こんにちは。「nowa」や「livedoor リスログ」などのディレクターを担当している谷口です。
今回は、ウェブサービスのトレンドに関係した話しとして、滞在時間を重視したサイトにおいて「新しいタイプの広告を発明する必要があるのではないか?」という話をしたいと思います。
最近、サイトの視聴率調査をしているニールセン・ネットレイティングス社が、PVでなく滞在時間でサイトをランキングするむねを発表しました。その理由はもっともだと思います。イケているサイトほどアプリケーション的なページ遷移をしなくてもすむように作られているからです。
といっても、従来のようなページ遷移をするサイトもまだまだ健在ですので、現状としてサイトは「遷移型サイト」と「滞在型サイト」が混在しているといえます。
ここで改めて問題になってくるのは、これまでのもっとも一般的な広告である「バナー」は“長く滞在するサイトには向いていない”ということです。というのは、サイトを訪れたユーザーが最初にバナー見て興味をもたなかった場合、改めて興味を持つことはまれだからです。滞在しているあいだ、バナーの内容が変化しないためです。
一方、ページ遷移を頻繁に行うサイトではバナーが有効です。ユーザーが次にどのページに遷移したとしても、各ページに貼られたバナーは目新しく映ります。
ここで、従来のサイトである「遷移型サイト」に適した広告を「遷移型広告」とし、滞在時間が長いサイト「滞在型サイト」に適した広告を「滞在型広告」として分け、後者の「滞在型広告」について、どのようなパターンがありうるかを考えてみたいと思います。というのも、これまで「滞在型サイト」自体が少なかったので、それに向いた広告は何か、という話しはあまりされてこなかったからです。
あまり概念を重ねてもぼんやりとしてしまうので、例として具体的なサイトを挙げて、そのサイトにどのような広告が適しているかを考えてみることにします。
仮に、新ブログ「nowa」内の「チャンネルページ」でどのような広告を出せばいいのかを考えてみるとしましょう。チャンネルは、共通のテーマで話すチャットルームのような場所で、参加者がダラダラと話す、滞在時間を重視した場です。たとえば「サッカー日本代表」というチャンネルでは、参加者がアジアカップの試合を観ながらずっとこの画面を表示していたことを示す記録が見てとれます。
では、こういったチャンネルページの横に広告を出すとすれば、どのようなものがいいでしょうか。まず考えられるのは、「ずっと変化しつづけるものがいい」ということです。
「バナーをローテーションで回せばいいじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、現実的に5つぐらいのバナーを回すぐらいがやっとで、効果も薄いのではないかと思います。コンテンツマッチ広告でも、同じページに対してそこまでのバリエーションのある見せ方はできそうにありません。つまり、変化といっても ローテーションによる繰り返しではなく、常に新しい情報が流れるようにした方がよさそうです。
例えば、コマースサイトの注目の商品情報のRSSフィードを読み込んで「話題の商品がダラダラと表示され続ける」といった RSS を利用する方法があると思います。RSSフィードの広告化については、フィードに広告を差し込む方法がありますが、滞在型サイトにおいては、RSSフィード自体を広告としたものが有効になってくるのではないでしょうか。
次に考えられるのは、「動画広告」です。かといって、従来のCMのような瞬間的なものを何度も映すのも目障りだし、同じものを何回も流しても効果が薄そうです。たとえば、今話題の「ustream」のようなライブ情報をダラダラ流す、というのはどうでしょうか。よくペットショップの店頭には、ペットの入ったショーケースが設置されていますが、あれをウェブカメラで撮って「ペットに関係するチャンネルの横でダラダラ放映しておく」というのもできそうです。次第に情がうつって、あんがい買ってしまうかもしれません。
このようなダラダラしたライブ映像は、あまりコンテンツの邪魔になりませんし、常に変化し続けるので滞在しているユーザーの気を断続的に引くことができるのではないでしょうか。この場合、「動画広告」というより「放送広告」とでも呼んでもよいかもしれません。
最後に考えられるのは、ゲームです。一方的にユーザーにPR するのではなく、ユーザーに参加してもらう形で、滞在型サイトにマッチしたゲーム的な広告はないものでしょうか。ユーザーがずっと滞在していると考えると、運営側がゲームの課題を用意した場合、課題を解いてしまえば終わってしまううえに、滞在時間が長いほどそれだけ課題を用意しなければいけないので破綻しそうです。
なので、永遠に終わらないゲーム、たとえば対戦ゲームであるとか、ユーザー自身が課題を設定できるユーザー作成型ゲーム(Consumer Generated Game?)というものを用意した上で広告に絡ませる、ということができるのではないかと思います。ユーザー作成型ゲームについては話が長くなるので、また別の機会にその可能性についてお話できればと思います。
以上の「滞在型広告」は近い将来の話で、当分は滞在型サイトであっても従来のような広告を出していくことになると思います。しかし、今から「滞在型広告」の試みを仕かけていかなければ、将来的に出遅れることになるのではないかと思います。
関連リンク
・Ajaxや動画で陳腐化する「ページビュー」というモノサシ(NIKKEI NET)
・ネットレイティングス・プレスリリース(PDF)
今回は、ウェブサービスのトレンドに関係した話しとして、滞在時間を重視したサイトにおいて「新しいタイプの広告を発明する必要があるのではないか?」という話をしたいと思います。
