こんにちは。『livedoor Blog』のモバイル版担当ディレクターの早岡です。

現在、モバイルサイトの市場は大きく「コンテンツ市場」と「コマース市場」の2つに分かれています。
「モバイル・コンテンツ・フォーラム」の調べによると、2006年度のモバイル関連市場の売り上げは9,285億円で、そのうちコンテンツ市場が占める売り上げは3,661億円と、コマース市場に圧されています。

これは、売り上げ単価が異なることが原因だと思いますが、今後、モバイルコンテンツ市場が発展していく過程において、特に求められるのは、量ではなく「質の高さ」ではないかと思います。

テレビCM等での告知を目にした方も多いかと思いますが、2011年7月24日までにアナログテレビ放送が終了し、デジタルテレビ放送へと移行します。この地デジ移行は、今後のモバイルコンテンツ市場を大きく変えるのではないかと思っています。

地デジ放送への移行が完全終了すると、アナログ放送で使用していた周波数帯が空くことになります。現在、この周波数帯を「ケータイ端末向けマルチメディア放送」として使用することが、総務省によって検討されています。もしこれが決定事項となると、今後はワンセグ放送だけではなく、『スカイパーフェクTV!』のような「生放送あり、PPVあり、専門チャンネルあり」といった「放送サービス」事業がケータイでも始まるようになります。それは、モバイルコンテンツの「質」を向上させることに繋がります。

最新のケータイ端末は、大容量の動画を閲覧することができるようになっています。
しかし、容量は増えたものの「質」という観点では、まだまだユーザーを満足させるものに至っておりません。
初めてワンセグケータイでのテレビ放送を見たとき、その質の高さに驚かされました。
「通信サービス」と「放送サービス」の違いを見せつけられた気がしたわけですが、この「放送サービス」がケータイコンテンツ市場に本格参入すると、現在1兆円規模のモバイル市場を、さらに大きな角度で増長させる可能性があります。長編映画やスポーツ放送など、現在は提供されていないコンテンツが増えることになりますし、質が向上することによって、コンテンツ単価が上がっていくのではないかと思います。

しかし「モバイル市場」が大きくなるとはいえ、「通信サービス」を提供している私たち(特にコンテンツ課金を行っている会社)にとっては、放送サービスの参入は非常に脅威的な存在であるといえます。

とはいえ、多チャンネル化によってユーザーのコンテンツ選択肢は広がりますが、放送サービスは情報提供を「一方的」に行っているというイメージがあります。コンテンツで勝つのは難しいのかもしれませんが、「コンテンツと人」「人と人」を結びつける仲介役は、今後も通信サービスが担っていくはずです。

「テレビ放送とモバイルの融合」というのは既に行われていますが、「モバイル放送とモバイル通信の融合」は、これから迎えることになります。
新たな市場が開かれることは、モバイルサイトディレクターとして非常に楽しみなことであり、livedoorは得意とする「CGM(Consumer Generated Media)」分野で、貢献できることも多いのではないかと思っています。

今後とも、livedoor と『ケータイlivedoor』をよろしくお願いいたします。