデザインを創ることができる
・お客さんが購入すれば世に作品を広めることができる
・ロイヤリティがもらえてオサイフをホクホクにすることができる
<購入者側 3つの「できる」>
・『T-SELECT』限定のレアTシャツで個性を出すことができる
・売れれば売れるほど低価格になって得することができる
・デザイナー登録をすれば自分がデザインすることもできる
……という、デザイナーも購入者も嬉しい楽しみがいっぱいのサービスです。このサービスを担当している私も、毎日「どんなデザインのTシャツが人気あるかな?」と販売枚数をチェックしたり、奇抜なデザインを見つけては楽しい気持ちでいっぱいになります。
この『T-SELECT』は、ライブドアだけで運営しているわけではありません。『T-SELECT』の発祥者ともいうべき“面白法人カヤック”さんと共同運営をしています。ちょっとユニークな社名ですが本当にそういう社名なんですよ。では、どうしてカヤックさんは『T-SELECT』というサービスをはじめようと思ったのでしょうか? カヤック・松浦さんにお話を伺いました。
「友人のイカしたTシャツを借りパク……なんてことは、思春期に誰にでも一度は味わう甘酸っぱい経験だと思う。そう、ホントに欲しいものとの出会いって片手に収まるほど数少ないのです。そんな希少な出会いを待ちわびるなら作った方が早いよね!「たくさん買うからまけてよね」の、オバハンスピリット(コレ重要)も取り入れよう! 妄想はどんどん膨らみ、今の形におさまりました。ケイジェイさん、この妄想をさらに膨らましてゆきましょう!」
なるほど、やはり根本はオバハン……いや、楽しさの追求なんですね。カヤックさんは、いつもおもしろいことを現実のものとしてしまう会社で、『T-SELECT』はそのひとつといえるでしょう。私がよりよいテーマを出せず悩んでいるときは、カヤックさんが先導して素晴らしいテーマを出してくださっています(ここ最近ずっと?)。
そんな『T-SELECT』の担当者として私が心がけていることは、「どんなテーマなら皆さんがデザインをしたくなるかな?」という部分です。いつも「どんなデザインでもOK」という募集をしていますが、イベントとしてテーマに沿ったデザインを募集することもあります。過去に『レトロゲーム風デザイン』『2 ちゃんねる風デザイン』などのイベントも開催してきました。ここはとてもセンスが問われる部分で、あまりセンスがない私(涙)は、いつも四苦八苦しています。デザインする側のセンスはとても重要ですが、テーマを出す側のセンスも問われるというわけですね。たくさんのデザインを応募していただくため、テーマはとても重要なのです。その時代、その季節、そのときにマッチしたテーマを出していくため、世間の動向に敏感でなくてはならないのです。
たとえば、『Wii』が大人気!! ということになったらゲーム関連のデザインを募集したり、『iPod』の新製品が出た!! ということになったら『iPod』ユーザーが喜びそうなデザインを募集したりしています。そのような時事的なブームにあわせてイベントを仕掛ける場合、発案からイベント開始までスピードが重要視されます。ですので、サイトを構築しているカヤックさんと以下のようなやりとりでイベントの展開を進めています。
<イベント開始までの展開>
・発案を上長に報告し許可をもらう
↓
・スカイプにてカヤックさんとMTG
↓
・メールにて原稿や画像などの必要素材を送受信
↓
・スカイプにて微調整報告
↓
・『T-SELECT』に掲載
本当にささいなこと、難しい報告がいらないことはスカイプで済ませてしまいます。「メールでちゃんと報告したほうがいいんじゃないの?」「電話で話したほうが早いんじゃないの?」と思うかもしれませんが、スカイプで連絡をとりあったほうが、お互いに遠慮することなく、小さなこと、細かいことを聞くことができます。もちろん電話もしますしメールだって頻繁にすることがあります。私の場合は、以下のように連絡手段を使い分けています。
<連絡手段の使い分け>
込み入った緊急の話 → 電話
些細な疑問や微調整、確認 → スカイプ
データの送信や最終的な確認と関係者への周知 → 電子メール
自分での感覚でしかありませんが、スカイプを使用した場合、電話とメールだけで業務を進めたときよりも30〜40パーセントは作業効率が良くなっていると思います。重要なことなどはメールや電話が基本ですが、皆さんもスカイプやご利用中のインスタントメッセンジャーをもっと活用してみてはいかがでしょうか? 少なくとも作業効率がマイナスにはならないと思います。
