こんにちは、櫛井です。

ライブドアの現場の空気感とか文化的なものを少しでも皆さんに伝えられればなあという思いから、「ディレクターとエンジニアと対談したいね」と1年以上前から話していました。

今回は、ディレクターとエンジニアがそれぞれ二人ずつ登場し四人で対談をしてみましたのでその模様をお届けします。内容に関してはニュアンスが変わらないよう可能な限り発言そのままでお届けいたしております。あらかじめご承知おきください。

ではどうぞ。 

■出演者プロフィール



・栗原由樹 職業:webエンジニア/シニアマネージャー
 1977年生まれ、2001年ライブドア入社。受託制作時代を経て現在はモバイル自社サービスを手がける。デジタルガジェットを愛しすぎて月々の支払いがえらいことになっている。Yokohama.pm主宰。更新が少ないことで有名なTech Blogの担当でもある。Perlハッカー。


・井原郁央 職業:webエンジニア
 昭和生まれ、2006年ライブドア入社。livedoor ブログの開発チームを率いる一方でYAPC::ASIAライブドア テクニカルセミナーで講演も行う「話せるエンジニア」。ライブドア社内のマジレス四天王の一人でもある。初出社の日は地検に迎えられたが、今となってはいい思い出。


・佐々木大輔 職業:ブログ事業責任者
 1980年生まれ。2005年、ブログを愛しすぎてライブドアへ入社。ディレクターとして活躍しているうちに事業責任者にまで上り詰めてしまった。現在は「Blogger
Alliance
」の普及を目指し活動中。「さぶかるちゃん」というブログメディアも主宰している。担当は、もちろんブログ


・櫛井優介 職業:webディレクター/エバンジェリスト
 1979年生まれ、2004年ライブドア入社。webディレクターとして実績を積み、現在はエバンジェリストとして社内外にてwebの面白さや可能性を沢山の人に伝えるべく奮闘中。livedoor ディレクターBlogを始めた人物であり、マネタイズHacksディレクター交流会などのイベントも仕切るライブドア一の名幹事。らしい。担当はEDGEAuth、新規案件、等。



■はじめに


−司会
本日はマネジメント階層の方たちのみですが、経営やマネジメントに視点が寄ってしまうと論点がずれてしまうかと思いますので『いちエンジニア』『いちディレクター』としての考え方についてお話を聞かせていただければと思っています。1時間くらいでお話を伺っていきたいと思います、宜しくお願いします。

さて、本日お伺いしていきたい内容は大きく4点です。
・ディレクターからみたエンジニア像、またその逆バージョン
・こんなディレクター、エンジニアとは働きやすいよねという理想像
・過去の体験談、俺たちあのころ輝いてたよね的な内容
・お互いに言いにくいこと、この際だから言っておきたいこと

■ディレクターからみたエンジニア像、またその逆バージョン


司会:では、佐々木さんからお願いします。

佐々木(D):最近読んだ本(『楊家将』北方謙三)影響もあるんですけど、武将か文官かとしか考えてない。三国志っぽい感じで。で、それでいったらライブドアのエンジニアは絶対に武将じゃないですか。

司会:全員が武将ですか?

佐々木(D):全員武将じゃないですか?

櫛井(D):あぁ、にぽたんさんも張飛って呼ばれたりするしね…。

佐々木(D):ディレクターとしては、いざ戦争(トラブル)が始まったらやることがない感じが「文官」っぽい。この土日もちょっとトラブルがあったんですけど、エンジニアが対応をしている様子を見ながら「あー、俺なんもできねー」と思ってました。

司会:たしかに武将が最前線で働いてる雰囲気ありますね。櫛井さんはどうですか?

櫛井(D):僕から見たエンジニア像は「普通の理想のエンジニア」と「ライブドアのエンジニア」という視点でいうと、ホントにうちの人たちは話が早くてすごくいいなと思ってます。特に、自分のやるべき仕事に幅を決めない人が多くていいなと。

司会:例えばどういったことでしょう?

