こんにちは。ディレクターの方の谷口です。
今回は、顧客対応の超基本について、話したいと思います。

【01】顧客対応の基本とは

クライアントから発注を受けて成果物を作る場合、ディレクターはよく、顧客と開発側との板バサミに苦しむことになります。この顧客対応は、構成書などを書く等の見えやすい仕事と違い、非常にあいまいな作業で、なにをもってスキルがあるかはカンタンにいえません。

しかし、この顧客対応のもっとも基本としては、「○○はできます、しかし△△日かかります」というフレーズを覚えてもらうことかなと思います。

「○○はできます」だけだと、開発側の負担が強くなりますし、結局できませんでした、という最悪の展開を迎えることが多くなります。「○○はできません」だと、顧客との関係性が深まりません。こう書くと当たり前のような事ではありますが、お金をもらっている以上、断ったらそもそもこの発注自体がなくなるのではないか、という不安から、ついつい「すぐやります」と言ってしまうことが現実的には多いと思います。

しかし、果たして、クライアントはすぐやってくれる業者のことが好きなのでしょうか?

【02】トレードオフを説明する


コンサルタントの秘密』という本で、「オレンジジュース・テスト」という、クライアントが業者を試す話しがあります。そのテストとは、パーティを開きたいクライアントが、ホテルの宴会係に「朝七時に、七百人が絞りたてのオレンジジュースで乾杯する朝食会を開いてくれ」というリクエストをした時にどう答えるか?というものです。

ホテルの宴会係は、「それはできます、しかし△△の準備がかかります」と伝えます。そうすると、クライアントは「君はオレンジジュース・テストに合格した」と言います。それは何かと問うと、クライアントは、無理な話をお安い御用です、という人は信用できない、と言います。

何事にもトレードオフ(何か求めれば他の何かを犠牲にしなくてはいけない)は発生しますが、仕事が長期的なものほど、トレードオフを説明できない人が間に立つと、クライアントも業者も不幸になります。

【03】クライアントと仲良くなれるか

まともなクライアントは、まともな相手を好む、ということを「オレンジジュース・テスト」は伝えています。まあちょっとできすぎた話ですが、私も請負を7年間やっていましたので、経験としても、この話は納得できます。

というのは、すぐやれ、と無理難題を言ってくるクライアントは、それを飲むと、要求がどんどんエスカレートしてくるのです。また、無理を聞いているうちに強固な上下関係が築かれ、馬鹿にされ、仲良くなりにくくなります。

反対に、まともな反応をしつづけると、細かな失注はすることがありますが、長期的な関係をもてるクライアントが多くなります。今の私の友人の多くは、元クライアントですが、フラットに対応したクライアントほど、その後仲良くなりました。逆に無理難題を受けたクライアントは、案件が終わると、二度と会うことはありませんでした。

【04】おわりに

「○○はできます、しかし△△日かかります」というフレーズは、よく知られていることであり、あえて言う必要がないことかも知れません。しかし、「お安い御用です」という人が、必ずしもクライアントから好かれるわけではない、ということは、もしディレクターの勉強を始める方がいたら、是非伝えておきたいと思います。

とここまで話しましたが、ややこしい業者になれ、という意味ではなく、要求された作業の工数が低ければ、さくっとやってしまった方がいいことに違いはありません。ちゃんちゃん