こんにちは。
livedoor でディレクターをしている有賀です。
今回は、「企画書の表紙の作り方」について書きたいと思います。
企画の産み方や書類の作り方についてのノウハウはたくさんありますが、実際に書き起こすにあたって、意外に見落としがちなのが、「表紙」ではないでしょうか? 以前、ライブドア社内でも、「表紙を作っている時間があったら中身を充実させた方がいい」という考えを聞いたこともありますが、「顔」であり「看板」である表紙が無かったり、つたないようでは、中身に辿り着かなかったり、誤解されたりするケースがあることも事実だと思います。もちろん、中身が薄っぺらなのに表面だけ過度に着飾ったり、表紙の作成に注力し過ぎるのも考えものですが、あくまで相手に読んでもらうため、伝えるためのものですから、最低限の礼儀というか、丁寧さは必要だと私は考えます。
そこで、今回は、企画書の表紙の作り方を題材に、書類を通した丁寧なコミュニケーションとは何かを考えていきたいと思います。
表紙とは、家でいうところの玄関の役割があると思います。
ウェブサイトでは、1ページ目の印象が悪いと、ユーザーは2ページ目に足を運ぼうとはしないものですが、もちろん、紙媒体はウェブページほどではないにしても、例えば、書籍でも表紙に惹かれる要素がなければ書店で手に取ることさえないわけです。
企画書は、読む相手や読むことが決定されている特殊な紙メディアではありますが、1ページ目が汚いとその後への印象や期待が損なわれてしまい、伝えたいことが正しく伝わらない可能性があります。
「玄関が汚い家は、中も汚いんだろうなぁ…」と思ってしまうのが自然でしょう。
一方で、表紙がないということは玄関がないともいえます。
ドアが開きっぱなしの家や表札もない家には、読み手も心構えが揺らいで入りづらいのではないでしょうか。
ですから、虚飾はもちろんよくないのですが、ある程度、整理整頓した上で、必要最小限の門構えを設計するのは、こちらの意志を伝えるにあたってのマナーではないかと私は考えます。
企画書の表紙に必要な要素をまとめてみました。
もちろん、企画の内容によって企画書のかたちも十人十色でしょうけれども、最低限、押さえておきたいポイントは共通だと思います。
以下、7つに大別できると思います。
1)宛先
誰に向けられたものかを真っ先に明示するのは、コミュニケーションの基本といえるでしょう。
「○○株式会社 ××部 御中」「△△部門 ご担当者 様」といったもので、複数部門を対象とするケースでは、メールや手紙の作法を踏襲します。
2)企画タイトル(+サブタイトル)
これから展開する書類が何かを示すものです。わかりやすいことが第一ですが、企画の成否を左右する重要なコピーワークも期待される要素です。私は、「気を惹く印象的タイトル」+「それを補完する説明的サブタイトル」という組み合わせをよく活用します。
3)バージョン
同じ企画でも草案から何度もバージョンアップを重ねるケースも少なくないでしょう。日付と同様、こちら側にとっても相手側にとっても書類管理に役立ちます。もちろん、流用する場合は、きちんと改訂しておく配慮を忘れないようにしましょう。
4)作成部署・氏名(+連絡先)
誰が作ったのか、を明記します。大抵、書面の説明(プレゼン)をする部門の署名になりますが、企画書は相手の社内や上長など、ひとり歩きするものですから、きちんと明確にしておく必要があります。
5)日付(年月日)
複数年をまたぐ企画もありますし、そうでなくても、年月日を明示しておくことは、書類作りの基本といえます。記載するのは、作成完了日ではなく、提出日(プレゼンの日)であることが望ましいでしょう。
6)ページ番号
全体のヴォリュームを最初に伝えておくことは、大変行儀が良い書類作りといえると思います。もちろん、紙媒体の場合は紙の厚み、PDFやPPTの場合はページ番号の表示でおおよそを知ることができますが、こういった読み手への配慮は、企画自体を大事にしていることとして、丁寧な印象を伝えることが多いと考えています。