櫛井(D):職業エンジニアというよりは、ビジネスパートナーとしての自分たちの役割としてエンジニアをやってる人が多いなと思っていて、言われたことだけやるんじゃなくて「なんでそれをやるのか」を理解しないとやらないという頑固な面もあるんですけど(笑) 今後の展開やら前提になることなんかを詳細に説明するというのが必要になるので「めんどくせーなあ」と思う時もあるんですけど、例えばディレクターに何かを言われてその場だけじゃなく全体を見て判断をするストラテジックな人が多いな、と思ってます。

井原(E):ストラテジック、ね(笑)

司会:なるほど、では逆にエンジニアから見たディレクターはどうでしょうか

井原(E):そうですね、うちのディレクターはプロデュースがうまいですよね。ディレクターBlogの。

櫛井(D):えっ

井原(E):最初はTech Blogと同じ頃に始めたんですよね。

櫛井(D):あ、そうですね。ディレクターBlogとTech Blogは同時期に開始しました。

井原(E):かれこれ1年くらいTech Blogは誰も書いてないんですが、ディレクターBlogはその間着々とアウトプットを続けているというかブランドを作っているというのがありますよね。その粘り強さがすごいと思うし、エンジニアにも欲しいなと思うのですが。えーと、一番言いたいことは最後に言うので。

司会:「お互いに言いにくいこと」ですか、目玉ですもんね。

井原(E):そうです(笑) でも、ぶっちゃけピンキリだと思うんです。たぶんピンの人がすごく頑張ってディレクターBlogというブランドを作っていて、それを見てさらによい人が入社してきて、有限実行じゃないけど言ってるうちに段々そうなっていってるなと思って見てます。で、前からいるディレクター達にはもっと頑張ってほしいなと思ってます。

櫛井(D):すいません、何言ってもらってもいいですけど今日は基本的にノーカットでいきますんで(笑)

司会:栗原さんはいかがですか?

栗原(E):そうだなあ。全体像で見たら、幅広い仕事に携わってるんだけどそれをうまいことやってるなあという印象はある。

司会:例えばどういったことでしょうか?

栗原(E):ライブドアって今は広告モデルが主体なのでディレクターは営業っぽい仕事もやるし、エンジニアとの技術的な話とかもやらなきゃならない。そういった意味ですごく幅広い知識が必要だと思うんですけど、それをやれてるディレクターもいるなと思います。

櫛井(D):あ、全員がそうだよねって話じゃないんだ(笑)

栗原(E):そういう人もいるねっていう話。

井原(E):プログラムとデザインとコーディング以外の部分を全部やらなきゃいけないからたしかに仕事多いんですよねきっと。営業から社内調整から、モバイルだと設計もやるし。あと経理というか数字を見る仕事もしてるし。

栗原(E):あと法務とかもやりとりしてるし。

櫛井(D):っていう人も一部いる?

栗原(E):そうそう。

井原(E):それぞれ、この人はこれが強いっていうのがあるし。幅広いがゆえにディレクターっていう職業がわかりづらいんだろうなーと思う。「ディレクターになりたい!」って人がいたとして、何がしたいのかわからないことが多い。


■ディレクターの進化


櫛井(D):そういえば、たまに聞いてみたいなと思う質問があるんですけど。エンジニアから見て、うちのディレクター達は昔から比べて進化していますか?成長していってほしいなという思いから僕は色々と社内的に仕掛けをしているつもりなんですけど。今が全てよし、ってのはありえなくて日々進化していかないといけないよなあと思ってレベルの高いものをディレクターには要求し続けているつもりでいるんですけど。

栗原(E):うーん。昔ってどのくらいかにもよるけど、前にやっていた受託制作の頃と、自社サービスの頃とでやっぱり違うと思う。受託脳と自社脳というか。

櫛井(D):あ、それ小久保さんのエントリですか。

栗原(E):あ、うん。それでいうと、今でも受託が得意な人と自社のが得意な人がいて。そういう意味でいうと、佐々木さんとかは…

佐々木(D):お!どっちですか?

