こんにちは、ディレクターのほうの谷口です(余談ですが、ライブドアには3名の谷口がいて、私はプログラマーじゃないほうの谷口です)。今回は、ユーザーテストについてお話したいと思います。
ユーザーテストは、ウェブサイトの新規立ち上げやリニューアルの際、ユーザーがウェブサイトやプロトタイプを実際に操作してもらう様子を目の当たりにすることで、問題点を発見する方法です。
ライブドアのサービスは、作る側とユーザー像が近いことが多かったので、頻繁にはユーザーテストをしてきませんでした。しかし、今後は自分たちと違うユーザー像も対象としていきたいことから、ユーザーテストの数を増やしていきたいと思っています。
ユーザーテストの専門会社に頼むという手もあり、そうすることで厳密に調査をしてくれます。しかし、ポイントをしぼって外注せずにすむ方法もあるので、ここに紹介します。
1. 被験者は友人か知り合いでいい
専門会社に依頼すると、サイトのターゲットに近い属性をランダムに抽出してくれますが、友人で狙いに近い人がいれば、それにこしたことはありません。まずは社内で探してみることをオススメします。
2. 被験者は5人でいい
基本、ユーザーは似たことをいいます。6人目ぐらいから「これは以前聞いたな」という意見が多くなり、5人までで8割の意見はとれると思います。
3. カンタンなゴールを与えよう
被験者には、前もって操作をする目的を伝えます。コマースサイトなら、「買いたいと思っている商品を探して購入してください」や、「商品のなかから、自分に合いそうな物を探してください」とかが目的になります。コミュニティサイトなら、「このサイトを通じて、友人をひとり作ってください」というのも目的になります。とにかく、サイトのジャンルにあったカンタンなもので十分です。
4. 椅子は相手よりさげよう
相手が優越感を感じ、しゃべりやすくなる状況をそろえましょう。さまざまな方法がありますが、自分の椅子の高さを相手よりさげておいて「相手が自分を見下すようにしておく」という方もいました。
基本的には、自分がバカっぽいと相手はしゃべりやすくなります。相手が自分の知っていることをしゃべっても、初めて知ったことにしましょう。ただ、被験者が友人の場合のほうが話しやすいので、友人をつれてきたほうが早いです。
5. プロトタイプは紙芝居でもいい
リニューアルの場合、すでにあるサイトをテストに使えばいいだけですが、新規構築の場合は「どの程度のプロトタイプをテスト用に用意するか」という問題があります。というのは、リリース直前にユーザーテストを実施して意見を反映しようにも、いまさら変更できないからです。
手っ取り早いユーザーテストのひとつとして、紙芝居があります。主要画面のデザインができた段階で、それを紙にコピーしてユーザーに見せ、紙に印刷されたボタンをクリックしたらクリックした先に対応した画面の紙を差し出す、という紙芝居です。さらに前段階でやりたい場合は、構成を紙に書いてやる方法もあります。この場合、手書きの方が被験者が意見を言いやすくなるので、わざと汚く書くという方もいました。
参考画像では極端にふざけて書きすぎましたが、手書きのニュアンスの方がおすすめです。
上記は、ユーザーテストを計画するときのポイントでしたが、下記は、実際のユーザーテストを行う際のポイントです。
6.「今何を考えていますか?」と聞こう
ユーザーテストの教科書などでは、まず被験者に「自分の考えていることを口に出してしゃべってください」とお願いするとあります。しかし実際には、被験者は操作に夢中になっているわけで、問いかけなければしゃべってくれません。なので、被験者が何かを迷っていたり、考えていたら「今何を考えていますか?」または「今何をしようとしていますか?」と常に聞きましょう。
7. 「そこをクリックすると、どうなると思いますか?」と聞こう。
ユーザーがなにかをクリックしようとすると、いったんそれを止めて「そこをクリックすると、どうなると思いますか?」と聞きましょう。意外なものを想定していたりします。または「その先は、どんな画面だと思いますか?」と聞くときもあります。声をかけるのが遅れてしまい、ユーザーが次の画面に移った場合は、「想像していたものと、違いはありますか?」と聞けば問題ないでしょう。