7)Copyright/Confidential
著作権や機密の意志表示ですが、特に法的拘束力があるわけではありません。ただ、前説同様に、きちんとした書類作りという印象を伝える上で重要だと思います。
お笑い芸人「鉄拳」のネタみたいですが、こんな企画書表紙は、めくりたくない(読みたくない)、を考えてみました。
読みたくなる企画書表紙のヒントは、読みたくない企画書表紙にあると思います。
・宛先が違う
・手書きだ
・表紙しかない(ペラ1)
・「続きはウェブで...」と検索窓が書いてある
・「サルでもわかる〜」と書いてある
・裏紙コピーをつかっている(しかも重要書類)
・カラーで理解させる図などがモノクロだ
・これみよがしに「100万円PLAN」とか書いてある
・タイトル「世界平和が達成できる企画」など、どうみても大風呂敷だ
どれもこれも、作り手の事情を読み手である相手に押しつけていることが共通点としてあります。コミュニケーションの手段としての企画書、その表面が粗雑に扱われては、コミュニケーションそのものを否定していると捉えられても致し方ないのではないでしょうか。
では、読みたくなる企画書表紙とは何でしょうか?
私は、いつも以下の3点を心掛けて書類を作成しています。
a)見た目が綺麗
紙面を構成するという意味では、印刷物の制作に近いと思いますが、その作法はウェブサイトとはまったく違います。書体や文字組など、DTPデザインのノウハウなどを、盛り込むと見栄えは格段に向上するので、私もよく紙媒体の経験があるデザイナーに相談したりします。
アプリケーションベンダーが提供しているテンプレイト集などを使うのも効率的だと思います。
■関連リンク
・PowerPointテンプレートサイトいろいろ [Design Walker]
・パワーポイントのテンプレート一覧 [Microsoft Office Online]
b)インパクトがある〜ビジュアル
自ずと中身を期待させるワクワクさせる表紙という意味では、ありきたりな模様だけではなく、意外性のあるモチーフを使ってみるのも良いでしょう。例えば、「この企画を実行しないとマズい!」と喚起させるような、衝撃的な企画であれば、マンガの「吹き出し」を使ったり、図版やイラストなどで賑やかにしたり、色調や紙質にこだわったり、と工夫できることは多いと思います。
c)インパクト〜コピー
企画が独創的であればあるほど、企画のタイトルにはこだわりたいものです。しかし、今回はそうでないケースについて考えてみました。
通常、企画書の構成として、「表紙→自己紹介→現状分析→解決策→理由→見積もり…」というのが教科書通りの流れになると思いますが、聞く側にとっては、退屈であるケースもあります。ましてや、複雑だったり、的外れだったりな施策の仕様説明であれば、苦痛以外の何ものでもありません。そこで、例えば、「このプレゼンは5分で終わります」と明記してあるなど、読み手の気分に配慮したメッセージがあると、逆に「どれどれ…5分だけなら、耳を傾けてみようかな!」という気持ちになるかもしれません。
企画書は、提案書とも言われるように、こちらの意志(提案)を相手に正確に伝えるとともに、何らかの影響を与え、気持ちを動かすこと(提案を受け入れてもらうこと)を目的としたものです。作り手と読み手で立場や関係性、状況や持ち時間など、常に異なるとはいえ、コミュニケーションの種類の一つとして、わきまえるべきエチケットがあると思います。
もちろん私自身、ここに書いたことを省略したり、ショートカットしたりするケースもありますが、折り目正しい形式をきちんと認識した上で、自分なりに解釈したり、簡略化していくというスタイルが、書類作りにおいても有効なのではないでしょうか?