それでは、今後とも『T-SELECT』ともども、livedoor をよろしくお願い申し上げます。
■関連リンク
『T-SELECT』公式サイト
『T-SELECT』ペンギンTシャツイベント
『面白法人カヤック』公式サイト
雑誌編集者は、ウェブディレクターになれないのっ?
「紙の編集者はいらない!」
と、のたまわったのは、ライブドアの中の人ではなく、某ウェブ 2.0系出版社の社長さん。僕にとっては、紙の編集者としても、インターネットビジネスにおいても大先輩にあたる人なんですが。
「発想がどうしても、紙から抜け出さないからさ。だからウェブディレクターは経験者、専門家を雇う」
言いたいことはわかるけど、ちょっと痛かった。
僕は、もともと、メインフレームのOSまわりのエンジニアだったんだけど、その後、雑誌編集者を15年やった。
なので、CGMとか動的なウェブサイトではシステム屋っぽい発想をする一方で、静的なページを企画するときは、雑誌の発想が抜けない。最初のうちは、けっこうとまどった。
タレントさんのインタビュー企画で、全身写真を縦長にバン!と突き通すようなページを外注で作ったら、
「これ、紙のレイアウトですよね。ウェブじゃありえないですよ」
えー! すでにこのレイアウトで、数回分タレント事務所のOKとって取材進めているのに。。
このとき知ったのは、ウェブのレイアウトは、どちらかというと横長の要素を積み上げるように考えていく、ということ。
パソコンの限定された画面の制約のなかで、見やすく効率よく要素を並べるには、雑誌のレイアウトとは、違う発想をしなければならない。
企画 ⇒ 発注 ⇒ 制作 ⇒ 出版(公開) |
紙の出版でも、書籍と雑誌では、仕事の流れや方法論は異なる。
ウェブサイトでも、1つの分野に特化したサイトとポータルサイトでは、ちょっと異なるようだ。ライブドアのような大手のポータルサイトは、大規模なスタッフを抱える週刊誌編集部に似ていなくもない。
●メディア
雑誌編集者の視点で、むりやり比較してみると、こうなる。
雑誌 | ⇔ | ポータルサイト |
表紙、目次 | ⇔ | トップページ |
特集、連載 | ⇔ | 各サービス |
広告 | ⇔ | 広告 |
・さまざまなニーズを満たすサービス(記事)の集合体としてポータルサイト(雑誌)が存在する。
・多くのユーザー(読者)に支持されて、PV(部数)が増えると、広告で大きな売上げがあがる。
メディアとしても、ビジネスモデルでも、ポータルサイトは雑誌によく似ていると思いませんか?
●制作過程
記事企画書 | ⇔ | サービス企画書 |
台割、サムネイル | ⇔ | サイトマップ |
カンプ、ラフレイアウト | ⇔ | 画面構成書、仕様書 |
デザイン | ⇔ | デザイン |
原稿(ネーム、図版) | ⇔ | テキスト、図版、プログラム |
DTPデータ、校正紙 | ⇔ | HTML、HTMLテンプレート |
校了 | ⇔ | 公開 |
企画書作って、全体の見通しをサムネイル化して、各画面(ページ)の構成を視覚化しするのは、ほぼ同じ。
ただ、紙の画面構成書の中に、画面上の動きも指定しなければならないのが、紙の編集者にとっては、面倒というか慣れるのに時間がかかる。
●スタッフ
編集長 | ⇔ | ? |
副編集長 | ⇔ | シニアマネージャ |
デスク | ⇔ | マネージャ |
編集者 | ⇔ | ディレクター |
デザイナー | ⇔ | デザイナー |
DTPオペレーター | ⇔ | HTMLマークアップエンジニア |
印刷会社 | ⇔ | データセンター |
? | ⇔ | プログラマ |
編集者/ディレクターをとりまく、仕事の関係者の構成もよく似ている気がする。
ただし、大きな違いが2つある。ひとつは、プログラマの存在。ブログやWikiのように、ユーザーの操作に応じて動作するページを作りたかったら、仕様を決めてプログラマに発注しないとならない。
ここは結構ハードルが高く感じるところだが、まあ、やって覚えるしかない。
もう1点、比較表を作ってみて始めて気がついたのだが、ポータルサイトには編集長がいない。
我が儘かつ傍若無人に雑誌と編集部を支配し全権をふるう「編集長」がポータルサイトにはいないのである。
この編集長がいない、という部分が、実は一番大きな違いかも。