最近、サイトの視聴率調査をしているニールセン・ネットレイティングス社が、PVでなく滞在時間でサイトをランキングするむねを発表しました。その理由はもっともだと思います。イケているサイトほどアプリケーション的なページ遷移をしなくてもすむように作られているからです。
といっても、従来のようなページ遷移をするサイトもまだまだ健在ですので、現状としてサイトは「遷移型サイト」と「滞在型サイト」が混在しているといえます。
ここで改めて問題になってくるのは、これまでのもっとも一般的な広告である「バナー」は“長く滞在するサイトには向いていない”ということです。というのは、サイトを訪れたユーザーが最初にバナー見て興味をもたなかった場合、改めて興味を持つことはまれだからです。滞在しているあいだ、バナーの内容が変化しないためです。
一方、ページ遷移を頻繁に行うサイトではバナーが有効です。ユーザーが次にどのページに遷移したとしても、各ページに貼られたバナーは目新しく映ります。
ここで、従来のサイトである「遷移型サイト」に適した広告を「遷移型広告」とし、滞在時間が長いサイト「滞在型サイト」に適した広告を「滞在型広告」として分け、後者の「滞在型広告」について、どのようなパターンがありうるかを考えてみたいと思います。というのも、これまで「滞在型サイト」自体が少なかったので、それに向いた広告は何か、という話しはあまりされてこなかったからです。
あまり概念を重ねてもぼんやりとしてしまうので、例として具体的なサイトを挙げて、そのサイトにどのような広告が適しているかを考えてみることにします。
仮に、新ブログ「nowa」内の「チャンネルページ」でどのような広告を出せばいいのかを考えてみるとしましょう。チャンネルは、共通のテーマで話すチャットルームのような場所で、参加者がダラダラと話す、滞在時間を重視した場です。たとえば「サッカー日本代表」というチャンネルでは、参加者がアジアカップの試合を観ながらずっとこの画面を表示していたことを示す記録が見てとれます。
では、こういったチャンネルページの横に広告を出すとすれば、どのようなものがいいでしょうか。まず考えられるのは、「ずっと変化しつづけるものがいい」ということです。
「バナーをローテーションで回せばいいじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、現実的に5つぐらいのバナーを回すぐらいがやっとで、効果も薄いのではないかと思います。コンテンツマッチ広告でも、同じページに対してそこまでのバリエーションのある見せ方はできそうにありません。つまり、変化といっても ローテーションによる繰り返しではなく、常に新しい情報が流れるようにした方がよさそうです。
例えば、コマースサイトの注目の商品情報のRSSフィードを読み込んで「話題の商品がダラダラと表示され続ける」といった RSS を利用する方法があると思います。RSSフィードの広告化については、フィードに広告を差し込む方法がありますが、滞在型サイトにおいては、RSSフィード自体を広告としたものが有効になってくるのではないでしょうか。
次に考えられるのは、「動画広告」です。かといって、従来のCMのような瞬間的なものを何度も映すのも目障りだし、同じものを何回も流しても効果が薄そうです。たとえば、今話題の「ustream」のようなライブ情報をダラダラ流す、というのはどうでしょうか。よくペットショップの店頭には、ペットの入ったショーケースが設置されていますが、あれをウェブカメラで撮って「ペットに関係するチャンネルの横でダラダラ放映しておく」というのもできそうです。次第に情がうつって、あんがい買ってしまうかもしれません。
このようなダラダラしたライブ映像は、あまりコンテンツの邪魔になりませんし、常に変化し続けるので滞在しているユーザーの気を断続的に引くことができるのではないでしょうか。この場合、「動画広告」というより「放送広告」とでも呼んでもよいかもしれません。
最後に考えられるのは、ゲームです。一方的にユーザーにPR するのではなく、ユーザーに参加してもらう形で、滞在型サイトにマッチしたゲーム的な広告はないものでしょうか。ユーザーがずっと滞在していると考えると、運営側がゲームの課題を用意した場合、課題を解いてしまえば終わってしまううえに、滞在時間が長いほどそれだけ課題を用意しなければいけないので破綻しそうです。
なので、永遠に終わらないゲーム、たとえば対戦ゲームであるとか、ユーザー自身が課題を設定できるユーザー作成型ゲーム(Consumer Generated Game?)というものを用意した上で広告に絡ませる、ということができるのではないかと思います。ユーザー作成型ゲームについては話が長くなるので、また別の機会にその可能性についてお話できればと思います。
以上の「滞在型広告」は近い将来の話で、当分は滞在型サイトであっても従来のような広告を出していくことになると思います。しかし、今から「滞在型広告」の試みを仕かけていかなければ、将来的に出遅れることになるのではないかと思います。
関連リンク
・Ajaxや動画で陳腐化する「ページビュー」というモノサシ(NIKKEI NET)
・ネットレイティングス・プレスリリース(PDF)
コメント
コメント一覧 (1)
バナー広告の内容に興味があって、それでもクリックしない、それはなぜでしょう?
答えは簡単、今見ているページへの興味>バナーへの興味、だから。
そして、バナーがFLASHだったりなんかしちゃった場合、新しいウインドウorタブでは開けない時があるから、折角今見ているページが移動してしまったりする不安も。
そして解決策。
livedoor readerのキーボードショートカットのように、バナー・テキスト広告をクリックしたら、とりあえず画面領域の半分くらいのサイズまで広告領域が広がる、なんてのはどうでしょう。
ジオシティーズなど、最初は大きな広告があって閉じることのできるページはありますが、逆の方がいいですね。
ユーザーは興味があれば、自分で開くはずなんです。