ライブドアでは、三度の飯より企画書作りが好きという、ディレクターを募集しています。
livedoor でディレクターをしている有賀です。
今回は、「企画書の表紙の作り方」について書きたいと思います。
企画の産み方や書類の作り方についてのノウハウはたくさんありますが、実際に書き起こすにあたって、意外に見落としがちなのが、「表紙」ではないでしょうか? 以前、ライブドア社内でも、「表紙を作っている時間があったら中身を充実させた方がいい」という考えを聞いたこともありますが、「顔」であり「看板」である表紙が無かったり、つたないようでは、中身に辿り着かなかったり、誤解されたりするケースがあることも事実だと思います。もちろん、中身が薄っぺらなのに表面だけ過度に着飾ったり、表紙の作成に注力し過ぎるのも考えものですが、あくまで相手に読んでもらうため、伝えるためのものですから、最低限の礼儀というか、丁寧さは必要だと私は考えます。
そこで、今回は、企画書の表紙の作り方を題材に、書類を通した丁寧なコミュニケーションとは何かを考えていきたいと思います。
【01】はじめに〜表紙は玄関だ〜
表紙とは、家でいうところの玄関の役割があると思います。
ウェブサイトでは、1ページ目の印象が悪いと、ユーザーは2ページ目に足を運ぼうとはしないものですが、もちろん、紙媒体はウェブページほどではないにしても、例えば、書籍でも表紙に惹かれる要素がなければ書店で手に取ることさえないわけです。
企画書は、読む相手や読むことが決定されている特殊な紙メディアではありますが、1ページ目が汚いとその後への印象や期待が損なわれてしまい、伝えたいことが正しく伝わらない可能性があります。
「玄関が汚い家は、中も汚いんだろうなぁ…」と思ってしまうのが自然でしょう。
一方で、表紙がないということは玄関がないともいえます。
ドアが開きっぱなしの家や表札もない家には、読み手も心構えが揺らいで入りづらいのではないでしょうか。
ですから、虚飾はもちろんよくないのですが、ある程度、整理整頓した上で、必要最小限の門構えを設計するのは、こちらの意志を伝えるにあたってのマナーではないかと私は考えます。
【02】表紙の7大要素を整理しよう
企画書の表紙に必要な要素をまとめてみました。
もちろん、企画の内容によって企画書のかたちも十人十色でしょうけれども、最低限、押さえておきたいポイントは共通だと思います。
以下、7つに大別できると思います。
1)宛先
誰に向けられたものかを真っ先に明示するのは、コミュニケーションの基本といえるでしょう。
「○○株式会社 ××部 御中」「△△部門 ご担当者 様」といったもので、複数部門を対象とするケースでは、メールや手紙の作法を踏襲します。
2)企画タイトル(+サブタイトル)
これから展開する書類が何かを示すものです。わかりやすいことが第一ですが、企画の成否を左右する重要なコピーワークも期待される要素です。私は、「気を惹く印象的タイトル」+「それを補完する説明的サブタイトル」という組み合わせをよく活用します。
3)バージョン
同じ企画でも草案から何度もバージョンアップを重ねるケースも少なくないでしょう。日付と同様、こちら側にとっても相手側にとっても書類管理に役立ちます。もちろん、流用する場合は、きちんと改訂しておく配慮を忘れないようにしましょう。
4)作成部署・氏名(+連絡先)
誰が作ったのか、を明記します。大抵、書面の説明(プレゼン)をする部門の署名になりますが、企画書は相手の社内や上長など、ひとり歩きするものですから、きちんと明確にしておく必要があります。
5)日付(年月日)
複数年をまたぐ企画もありますし、そうでなくても、年月日を明示しておくことは、書類作りの基本といえます。記載するのは、作成完了日ではなく、提出日(プレゼンの日)であることが望ましいでしょう。
6)ページ番号
全体のヴォリュームを最初に伝えておくことは、大変行儀が良い書類作りといえると思います。もちろん、紙媒体の場合は紙の厚み、PDFやPPTの場合はページ番号の表示でおおよそを知ることができますが、こういった読み手への配慮は、企画自体を大事にしていることとして、丁寧な印象を伝えることが多いと考えています。
