こんにちは、渡辺です。この『livedoorディレクターBlog』では、ライブドアで働くディレクターのそれぞれが毎日記事を更新していますが、今回は「ディレクターとその仕事」というテーマで座談会を行いました。

■参加者紹介


Andy
「コンシューマメディア部、CM2グループ所属。担当案件は『フレパ』。ほかにも新規コンテンツを手がけている。当『livedoor ディレクターBlog』の運用・管理なども担当している」

ユティ
「インフォメーションメディア部、メディア共通グループ所属。担当案件は『livedoor 地図』、『livedoor 路線』、『livedoor 翻訳』。おもにユーティリティー系と呼ばれるものを担当しており、社内でも珍しい新卒入社社員」

岡本
okamoto
「モバイル部、制作グループ所属。もともと八百屋で働いていたがプログラマーとしてライブドアへ入社、その後ディレクターへ転身したという変わった経歴の持ち主。社歴7年目のベテランディレクター。現在はnowaのモバイル版や livedoor のモバイルサイトを多数担当している。」

有賀
ariga
「編成部、編成グループ所属。編成という部署の性質上、特定のコンテンツの担当は行っておらずライブドア全体の横断的な業務が多い」

櫛井
「コンシューマメディア部、CM2グループのマネージャー。『livedoor ディレクターBlog』の発案者。モバイルとパソコン両方のディレクター業務に携わっている社内でもちょっぴり変わった人。」


■『livedoor ディレクターBlog』だけじゃ伝わらない、ディレクターの業務


― 一口にディレクターといっても、その業務は広範囲に渡っています。普段、『livedoor ディレクターBlog』などで紹介することのない日々の業務はどんなものなのでしょうか。

Andy
「普段は新規サービスのミーティングやフレパの運用などをしています。PVの推移を見て導線を増やすなどの細かい施策をしたり、毎週火曜配信のフレパーティの準備をしたり、ユーザーさんからいただくクレーム処理の判断をしたりしています。その対応などで一日が終わります」

岡本
「モバイルグループはみんな担当コンテンツを7〜8くらいは持っているかな。パソコンのディレクターと違うのは、HTMLコーディングとかの手を動かすこともやらないといけないし、本業であるディレクションもやらないといけないこと。それとモバイルサイトに携わって実感しているのは流れが速いこと。ケータイの端末ひとつをとっても、こんなことができるようになったんだということもあるし、とにかく乗り遅れないようにとみんなやっています。あと、モバイルグループ独自の雰囲気が体育会系で(笑)、昔はやって当たり前という感じだったのですが、今は整理されてじっくり考えてやらないといけないなという風に変わっています」

有賀
「僕はディレクターという肩書きなのですが、みなさんとは業務の内容が違っています。編成という部署の性質上、間接的というか横断的な業務に携わっています。具体的にはコンテンツ全体の動向、KPIやアンケートをまとめたり、リクルートページやコーポレートサイト、会社案内や媒体資料の作成、広告など遊軍的な活動をしています。」

ユティ
「基本的には既存コンテンツの運用担当なので、細かい変更があったらそれに対応することが多いです。『livedoor 天気』は季節ごとの特集ですよね。最近でいったら、花火とかビーチとかですね。構成書を作って、こういうものを作ります、と開発部の担当デザイナーやプログラマに説明して、スケジュール通りに進めていくということをやっています。あとは、コンテンツのリニューアルを担当していたりします。」


■自社案件と受託案件


―ご存知の通り、ライブドアはポータルサイトを運営しているため、必然的に自社案件が多くなります。しかし、モバイルグループのディレクターたちは自社案件と受託案件をこなしています。

Andy
「自社案件と受託案件の違いで“これはきついな”と思うことはありますか?」

岡本
「検収してなんぼの世界というのがいちばんの違いだと思うんですよ。サービスの内容が前提にあるんですけど、いくら良いものを作っても検収があがらないと意味がない。だから、WINWINのいい関係をクライアントと作っていければいいんですけど、なかなか難しい部分も多いですね。折衝を繰り返して、納得してもらった上でサービスを公開してこそ後々安定して運用できると思いますけど、決まった予算とスケジュールのなかでやるのが難しいこともあります。
あと、違うのは夜中にクライアントから電話があったりしますね。他のライブドアのコンテンツと同様に、データホテルから連絡が来るのとは別にクライアントから直接電話がくる。たまに「ただ助けてください」ってことも(笑)」

櫛井
「わたしも元々は受託案件をよくやっていたんですが、クライアントの要望ありきだから結構割り切れる部分多いですよね。 自社案件だと0から作って80%の状態で公開してユーザーに認められれば、さらに力を入れられるけど、受託案件は明確にここまでと決まっていたりして。終わりがない自社案件に比べると精神的な面でゴールが明確なぶん、語弊があるかも知れないけど気が楽な部分もありますよね」