栗原(E):僕は自社脳かなあと思ってる。櫛井さんはどっちかというと受託が得意な人だと思ってる。

櫛井(D):いま自社案件しかやってないんですけど…

栗原(E):あ、えーと、能力があるんで自社もバンバンいけるみたいな。

櫛井(D):なぜかフォローされてる(笑)

佐々木(D):僕は前職では受託しかやってなかったですね。

櫛井(D):まぁ何がきっかけでどっちになるかってのはわからないですしね。

佐々木(D):まぁ両方やってるほうがいいですよね。

櫛井(D):まぁ好き嫌いと得意かどうかってのもまた別だし。自分は受託が得意だけど好きではないです。もう、こういうこと言っちゃいけないかも知れないけど受託って「ムカー!」ってなったりすること多くて。

栗原(E):まぁそういう時もあるよね。受託の人ってクライアントに言われたことにたいして考えるだけでいいけど、自社サービスの人ってどういうサービスを作ってどう育てるか、という信念がないと駄目じゃないですか。受託だと、そういう信念がなくてもやれますよね。

櫛井(D):そうですね、受託制作ではクライアントの要望をいかにうまく社内のリソースをつかってまわしていくかっていうのが重要なんですけど、基本的にはクライアントの望む物を作っていればそれでいいですからね。

栗原(E):そうそう、えっと、もともとの質問なんだっけ?

司会:うちのディレクターは進化しているか。です。

井原(E):どうなんだろう、受託のほうはあんまり絡まないからなあ。でも、受託制作のほうがディレクターとしての本当のスキルが試されると思うんですよ。自社サービスってたしかに自分で考えるんだけど、逆に思いついたことだけ言ってれば仕事してるような雰囲気でることもあるし。前から思うんですけど、企画自体はディレクターに求めてなかったりします。それもあとのコーナーで言いますけど。

櫛井(D):うわ、後が怖いですねこれ(笑)

井原(E):いやいや・・。むしろこう、仕事を調整して途中のチェックポイントを設けていろんな調整をこなしてっていうのがディレクターに求めている本当の仕事なので。受託をキチンとこなす人はそういうのをちゃんとやれるんだろうなと思ってますよ。自社サービスだと何を言ってもOKな部分もあって、立ち上げたばかりのサービスでも「まぁ最初だから」みたいなことで許されることもある。思いついたことだけやっちゃって、それでも形になっちゃうというのが問題に感じることもあります。

櫛井(D):うちの組織自体が昔とは変わってきてますね。前は「とりあえず作れ」だったし、「いいもの作れば人は来る」みたいな幻想のなかでみんな頑張るんだけど、田端さん(メディア事業部長)みたいなものすごい現実主義というか超リアリストが管理をするようになって「途中のチェックポイントをこうしないと駄目だ」っていうのが取り入れられるようになってきてる。

井原(E):たしかに、そういうのがあってよくなってきてる気はしますね。プレゼン能力もあがってきてるし。例えば、今ちょっと止まってますけど社内コンペってやってたじゃないですか。あれ、やっぱりよかったと思うんですよ。今もディレクター中心にプレゼンの勉強会やってたりしますよね。社内コンペの最初のプレゼンの時はね、ディレクター陣の発表が一番つまんなかった。

櫛井(D):そうですね。けっこう、ひどかった。

井原(E):まぁでもディレクターだけは全員強制参加で他は有志ってことだったから比べられないってのはあるんだけど。内容もつまんなければ発表もつまんないみたいなのがあって、それがちょっとやるうちにすごいレベルがあがっていって。それはディレクターBlogとか勉強会とかの効果なのかなと思ってます。外に見せる見せ方というスキルは全体的にあがってる。

櫛井(D):そうですね。社内コンペは僕が「やらせてください!」と出澤社長に直談判して始めたんですけど、やっぱりディレクターのプレゼンが下手っていうのが、こう、主宰してる身としては心が折れました。会社全体で見るともちろん皆が仲間なんですけど、一番近い職種のディレクター達が「こんなにもつまんないプレゼンをするのか」と、ほんとうにつらい、と思いました。これはもう続けるのも辛いし、やらされるほうも辛いだろうなと思ってました。ただ、やっぱり回数重ねて行って場数を踏めばみんな上達していくんで、ほんと続けてよかったなと、効果があってよかったなと思いました。最近では「文化祭」と呼ばれるくらいに人気あるイベントになってますし。

