こんにちは、佐々木です。
今回は、先日行われた「livedoor社内コンペ」に出した企画を例にとって、企画発想法みたいなことを考えてみたいと思います。
といっても実は私、新規サービスの立ち上げという大きな企画に取り組んだ経験がほとんどないため、「企画ってどうやればいいんだ…」と途中で行き詰ってしまいました。
ですので以下に示すのは、私なりの試行錯誤の一例です。参考になるかわかりませんので、どうぞお気軽にご笑覧ください。
■まずはゴールを決めてみました
「こんなサービスあったらないいな」というのはいつも考えていることですが、正式な場でプレゼンする企画となると、欲張りすぎてしまうせいか、うまくアイデアがまとまりません。そこでまずは、思考をシンプルにするためにゴールを決めてみました。
* とにかく儲かるサービス
* とにかくウケるサービス
というのがそれです。
せっかくのコンペなので、ふたつの企画を考えようと思いふたつのゴールを決めてみましたが、通常はひとつでよいと思います。
このようにゴールを決めたことで、
- ウケないかもしれないけど、自分は好きなサービス
- あまり儲からないかもしれないけど、業界内の評価が高そうなサービス
- そこそこウケて、そこそこ儲かるサービス
といったアイデアへの未練が消え、核となるアイデアをよりシンプルに、かつディープに考えられるようになりました。「あれもこれも盛り込みたい!」という欲望にブレーキがかかったのがよかったのかもしれません。
■キーワードを羅列してじっとながめてみました
先に挙げた「とにかく儲かるサービス」の企画は、ちょっとした“気づき”に枝葉を繁らせるように自然と発想することができました(これについては別の機会があれば書いてみたいと思います)。
しかし、もう一方の「とにかくウケるサービス」がなかなか思い浮かびません。そこで、無理にでもひねりだしてやろうと思い、次のようなことを試してみました。
(クリックで拡大)
上の画像は、ここ数年の間に話題になったキーワードや、ウケているサービスなどを羅列したものです。キーワードは、私ひとりではなく部署の人間とブレストしながら選出しました。
その紙を引き出しの中に入れたままにして、ちょっと時間があるときにながめ、仕事に戻り、またながめる、ということを数日繰り返しました。
そんなことをしても神が降りてくるとかそういうオチはなかったのですが、気になるキーワードや、関連性のあるキーワードが見えてくるようになりました。
ただしこれは「マインドマップ」のような高等な方法ではありません。ルールにこだわらずに「ただひたすらながめる」ということだけを心がけました。
これは勘なのですが、いろいろ書き込んでしまうと、自由な発想ができなくなる気がしてしまいます。なので、なるべく素っ裸の状態のキーワードを頭のなかに泳がせるようにして、最後に必要な分だけ丸や線を書き込みました。
■ニーズとソリューションを探しました
次に行ったのは、このようにして選び出したキーワードの間に、ニーズとソリューションを見つけることでした。正確にいうと、キーワードをながめているのと、ニーズとソリューションを見つけたのとは、ほとんど同時だったような気がしますので、ここで行ったのは、それらを言語化することでした。
* ニーズ(の芽)
- ブログ(CGM)の普及で炎上が増え、被害を受けるブロガーが増えた。炎上は、集合知の暗黒面とでも言うべきもの。うまく導けば、『ドラゴンボール』の元気玉みたいなすごいものができるのでは?