岡本
「受託案件だといろんな立場の人がいるから、営業的なものからも企画的な内容で、現場と周りの人間との調整というのもありますよね。要件もそうだし仕様策定もそうだし、そこら辺は結局まあみんな言いたいことっていうか理想とかそこら辺が調整つかなくて、でもオープンする日だけは決まっているとかよくあるので大変ですね」


■ライブドアのOJT


― 一般の会社でいう「新人研修」が存在しないライブドア。その独特な社員教育の実態を尋ねてみました。

Andy
「以前、『livedoor ディレクターBlog』でOJTについての記事を書いたのですが、振り返ってみると、ライブドアは先輩の技を盗んだりとか自発的に動いていかないと教えてもらえないですよね。聞けばちゃんと教えてくれるんだけど、自ら動かないとなにも動かないというか。それは、一般企業のOJTと呼ばれるものがうちにはないような気がしてます。」

岡本
「そうだね、自分も入社した時に仕事がもらえない状況がずっと続いた時期もあって。仕事をもらえるように隠れて勉強するしかなかったですね。できませんって言えないから、できるって吹いて。で、なんとかこう帳尻合わせるみたいな(笑)」

Andy
「受託案件のように直接お金が絡むものだと、新人ディレクターがミスしたりしてしまったら問題になってしまいますよね。そういう場合のOJTとかモバイルグループ内ではどうですか?」

岡本
「受託案件の場合はこれを作ってくれというクライアントからの要望を満たせば、それでOKだったりするから、そこまでたどり着くまでの道のりをディレクターが考えて、プログラマーと相談して「一か月半ください」と期間を伝えて、新人ディレクターには「最初の二週間で最初のページを作ってください」とか言える。作業内容がすごく明確なんだよね。だから、自分で考えて進めることはあまりないかな」

櫛井
「内部的な作業でいうとそうですけど、客先に新人ディレクターを出したりはしないですよね。一緒に打ち合わせの場には連れて行くんだけど「君はしゃべんなくていいから」みたいな(笑)。言わずもがなみたいな空気はありますよね」

岡本
「まあ、本当に未経験なら最初は議事録からだよ。逆にパソコン側はお客さんと直接やり取りする状況だとどうなんですか?」

Andy
「私の担当している『フレパ』自体にはそんなにやり取りする機会は多くないですけど、『livedoor Blog』を担当していたときはよく社外の打ち合わせに参加していました。昔、某会社さんと打ち合わせに連れられていった時に突然「お前らが順番に説明しろ』って言われて、「えーっ、なにも聞いてませーん」っていうことがありました(笑)。」

櫛井
「愛のムチ、かな(笑)」

ユティ
「僕は新入社員で入ったんですが、正直に言うと、会社からは研修も何もなくて(笑)。今でもディレクターと自分で言うのはおこがましいのですが、最初は本当にひどかったと思います。入ってすぐくらいのころ、『livedoor グルメ』のお手伝いをさせていただいていたんですが、先任の担当の方からUNIXの扱い方を教えてもらえましたね。少なくとも、その方は教えてくれる人だったんですよね。その後はOJTというか、盗んでいくような感じ」

Andy
「本番化のやり方も大変ですよね。先輩にとりあえず聞いて、ぶっつけ本番でやってみたりとか」

櫛井
「普通の一般的な会社ならディレクターが本番化とかはしないけど、うちは元々が技術からスタートしてる会社だからディレクターでもやることあるね」

ユティ
「じつは一回、『livedoor グルメ』でキャッシュを全部クリアして、落としたことあります。ちゃんとフォローしてくれたので今だから言えますが」

一堂
「この場で言うなんて、男らしい(笑)」


■ディレクターになっての成功体験


― ディレクター経験があったうえで入社してくる人が意外と少ないライブドア。今まで培ってきた体験談を聞きました。

Andy
「『フレパ』のリニューアルが去年の10月にあったんですけど、それまでは案件のスポットで助っ人的に入ることが多くて自分自身は担当コンテンツを持ってなかったんですね。「俺ディレクターなのにディレクションしてないな」と思っていたんですが、『フレパ』のリニューアルをやらせてもらえることになったんですよ。そうしたらスケジュール管理が甘かったり、色々と不備が目立ってしまって結局デスマーチ状態になってしまったことがありました。プログラマーさんやマークアップエンジニアさんを徹夜させてしまって、もちろん自分も徹夜という状態を体験しながらオープンまでこぎつけた時に「これがディレクションなのかな」と実感しましたね。
スケジュールの部分も勿論そうだし、『フレパ』はページ数がとても多い上に、開発用のサイトマップが作られていなくて、通常のページ遷移じゃわかりえないページがかなりあったんですね。結局その「見えていなかったページ」が遅延する原因になったんですけど。そういうところを把握することも含めてディレクションなんだなと感じました。」