校了直前に「この写真を笑顔にする」とか「このレベルのインタビューをあと10本とってこい!」(いずれも実話)なんて無理難題をいう編集長がいないということは、一面ラクではあるが、クオリティの最終責任が、現場のディレクターの判断におかれているということで、より責任が重いとも言えるかも。まあ、そこがウェブディレクターの面白いところかもしれない。
●確かめてみる?
これらの違いは、発売したら2度と修正がきかない雑誌と、状況に応じて微修正ができるウェブという、メディアとしての形態の違いが作り出しているのだろうか?
それとも、バラ科の「山吹」と芥子科の「山吹草」が異なる科から進化して、よく似た花を咲かせるように、出版社とシステム会社が、よく似た性質のメディアを作りだしたための結果なのだろうか?
もし、あなたが出版業界の人なら、1度自分の体で体験&確認してみますか?
モバイルサイトのデザイン
今回は、モバイルサイトのデザインの決め方、デザイナーとの仕事の進め方をご紹介したいと思います。
モバイルサイトのデザインというと、画面が小さいし容量制限も厳しいし、デザインのやりようがないのでは? と思うかもしれません。
確かに 1 年程前まではそんな状況だったのですが、世間的に 3G 端末が普及し、容量制限の緩和、通信速度の向上とモバイルサイトを華やかに魅せる環境が整いつつあります。
そこで『ケータイ livedoor』も昨年後半あたりから少しずつ 3G 端末をメインとした開発を行っており、今ではモバイルサイトの“こったデザイン”が必須となっています。
これまで、サイト開発時にディレクターがデザイナーにお仕事を依頼するタイミングは、サイトのリリース直前という場合がほとんどでした。最後の仕上げとして、ロゴデザインのみを依頼するカタチが多かったのです。しかし現在は、仕様が決まった段階でデザイナーが入り、ディレクターが考えたレイアウトを元に、ロゴの他にタイトル、ライン、見出しなど、どの部分を画像にするか全体のバランスを見ながらデザインカンプを作成してもらい、ディレクターがそれを元にコーディングを行う進め方が多くなってきました。
デザインカンプ作成の際に、モバイルサイトならではの検討事項として、画像のひとつあたりの容量とサイズ、画像とテキストを含めたページ全体の容量を検討しなければなりません。それに加えて初めてのレイアウトに挑戦するときは、画像を 1行に複数並べる場合、ひとつあたりの画像サイズはいくらか、画像とテキストを 1行に並べる場合、画像サイズとテキストはいくつにするとレイアウトが崩れないかなどをデザイナーと調査します。
調査後、1ピクセル、1バイト単位でレイアウトが大きく変わってくるため、キャリア(Docomo、KDDI、SoftBank)、世代(900・902シリーズ、W2X・W4Xシリーズなど)別にレイアウトが崩れていないか、表示ストレスがかからないかなど、システムが乗ったときのことも考えながら綿密に検証を行います。
ちなみにケータイ livedoor の場合、ページ全体の容量は 30 キロバイト前後を目安にしており、画像とテキストを 1行に並べるときの画像サイズ、テキストのバイト数は、QVGA を基準に、画像は横 80 ピクセル以下、テキストはフォントサイズ(小)を指定して 1 行 20 バイト前後を目安にレイアウトを決めています。
レイアウトの問題もクリアし、デザインを決める際に「どんなテイストでデザインしてほしいか」をデザイナーに伝えるのですが、伝え方に気をつけたいのが、「ポップな感じ」「若年層が好みそうな感じ」など、言葉だけで伝えてしまうことです。「ポップな感じ」といっても人それぞれの考えがありますよね。とらえ方やイメージするものがひとりひとり異なるので、テイストの参考になるサイトの URL や雑誌などの資料を用意します。
資料を揃えるだけでなく、デザイナーにとってストレスなくデザインをしてもらうために、テイストに得意・不得意がないかを気にかけています。デザイナーだからイラストが描ける、デザインができる、と当たり前に思ってしまいがちですが、なかにはどちらか一方が苦手という方もいます。「苦手なの?」とズバリ聞いてしまうのはアレなので、担当のデザイナーが日ごろどんなデザインをしているのか気にかけて、依頼するときはデザイナーのセンスが 100% 発揮できるように考える努力をしています。
スケジュールの決め方について、デザインする部分が多い場合、細かくスケジュールを区切り、テイストにぶれがないか、スケジュールに問題はないかなどの調整や相談をしながら進めていきます。そんなこんなで、デザイナーと進めながらできたコンテンツを一部ご紹介します。

