こんにちは。livedoor でコスプレサイト『Cure』を担当している西嶋です。
コスプレといってもアダルト要素はなく、アニメや漫画のキャラクターの衣装をまとったコスプレイヤーと呼ばれるユーザーが、自分たちのコスプレ画像をアップロードしたり、コミュニケーションを取ったりする純然たる“ヲタク”のサブカルチャー的な内容のサイトです。

そして、そのサービスを担当している私も当然ヲタクです。もちろんコスプレもします。小学校のころから漫画やアニメにどっぷり浸かって育った生粋のヲタクです。

こういう仕事をしていると決まって言われるのが、「趣味が仕事ってよいですね」の一言。確かに、趣味ど真ん中なカテゴリーの仕事なので楽しいですし、やりがいもあります。しかし「好きだから」だけでは、エンターテインメントの仕事はできません。ではここで、「趣味が仕事」になる条件をあげてみたいと思います。

■自分の「好み」は一番最初に除外
同じジャンルのエンターテインメントでも、やはり個人の好き嫌いは出てきます。自分が判断できる立場になった時に、どうしても最終的に「自分の好み」が入ってきます。例えば、コンテストの審査員をするとします。自分の好みの顔やスタイル、ジャンルの人だけを選ぶなら楽しいですが、それだけでは「仕事」と呼べません。エントリーした人をひとりひとり吟味する為には、あくまで中立的な思考を保たねばなりません。そのためには、真っ先に自分の「趣味」や「好み」を排除して冷静な判断を下せるように努力する必要があります。

■リサーチの上に更にリサーチ
エンターテインメントは、お客さまに楽しんでもらうお仕事です。お客さまのニーズはそれこそ100人いれば100通り……いや、1000とも10000ともあります。お客さまがなにを欲しているかは、個人の思考や判断などでは図かり知れません。市場の調査、作品の把握、ショップでの状況や情報、業界内での動き、そして実際にお客さまの集う現場での調査など、朝起きて寝るまで、ヒマさえあればリサーチすることがもっとも大切な仕事になってきます。もちろん、単に好きなジャンルのリサーチだけではなく、関係しているものから一見関係なさそうなジャンルのまで、広い視野で把握できるように貪欲に情報を収集する必要があります。

■迷いは持たず、信念曲げず
リサーチの結果得られた情報により、客観的な視野から決定した事項に関しては途中で絶対に変更しないこと。もちろん、サービスの向上にプラスになる意見やアドバイスをむやみに否定することではありません。みずから決めた結果に向けて、有益と判断するものであれば積極的に取り入れます。どんな業界でも同じですが、特にエンターテインメントの世界では「自分の信じるモノが絶対」的な思考の方が多く、なにをするにつけ否定的意見は「必ず」寄せられます。そして、自分の耳に届くのはだいたい「否定的」意見のみとなり、仕様の判断を鈍らせることもありますが、「肯定的」意見というのは、わざわざ言葉に出して発せられるものではありません。信じるモノはあくまで、入念に調べ上げたリサーチの結果と、そのサービスを行うことによるユーザーの有益性になります。最終地点をしっかり見据えた上で、確固たる信念を持ち仕事を推し進めないと、逆に信用を失墜させることにもなりかねません。

■趣味の仕事の差
趣味と仕事のいちばんの差は「こだわり」をどこに置くかにかかっています。自分の好きな部分に重点的に「こだわり」を置く“趣味”に対して、自分の好きな部分以外に「こだわり」を置くのが“仕事”になってきます。例として、自分はゲームをするのが好きで、このゲームなら「誰にも負けないくらいやりこんでいる」という思い。これが“趣味のこだわり”にあたります。それに対して、そのゲームが人にどのような影響をもたらし、人がどのように反応するかについて、とことん調べるのが“仕事のこだわり”になります。趣味はあくまで「主観的」で、仕事は「客観的」な部分にこだわりを置くものということです。

「趣味」を仕事にするということは、「好きなモノに対する“こだわり”を捨てきれないタイプ」には向いていません。「趣味」のバイタリティを活かして「仕事」に活用できるタイプ以外にとっては、自分の「好きな趣味」に嫌悪感を抱く結果になることもあります。

「好きだから」で仕事をするのではなく、「特性を生かしたいから」仕事をする。それが「趣味を仕事にする」ということです。