ユーザーテストは基本、ユーザーから見てどのようにウェブサイトが映っているかを探るものです。なので、質問は前述の「今何を考えていますか?」と「そこをクリックすると、どうなると思いますか?」のふたつでほとんどが済みます。
8. やたらうなずこう
前述のふたつの質問にユーザーが答えたら、やたらとうなずいて肯定しましょう。被験者は、自分の操作がヘタだと思われたり、自分の頭が良くない、と思われることを恐れています。その恐れをなくすため、相手が言ったことはすべて肯定し、恐れが見えるようであれば、「このテストは、あなたをテストしているのではなく、サイトがどのように映るか、というサイトのテストです」と“あなたを評価しているわけではない”ことを繰り返し言いましょう。ただ、被験者が友人の場合は、バカにして場を軽くしたほうがいいこともあるかもしれません。
9. 誘導しない
被験者がうまく操作ができなかったり、サイトを理解できない場合、ついつい答えを導こうと自分が発言してしまうときがあります。これは、サイトを作っている人がテストをやっている場合、ついやってしまいがちです。自分が発言する際には、絶えず「この発言は誘導ではないか?」と自分に問いかけてから発言しましょう。といってもやってしまいがちですが。
10. 関係者全員で見よう
ユーザーテストは、できるだけサイトに関わっているスタッフ全員で見学しましょう。というのは、サイトを作っているスタッフが「ユーザーがサイトを使うのを間近で見る」という経験はあまりないからです。そのため、作っている人それぞれが「自分の視点がもっとも一般的だ」と思ってしまい、意見が食い違って話しが進まないときがあります。そのような思い込みをなくすためだけにでも、参加する価値があります。
以上、10のポイントを紹介しましたが、ユーザーテストは経験者を交えて2〜3度やってしまえばある程度できるようになります。「ユーザーの意見」はどの会社でも収集していますが、「ユーザーの行動」を目の当たりにしている会社はあまり多くないと思います。ユーザーは自分の行動を意識せずに行っている場合が多いので、意見に現れる問題点は多くありません。もしくは、操作がわからなくても、「自分のせい」だと思ってしまいます。
このような隠れた問題点を見つけ出すにはユーザーテストは有効ですし、方法がシンプルで習得しやすいのでオススメです。
ユーザーテストは、ウェブサイトの新規立ち上げやリニューアルの際、ユーザーがウェブサイトやプロトタイプを実際に操作してもらう様子を目の当たりにすることで、問題点を発見する方法です。
ライブドアのサービスは、作る側とユーザー像が近いことが多かったので、頻繁にはユーザーテストをしてきませんでした。しかし、今後は自分たちと違うユーザー像も対象としていきたいことから、ユーザーテストの数を増やしていきたいと思っています。
ユーザーテストの専門会社に頼むという手もあり、そうすることで厳密に調査をしてくれます。しかし、ポイントをしぼって外注せずにすむ方法もあるので、ここに紹介します。
1. 被験者は友人か知り合いでいい
専門会社に依頼すると、サイトのターゲットに近い属性をランダムに抽出してくれますが、友人で狙いに近い人がいれば、それにこしたことはありません。まずは社内で探してみることをオススメします。
2. 被験者は5人でいい
基本、ユーザーは似たことをいいます。6人目ぐらいから「これは以前聞いたな」という意見が多くなり、5人までで8割の意見はとれると思います。
3. カンタンなゴールを与えよう
被験者には、前もって操作をする目的を伝えます。コマースサイトなら、「買いたいと思っている商品を探して購入してください」や、「商品のなかから、自分に合いそうな物を探してください」とかが目的になります。コミュニティサイトなら、「このサイトを通じて、友人をひとり作ってください」というのも目的になります。とにかく、サイトのジャンルにあったカンタンなもので十分です。
4. 椅子は相手よりさげよう
相手が優越感を感じ、しゃべりやすくなる状況をそろえましょう。さまざまな方法がありますが、自分の椅子の高さを相手よりさげておいて「相手が自分を見下すようにしておく」という方もいました。
基本的には、自分がバカっぽいと相手はしゃべりやすくなります。相手が自分の知っていることをしゃべっても、初めて知ったことにしましょう。ただ、被験者が友人の場合のほうが話しやすいので、友人をつれてきたほうが早いです。
5. プロトタイプは紙芝居でもいい