* ソリューション(の芽)
- 炎上を肩代わりして、事態を収拾してくれるサービスがあるといいのでは?(炎上被害者への解決策)
- 肩代わりした炎上の見せ方を工夫すれば、いま何が話題になっているかがわかっておもしろいのでは?(炎上を見る側の解決策)
対となるニーズとソリューションがはっきりしたことで、『livedoor 119 - 炎上サイトの通報&鎮火をサポート』というサービス名もすんなり決まりました。
■物語を作ってみました
ここまでくると、サービスの“物語”がイメージできるようになりました。物語というのは、ニーズからソリューションに至るユーザーの行動のことです。何かに悩んでいる人が、それを解決して幸福になる。これはひとつの物語です。
それがイメージできた段階で、画面イメージを作成しました。
(トップページの画面イメージ)
(個別ページの画面イメージ)
(炎上当事者のサイトの画面イメージ)
もちろん画面イメージだけではプレゼンが成立しないので、これをもとにしたより詳しい説明が必要なのですが、書き出したらものすごい文字数になってしまいました…。これでは誰も読んでくれそうにありません。
■キャッチコピーを作ってみました
プレゼンには5分という時間制限があるので、前述した物語の説明に費やす時間はそれほどありません。
そこで、聞き手の印象に残るようなキャッチコピーを作成するのに時間をさきました。このとき役に立ったのは、先に紹介したキーワードの羅列です。これらを組み合わせることで、意外とあっさりできてしまいました。
1.炎上専門ソーシャルブックマーク
2.痛いニュースジェネレータ
3.ニコニコ炎上
特別に気の利いたキャッチコピーではないのですが、企画の意図を端的に説明できたように思います。
■まとめ
最後に行ったのは、喫煙所などで同僚をつかまえてちょうど1本吸い終るくらいの時間で内容を伝えてみる、ということでした。これは、プレゼンの練習と思ってやったことではなく、実際には適当な思いつきの雑談にすぎなかったのですが、気づいたらちょうどいい練習になっていました。
「当日まで内緒にしておきたい」という気持ちもあるにはあったのですが、どんどん話すほうがメリットが大きいと思います。刺激を受けてアイデアが発展しますし、ウケなかったところは削ることができます。
このようにして出した『livedoor 119』の企画ですが、予想通り、ちゃんと(?)ボツになりました。CSR的な観点からすると正しい判断だと思いますので、結果には満足しています。
ライブドアではこの社内コンペを今後も継続して行っていきます。「こんなサービスを作りたい!」という熱意のある方の参戦をお待ちしております。
今回は、先日行われた「livedoor社内コンペ」に出した企画を例にとって、企画発想法みたいなことを考えてみたいと思います。
といっても実は私、新規サービスの立ち上げという大きな企画に取り組んだ経験がほとんどないため、「企画ってどうやればいいんだ…」と途中で行き詰ってしまいました。
ですので以下に示すのは、私なりの試行錯誤の一例です。参考になるかわかりませんので、どうぞお気軽にご笑覧ください。
■まずはゴールを決めてみました
「こんなサービスあったらないいな」というのはいつも考えていることですが、正式な場でプレゼンする企画となると、欲張りすぎてしまうせいか、うまくアイデアがまとまりません。そこでまずは、思考をシンプルにするためにゴールを決めてみました。
* とにかく儲かるサービス
* とにかくウケるサービス
というのがそれです。
せっかくのコンペなので、ふたつの企画を考えようと思いふたつのゴールを決めてみましたが、通常はひとつでよいと思います。
このようにゴールを決めたことで、
- ウケないかもしれないけど、自分は好きなサービス
- あまり儲からないかもしれないけど、業界内の評価が高そうなサービス
- そこそこウケて、そこそこ儲かるサービス
といったアイデアへの未練が消え、核となるアイデアをよりシンプルに、かつディープに考えられるようになりました。「あれもこれも盛り込みたい!」という欲望にブレーキがかかったのがよかったのかもしれません。
■キーワードを羅列してじっとながめてみました
先に挙げた「とにかく儲かるサービス」の企画は、ちょっとした“気づき”に枝葉を繁らせるように自然と発想することができました(これについては別の機会があれば書いてみたいと思います)。
