こんにちは。

コスプレコミュニティサイト「Cure」担当の乾たつみです。今回は、コスプレ市場の現状とこれからの展望についてお話したいと思います。

■コスプレ衣装の売上上昇

従来、コスプレは個人が衣装を製作し、同人誌即売会などで着て、個人で楽しむものでした。しかし、最近は、企業や団体が参入し、様々なビジネス展開が見受けられるようになりました。

中でも、コスプレ衣装の市場規模は2007年度、前年度比6.8%増の360億円規模(※1)に発展を遂げています。この調査をした矢野経済研究所は、この発展の要因を「コスプレが一般に認知される趣味となりつつあり、コスプレイヤーやコスプレイベントが次第に増えてきたこと」とし、更なる市場の健全な発展には、「事業展開を個人の趣味とは分離・独立させたうえで、業界の法令順守に対する厳格なガバナンス体制を構築することが不可欠である」としています。

■衣装のライセンシー

以前からライセンスを取得したコスプレ衣装を販売している会社はありましたが全体的に高価であり、コスプレ衣装の市場では、ごく小数派で、ほとんどは中国製のライセンスを取得していない低価格な製品でした。

しかし、近年、コスプレ人口の増加と共に、ライセンスを取得した以前よりも低価格なコスプレ衣装を販売する企業も増えてきました。
これまでの「ライセンスを取得したコスプレ衣装=品質は良いが高価である」と言う概念をくつがえし、品質的にも良質な衣装の出現により 安いけれど品質的に疑問のあったノンライセンス商品に対する、ユーザーの価値観にも次第に変化が出てきました。

今後は、良質で低価格なライセンス商品と、高価だがそれに見合う高いクオリティにカスタマイズされた ライセンス商品こそが、コスプレ市場の更なる発展の鍵になると思います。

■ウィッグ業界の展望

衣装の次に注目すべきコスプレ商品として、『ウィッグ(かつら)』があります。

昔は地毛を染めたり、カラースプレーで着色するなどしていましたが、ウィッグ自体の低価格化や 品質・カラーバリエーションの豊富さ、利便性の高さから、現在ではほとんどののコスプレイヤーがウィッグを愛用しています。

衣装のように、キャラクターと同じ髪型に再現する必要はあまりなく、基本の髪型と色さえあれば、後は購入したコスプレイヤー自身の手で髪型を整えたり、色を微調整するので、型遅れなどのリスクは、衣装にくらべて低いことが利点です。

特に昨年から、このウィッグ産業に進出する企業が増え、コスプレイヤーとしてはうれしい限りです。
各社とも、価格や品質(加工のしやすさ、耐熱性、手触り)などによる個別化・差別化を努力されていて、コスプレイヤーにとって、求めているウィッグを選びやすい環境が整えられつつあります。

■コスプレ市場への新規参入の可能性

『衣装』『ウィッグ』『カラーコンタクト』など自分の装いを揃えると、次に必須になるのが『カメラ』です。

コスプレイヤーの10人中9人は、デジタルカメラを持参して、コスプレイベントに参加します。

2001年頃までは、使い捨てカメラやフィルムコンパクトカメラがメインでしたが、デジカメの普及に伴いコンパクトデジカメを所有するコスプレイヤーが増えました。更に、2005〜6年以降、10万円代の一眼レフカメラが販売されると共に、コスプレイヤーの一眼レフカメラの普及率が高くなってきました。

「撮影出来れば良い」と言う意識から、「より綺麗な写真を残したい」と言うこだわりへの移行により、今後も高級機への買い替えが多くなってくることでしょう。

また、カメラの上位機種への移行と共に、『ロケーション(写真を撮る場所)』も注目されてきています。

今までは、会場を借りた箱イベント参加が中心でしたが、最近は、仲間たちでスタジオや施設をシェアリングした撮影会やロケでの撮影が多くなってきました。それに伴って、元来は商業撮影用だったスタジオやレンタルスペースも、コスプレイヤーを対象としたプランを提供するところが増えてきました。

さらに、コスプレイヤーにターゲットを絞った『ロケーション』を提供するバスツアーや海外ツアーなども現れ始めています。
今はまだ、それほど頻繁にツアーは組まれていませんが、将来的にはコスプレツアーも重要なコスプレ市場のひとつになるかもしれません。

■コスプレマーケットの拡大

日本に約10〜12万人と言われているコスプレイヤーの多くは、関東・東海に集中し、次に関西、東北・北海道に分布しています。関西より西は、福岡を除いてイベントに参加するタイプのコスプレイヤーは少ないのが現状です。

コスプレイヤーの人口自体の急速な増加は、昨年あたりからゆるやかな増加へ変わりつつありますが、それはあくまで関東での成長が天井に届いてきている結果であり、西日本などの現在イベント参加者が少ない地域では、コスプレイヤー数の増加や、Webコンテンツ及びイベント参加率増加の可能性を多く秘めています。

弊社のCureもコアユーザーに対して、より機能を向上させたシステムやインターフェイスを有料サービスを開始いたしました。課金ユーザーの快適なコスプレ活動の支援をしつつ、コスプレイヤー数全体の底上げとして西日本でのコスプレ環境の普及と、初心者への門戸広げるコンテンツを作成する事こそが、サイト運営の要であり、コスプレ業界の活性化につながると考えております。

私もコスプレサイトのディレクションを通じコスプレ業界の物流、Webの市場調査や傾向は常に意識していきたいと思います。


※1 ニュースリリース:矢野経済研究所『「オタク市場」に関する調査結果2008』(PDF)より