いかがでしたか? 季節はずれのコンテンツが混じっていますが、デザイナーの協力のもと新しいレイアウトに挑戦しつつバージョンアップしています。これからも『ケータイ livedoor』や『nowa』などをはじめ、livedoor コンテンツをよろしくお願い致します。
ライブドアWebディレクターの職場環境と統計
最近の社内の様子はこんな感じです↓
■エントランス

■社内風景

ウェブディレクターが仕事をするときのパソコン使用環境を調査してみました。以前は備品やパソコンは支給されず、個人としてパソコンを購入し、福利厚生の手当てにて出費を補う方式をとっていました。現在は、ノートパソコン1台が全社員に支給され、業務を進めています。
『livedoor ディレクター Blog』で記事を書いている部署は3つあり、今回の社内環境の統計は、その3部署と執行役員1名を含めた総勢25名のものになります。
<3つの部署>
・ソーシャルメディア部コンシューマーメディアグループ
・ソーシャルメディア部モバイルメディアグループ
・インフォメーションメディア部


ノートパソコン総使用数36台 1人平均1.4台です
デュアルモニター総使用数14台 社員の2人に1人がデュアルモニターを使用していることになります。
デスクトップパソコンを使用している方はたったの2人!(これは意外でした)
本当に個々で使い分けがバラバラでした。
コンシューマーメディアグループは10人中9人がデュアルモニターを使用しています。
反面、モバイルグループは7人中6人がノートパソコン1台で仕事をしています。
それでは実際にウェブディレクターのデスクを見てみましょう

■ウェブディレクター

谷口マネージャーのデスクです。
ノートパコソン2台、デスクトップ1台、デュアルモニター1台
メール確認用、IRCやメッセンジャー等使い分けているようですね。
余談ですが、社内にはちゃんとウォーターサーバー(天然水飲み場)が置いてあります。

自動販売機(プリンも売ってる)もありますが、ウォーターサーバーは嬉しいです。


個性豊かな社員が多いライブドア

では、ほかの部の開発部の方々のデスクもご紹介しましょう!
■デザイナー

■マークアップエンジニア

■プログラマー

各職種によってパソコンの仕様が違います


デザイナーさんのフィギュアは製作意欲が湧きそう!
マークアップエンジニアさんは整理整頓されていてとても綺麗なデスク。
プログラマーさんはモニターに囲まれちゃってますね〜。
つぎは


(こちらもlivedoorディレクターBlog執筆25名の統計になります。)
♂男性♂18名:♀女性♀7名
3:1の割合です。
ちなみにモバイルグループに女性は4名います。
私が所属するコンシューマグループでは、私がただ1人の女性です。
女性にとってどんな職場環境か気になるでしょう。
生理休暇は月に2回とれます。
産休も取れて、職場復帰している方も大勢います。
仕事の内容に男女の差は特にありません。
「ウェブディレクターになりたい!」と思った方livedoorのスタッフ募集に応募してみてください!
会社の詳細はこちらをご参照ください。
お待ちしております(●´ω`●)