しかし、もう一方の「とにかくウケるサービス」がなかなか思い浮かびません。そこで、無理にでもひねりだしてやろうと思い、次のようなことを試してみました。
(クリックで拡大)
上の画像は、ここ数年の間に話題になったキーワードや、ウケているサービスなどを羅列したものです。キーワードは、私ひとりではなく部署の人間とブレストしながら選出しました。
その紙を引き出しの中に入れたままにして、ちょっと時間があるときにながめ、仕事に戻り、またながめる、ということを数日繰り返しました。
そんなことをしても神が降りてくるとかそういうオチはなかったのですが、気になるキーワードや、関連性のあるキーワードが見えてくるようになりました。
ただしこれは「マインドマップ」のような高等な方法ではありません。ルールにこだわらずに「ただひたすらながめる」ということだけを心がけました。
これは勘なのですが、いろいろ書き込んでしまうと、自由な発想ができなくなる気がしてしまいます。なので、なるべく素っ裸の状態のキーワードを頭のなかに泳がせるようにして、最後に必要な分だけ丸や線を書き込みました。
■ニーズとソリューションを探しました
次に行ったのは、このようにして選び出したキーワードの間に、ニーズとソリューションを見つけることでした。正確にいうと、キーワードをながめているのと、ニーズとソリューションを見つけたのとは、ほとんど同時だったような気がしますので、ここで行ったのは、それらを言語化することでした。
* ニーズ(の芽)
- ブログ(CGM)の普及で炎上が増え、被害を受けるブロガーが増えた。炎上は、集合知の暗黒面とでも言うべきもの。うまく導けば、『ドラゴンボール』の元気玉みたいなすごいものができるのでは?
* ソリューション(の芽)
- 炎上を肩代わりして、事態を収拾してくれるサービスがあるといいのでは?(炎上被害者への解決策)
- 肩代わりした炎上の見せ方を工夫すれば、いま何が話題になっているかがわかっておもしろいのでは?(炎上を見る側の解決策)
対となるニーズとソリューションがはっきりしたことで、『livedoor 119 - 炎上サイトの通報&鎮火をサポート』というサービス名もすんなり決まりました。
■物語を作ってみました
ここまでくると、サービスの“物語”がイメージできるようになりました。物語というのは、ニーズからソリューションに至るユーザーの行動のことです。何かに悩んでいる人が、それを解決して幸福になる。これはひとつの物語です。
それがイメージできた段階で、画面イメージを作成しました。
(トップページの画面イメージ)
(個別ページの画面イメージ)
(炎上当事者のサイトの画面イメージ)
もちろん画面イメージだけではプレゼンが成立しないので、これをもとにしたより詳しい説明が必要なのですが、書き出したらものすごい文字数になってしまいました…。これでは誰も読んでくれそうにありません。
■キャッチコピーを作ってみました
プレゼンには5分という時間制限があるので、前述した物語の説明に費やす時間はそれほどありません。
そこで、聞き手の印象に残るようなキャッチコピーを作成するのに時間をさきました。このとき役に立ったのは、先に紹介したキーワードの羅列です。これらを組み合わせることで、意外とあっさりできてしまいました。
1.炎上専門ソーシャルブックマーク
2.痛いニュースジェネレータ
3.ニコニコ炎上
特別に気の利いたキャッチコピーではないのですが、企画の意図を端的に説明できたように思います。
■まとめ
最後に行ったのは、喫煙所などで同僚をつかまえてちょうど1本吸い終るくらいの時間で内容を伝えてみる、ということでした。これは、プレゼンの練習と思ってやったことではなく、実際には適当な思いつきの雑談にすぎなかったのですが、気づいたらちょうどいい練習になっていました。
「当日まで内緒にしておきたい」という気持ちもあるにはあったのですが、どんどん話すほうがメリットが大きいと思います。刺激を受けてアイデアが発展しますし、ウケなかったところは削ることができます。
このようにして出した『livedoor 119』の企画ですが、予想通り、ちゃんと(?)ボツになりました。CSR的な観点からすると正しい判断だと思いますので、結果には満足しています。
ライブドアではこの社内コンペを今後も継続して行っていきます。「こんなサービスを作りたい!」という熱意のある方の参戦をお待ちしております。
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