ユティ
「話を聞いていて、まさにそうだなーと思います。私の場合、まだまだウェブ開発の何たるかも知らない頃に『livedoor 地図』をスクロール地図にしようという話になって。開発のスケジュールもグダグダだけど、後ろが決まっているから、いろんな人にお願いをして、予定したリリース日にはなんとか間に合わせることができたんです。だから、成功体験も失敗体験もそれで味合うことができた。
その経験が、仕事を進める上でのノウハウや、やらなければいけないことも分って自信みたいなものもできましたね。やらなければいけないことを分っていないことが、いちばんまずい。それさえ分っていれば漏らさずに進めていけるので。その上でずれてしまうときは、ほかの要因があると思ってます。それとドキュメント類がいっさいなくて、構成書からサイトマップまで自分で作ったりもしましたね。今、それを見るとかなりひどいのですが(苦笑)」

櫛井
「何がわからないのかもわからない、ってところからスタートですもんね。でも少しずつ学んでいくというか、小さなステップを積み重ねるというか」

有賀
「割とちっちゃい成功を発見できることってすごい大事ですよね。自分の毎日毎日のちいさな目標設定があって、それに密かに喜べるみたいな。たとえば1PVでもいいし、1ユーザーの声でもいいし。SEOの順位でも売り上げでも何でもいいと思うんですけど。毎日毎日自分がこうしたいってのを自分にしかけていくという。で、それをちょっとずつ達成していく。それがモチベーションにつながるかなと」


■これからディレクターを目指す人に向けて


― すでにディレクターとして活躍中のみなさんが考える、「こういう人と働きたい」というタイプはどういうものなのでしょうか

Andy
「ディレクターになりたいっていうか、ディレクションしたい、っていうモチベーションの高い人はいいと思いますね。あと「このサイトすげー興味ある」みたいのが必要なんだと思います。そう感じてる人ってこつこつやってたりするから、ふとしたときにポロッと出てきたりして「お、こいつ知ってるな」って思ったりするとか結構大事かなと」

岡本
「そうですね。何を作りたいかイメージできて、自分でこれがやりたい、このサイトを作りたいっていうのが明確だと、それをやるためには何を勉強すればいいかを落とし込んでいけるので、何をやりたいかが明確になっている人がいいですよね。
でも、やっぱりやる気があって、「俺が俺が」っていうガツガツしている人の方がうちの会社では伸びしろがたくさんありますよね。「俺はいいです」っていうよりは、人の仕事取ってでもやってやるっていう方が、ライブドアで得られるメリットが大きいと思います。
そう考えると、職種的な枠を取っ払って、こっちもやるし、ちょっと相手に踏み込んで仕事をするっていう意識が必要なのかもしんないですね。営業的なことも、技術的なことも、デザイン的なことも、いろんな要素ありますしね。」

有賀
「皆さんと同じ意見なんですけど、やっぱり好きな物は大好き、嫌いな物は大嫌いっていう人に来てほしいと思うんですよね。正直いって、うちの会社って(規模として)大きいと見られがちだけど実は小さい、みたいなところもあって。行き届かないことっていっぱいあるじゃないですか。たとえば、リンク切れていたりとか。そこに目を向けてもしょうがないっていったら言い方悪いですけど、それよりはいいところを伸ばしていく。「全部を完璧に調整してうまくやろうっていうんじゃなくて、メリハリとかあって激しい部分は誰にも負けないぞ」みたいな、そういう人に来てほしいですね」

ユティ
「自分がそうだったんですけど、入社直後は全然コミュニケーションとるのが何より苦手で、当時は本当に仕事ができなかったですから。逆にいうとコミュニケーションだけできるぜ、っていう人がいてもいいのかなって。コミュニケーションだけは得意だから、ディレクション能力は会社で覚えます、みたいな人がいてもいいかなと思うんですね。進行管理って本当にコミュニケーションだと思うので。ウェブに興味が合って、欲をいうともっと、アイディアのある人とかがいると、また新しい事ができていくんじゃないかと思うんですけどね。」

櫛井
「そうですね、変な人と働きたいです(笑)。ものっすごいオタクとか、空気読めなさ過ぎるとか。その人のキャラクターというか「俺はこうだぜ!」っていうのがわかりやすい人がいいですね。一般的なものとか、仕事の仕方って後からいくらでも身につくので」


■まとめ


一時間と短い時間でしたが、『livedoor ディレクター Blog』とは違ったディレクターのみなさんの一面が垣間見られた気がします! しかし、この座談会でディレクターのすべてが現れているとは、とてもではありませんが思えません。ここでお伝えし切れなかったディレクター 職の魅力とライブドアのディレクターたちの活躍は引き続きディレクターBlog を読んでもらえればと思います。これからも有益な情報を発信し続けていきたいと思っておりますので、『livedoor ディレクターBlog』を宜しくお願いいたします。