7)Copyright/Confidential
著作権や機密の意志表示ですが、特に法的拘束力があるわけではありません。ただ、前説同様に、きちんとした書類作りという印象を伝える上で重要だと思います。
【03】こんな企画書表紙はイヤだ
お笑い芸人「鉄拳」のネタみたいですが、こんな企画書表紙は、めくりたくない(読みたくない)、を考えてみました。
読みたくなる企画書表紙のヒントは、読みたくない企画書表紙にあると思います。
・宛先が違う
・手書きだ
・表紙しかない(ペラ1)
・「続きはウェブで...」と検索窓が書いてある
・「サルでもわかる〜」と書いてある
・裏紙コピーをつかっている(しかも重要書類)
・カラーで理解させる図などがモノクロだ
・これみよがしに「100万円PLAN」とか書いてある
・タイトル「世界平和が達成できる企画」など、どうみても大風呂敷だ
どれもこれも、作り手の事情を読み手である相手に押しつけていることが共通点としてあります。コミュニケーションの手段としての企画書、その表面が粗雑に扱われては、コミュニケーションそのものを否定していると捉えられても致し方ないのではないでしょうか。
【04】こんな企画書表紙なら読みたい
では、読みたくなる企画書表紙とは何でしょうか?
私は、いつも以下の3点を心掛けて書類を作成しています。

紙面を構成するという意味では、印刷物の制作に近いと思いますが、その作法はウェブサイトとはまったく違います。書体や文字組など、DTPデザインのノウハウなどを、盛り込むと見栄えは格段に向上するので、私もよく紙媒体の経験があるデザイナーに相談したりします。
アプリケーションベンダーが提供しているテンプレイト集などを使うのも効率的だと思います。
■関連リンク
・PowerPointテンプレートサイトいろいろ [Design Walker]
・パワーポイントのテンプレート一覧 [Microsoft Office Online]

自ずと中身を期待させるワクワクさせる表紙という意味では、ありきたりな模様だけではなく、意外性のあるモチーフを使ってみるのも良いでしょう。例えば、「この企画を実行しないとマズい!」と喚起させるような、衝撃的な企画であれば、マンガの「吹き出し」を使ったり、図版やイラストなどで賑やかにしたり、色調や紙質にこだわったり、と工夫できることは多いと思います。

企画が独創的であればあるほど、企画のタイトルにはこだわりたいものです。しかし、今回はそうでないケースについて考えてみました。
通常、企画書の構成として、「表紙→自己紹介→現状分析→解決策→理由→見積もり…」というのが教科書通りの流れになると思いますが、聞く側にとっては、退屈であるケースもあります。ましてや、複雑だったり、的外れだったりな施策の仕様説明であれば、苦痛以外の何ものでもありません。そこで、例えば、「このプレゼンは5分で終わります」と明記してあるなど、読み手の気分に配慮したメッセージがあると、逆に「どれどれ…5分だけなら、耳を傾けてみようかな!」という気持ちになるかもしれません。
企画書は、提案書とも言われるように、こちらの意志(提案)を相手に正確に伝えるとともに、何らかの影響を与え、気持ちを動かすこと(提案を受け入れてもらうこと)を目的としたものです。作り手と読み手で立場や関係性、状況や持ち時間など、常に異なるとはいえ、コミュニケーションの種類の一つとして、わきまえるべきエチケットがあると思います。
もちろん私自身、ここに書いたことを省略したり、ショートカットしたりするケースもありますが、折り目正しい形式をきちんと認識した上で、自分なりに解釈したり、簡略化していくというスタイルが、書類作りにおいても有効なのではないでしょうか?
ライブドアでは、三度の飯より企画書作りが好きという、ディレクターを募集しています。
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