リニューアルの場合、すでにあるサイトをテストに使えばいいだけですが、新規構築の場合は「どの程度のプロトタイプをテスト用に用意するか」という問題があります。というのは、リリース直前にユーザーテストを実施して意見を反映しようにも、いまさら変更できないからです。
手っ取り早いユーザーテストのひとつとして、紙芝居があります。主要画面のデザインができた段階で、それを紙にコピーしてユーザーに見せ、紙に印刷されたボタンをクリックしたらクリックした先に対応した画面の紙を差し出す、という紙芝居です。さらに前段階でやりたい場合は、構成を紙に書いてやる方法もあります。この場合、手書きの方が被験者が意見を言いやすくなるので、わざと汚く書くという方もいました。
参考画像では極端にふざけて書きすぎましたが、手書きのニュアンスの方がおすすめです。
上記は、ユーザーテストを計画するときのポイントでしたが、下記は、実際のユーザーテストを行う際のポイントです。
6.「今何を考えていますか?」と聞こう
ユーザーテストの教科書などでは、まず被験者に「自分の考えていることを口に出してしゃべってください」とお願いするとあります。しかし実際には、被験者は操作に夢中になっているわけで、問いかけなければしゃべってくれません。なので、被験者が何かを迷っていたり、考えていたら「今何を考えていますか?」または「今何をしようとしていますか?」と常に聞きましょう。
7. 「そこをクリックすると、どうなると思いますか?」と聞こう。
ユーザーがなにかをクリックしようとすると、いったんそれを止めて「そこをクリックすると、どうなると思いますか?」と聞きましょう。意外なものを想定していたりします。または「その先は、どんな画面だと思いますか?」と聞くときもあります。声をかけるのが遅れてしまい、ユーザーが次の画面に移った場合は、「想像していたものと、違いはありますか?」と聞けば問題ないでしょう。
ユーザーテストは基本、ユーザーから見てどのようにウェブサイトが映っているかを探るものです。なので、質問は前述の「今何を考えていますか?」と「そこをクリックすると、どうなると思いますか?」のふたつでほとんどが済みます。
8. やたらうなずこう
前述のふたつの質問にユーザーが答えたら、やたらとうなずいて肯定しましょう。被験者は、自分の操作がヘタだと思われたり、自分の頭が良くない、と思われることを恐れています。その恐れをなくすため、相手が言ったことはすべて肯定し、恐れが見えるようであれば、「このテストは、あなたをテストしているのではなく、サイトがどのように映るか、というサイトのテストです」と“あなたを評価しているわけではない”ことを繰り返し言いましょう。ただ、被験者が友人の場合は、バカにして場を軽くしたほうがいいこともあるかもしれません。
9. 誘導しない
被験者がうまく操作ができなかったり、サイトを理解できない場合、ついつい答えを導こうと自分が発言してしまうときがあります。これは、サイトを作っている人がテストをやっている場合、ついやってしまいがちです。自分が発言する際には、絶えず「この発言は誘導ではないか?」と自分に問いかけてから発言しましょう。といってもやってしまいがちですが。
10. 関係者全員で見よう
ユーザーテストは、できるだけサイトに関わっているスタッフ全員で見学しましょう。というのは、サイトを作っているスタッフが「ユーザーがサイトを使うのを間近で見る」という経験はあまりないからです。そのため、作っている人それぞれが「自分の視点がもっとも一般的だ」と思ってしまい、意見が食い違って話しが進まないときがあります。そのような思い込みをなくすためだけにでも、参加する価値があります。
以上、10のポイントを紹介しましたが、ユーザーテストは経験者を交えて2〜3度やってしまえばある程度できるようになります。「ユーザーの意見」はどの会社でも収集していますが、「ユーザーの行動」を目の当たりにしている会社はあまり多くないと思います。ユーザーは自分の行動を意識せずに行っている場合が多いので、意見に現れる問題点は多くありません。もしくは、操作がわからなくても、「自分のせい」だと思ってしまいます。
このような隠れた問題点を見つけ出すにはユーザーテストは有効ですし、方法がシンプルで習得しやすいのでオススメです。
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