おまけ
※最近社内で見つけたおもしろグッズ
バランスボール

一日パソコンに座ったままでいると運動不足で……
そんな時はバランスボールで運動しながらお仕事です。
滞在型広告の発明
今回は、ウェブサービスのトレンドに関係した話しとして、滞在時間を重視したサイトにおいて「新しいタイプの広告を発明する必要があるのではないか?」という話をしたいと思います。
最近、サイトの視聴率調査をしているニールセン・ネットレイティングス社が、PVでなく滞在時間でサイトをランキングするむねを発表しました。その理由はもっともだと思います。イケているサイトほどアプリケーション的なページ遷移をしなくてもすむように作られているからです。
といっても、従来のようなページ遷移をするサイトもまだまだ健在ですので、現状としてサイトは「遷移型サイト」と「滞在型サイト」が混在しているといえます。
ここで改めて問題になってくるのは、これまでのもっとも一般的な広告である「バナー」は“長く滞在するサイトには向いていない”ということです。というのは、サイトを訪れたユーザーが最初にバナー見て興味をもたなかった場合、改めて興味を持つことはまれだからです。滞在しているあいだ、バナーの内容が変化しないためです。
一方、ページ遷移を頻繁に行うサイトではバナーが有効です。ユーザーが次にどのページに遷移したとしても、各ページに貼られたバナーは目新しく映ります。
ここで、従来のサイトである「遷移型サイト」に適した広告を「遷移型広告」とし、滞在時間が長いサイト「滞在型サイト」に適した広告を「滞在型広告」として分け、後者の「滞在型広告」について、どのようなパターンがありうるかを考えてみたいと思います。というのも、これまで「滞在型サイト」自体が少なかったので、それに向いた広告は何か、という話しはあまりされてこなかったからです。
あまり概念を重ねてもぼんやりとしてしまうので、例として具体的なサイトを挙げて、そのサイトにどのような広告が適しているかを考えてみることにします。
仮に、新ブログ「nowa」内の「チャンネルページ」でどのような広告を出せばいいのかを考えてみるとしましょう。チャンネルは、共通のテーマで話すチャットルームのような場所で、参加者がダラダラと話す、滞在時間を重視した場です。たとえば「サッカー日本代表」というチャンネルでは、参加者がアジアカップの試合を観ながらずっとこの画面を表示していたことを示す記録が見てとれます。
では、こういったチャンネルページの横に広告を出すとすれば、どのようなものがいいでしょうか。まず考えられるのは、「ずっと変化しつづけるものがいい」ということです。
「バナーをローテーションで回せばいいじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、現実的に5つぐらいのバナーを回すぐらいがやっとで、効果も薄いのではないかと思います。コンテンツマッチ広告でも、同じページに対してそこまでのバリエーションのある見せ方はできそうにありません。つまり、変化といっても ローテーションによる繰り返しではなく、常に新しい情報が流れるようにした方がよさそうです。
例えば、コマースサイトの注目の商品情報のRSSフィードを読み込んで「話題の商品がダラダラと表示され続ける」といった RSS を利用する方法があると思います。RSSフィードの広告化については、フィードに広告を差し込む方法がありますが、滞在型サイトにおいては、RSSフィード自体を広告としたものが有効になってくるのではないでしょうか。
次に考えられるのは、「動画広告」です。かといって、従来のCMのような瞬間的なものを何度も映すのも目障りだし、同じものを何回も流しても効果が薄そうです。たとえば、今話題の「ustream」のようなライブ情報をダラダラ流す、というのはどうでしょうか。よくペットショップの店頭には、ペットの入ったショーケースが設置されていますが、あれをウェブカメラで撮って「ペットに関係するチャンネルの横でダラダラ放映しておく」というのもできそうです。次第に情がうつって、あんがい買ってしまうかもしれません。
このようなダラダラしたライブ映像は、あまりコンテンツの邪魔になりませんし、常に変化し続けるので滞在しているユーザーの気を断続的に引くことができるのではないでしょうか。この場合、「動画広告」というより「放送広告」とでも呼んでもよいかもしれません。
最後に考えられるのは、ゲームです。一方的にユーザーにPR するのではなく、ユーザーに参加してもらう形で、滞在型サイトにマッチしたゲーム的な広告はないものでしょうか。ユーザーがずっと滞在していると考えると、運営側がゲームの課題を用意した場合、課題を解いてしまえば終わってしまううえに、滞在時間が長いほどそれだけ課題を用意しなければいけないので破綻しそうです。
なので、永遠に終わらないゲーム、たとえば対戦ゲームであるとか、ユーザー自身が課題を設定できるユーザー作成型ゲーム(Consumer Generated Game?)というものを用意した上で広告に絡ませる、ということができるのではないかと思います。ユーザー作成型ゲームについては話が長くなるので、また別の機会にその可能性についてお話できればと思います。
以上の「滞在型広告」は近い将来の話で、当分は滞在型サイトであっても従来のような広告を出していくことになると思います。しかし、今から「滞在型広告」の試みを仕かけていかなければ、将来的に出遅れることになるのではないかと思います。
関連リンク
・Ajaxや動画で陳腐化する「ページビュー」というモノサシ(NIKKEI NET)
・ネットレイティングス・プレスリリース(PDF)