井原(E):またやりたいですよね、あれは。

櫛井(D):そうですね。ただ、遊びでやってるわけではないので続けるにあたってはコンペで表彰されたものを実際にサイトとしてオープンさせるとかの成果物って必要になるんです。それを作ることができる環境が整ってるとは言いがたいので、なかなか難しいんですよね。志が高い人と、そうでもない人というか、そういう人の乖離はあるんじゃないかなと思うこともあります。

井原(E):まぁ別にモノ作らなくてもプレゼンだけやってもいいんじゃないかな?プレゼンって重要だと思うし。プログラマのアウトプットがコードだとしたらディレクターのアウトプットって自分の思ってることを伝えることだと思うんで。

櫛井(D):そうですね、次回の開催を楽しみにしておいてください!とだけ言っておきます。

司会:えーと、ディレクターの進化っていう意味で言うと、結果的にはよくなってるんじゃないかってことですね。

井原(E):あ、まとめた(笑)


■こんなディレクター、エンジニアとは働きやすいよねという理想像


司会:では次は、「こんなディレクター、エンジニアとは仕事しやすい」という話題です。エンジニアの方からどうですか?お願いします。

栗原(E):何パターンかあるんですけど、すごい個人的な好みでいうと「プログラム以外のことをやってくれるディレクター」がすごい楽だなーと思います。

櫛井(D):あ、変にプログラムわかってるみたいな顔するヤツはダメだってことですか?

栗原(E):あ、うーん  (一同爆笑) なんていうか、エンジニアとしてやるところは俺に任せてくれと。あとのスケジュールとか外部とのやりとりとかデザインとか含めて全ての調整は任せるんで、俺たちにサイトの技術面を任せろよっていう体制に出来ると自分はすごく集中できる。井原さんはまた違うかも知れない。

井原(E):そうだなあ、打てば響くというか「これやりましょうよ」って言った時に「あぁいいね、やりましょう」と言ってすぐにお膳立てを整えてくれるような人とかいいですね。「あぁいいね、やりましょう」って言うだけのディレクターもいるんですけど、そこでちゃんと社内の調整したりとか、どこぞに電話してアポとりつけてくれるとか、お前が作るだけだよっていう状況に持っていってくれる人っているんですよ。そういう人はすごくやりやすい。こっちが提案したことに対してダメならダメな理由を説明してくれるってのも打てば響くっていうことになると思うんですけど。何を考えてるかわかって、やるとなったら色んな調整をつけてくれる人ってのがいいです。

栗原(E):それってひいてはエンジニアのモチベーションもあがりますね。「俺はこういうことやりたいんだけど」と言ったらすごい反応してくれて、ディレクターが調整してくれるところはしてくれてってのがあるとエンジニア以外にとってもいい影響になる。

井原(E):実際にその調整というかお膳立てってのはすごい難しいんですよね。「こういうのやりたい」って言っても「それはさすがにちょっと」みたいなかんじになったりするし「他の部署との関係性があって」とか「他の会社が」とか、ほんとはいっぱい色々と問題はあるはずなんですよ。そうやってグダグダ言って進まないディレクターってのも実際いる。

栗原(E):そうそう、そこらへんを全部飲み込んで…

井原(E):飲み込んでというか、やっぱりそういうのは難しいんですよね。でもそれをサラッとやれる人もいるんですよね。

司会:うちの会社にもそういったディレクターはいますか?

井原(E):いますよ。関わった範囲だと一人か二人しかいないですけど。「いいっすねー」って言いながらスルーするとかそういう悪い例な人達もいて、そんな中でたまに良い人にあたると「うわすごい、こういう人も普通にいるんじゃん」って思う。逆に良い人を見なれてる時に,いけてない人を見てうわーって思っちゃうとか。

司会:なるほど、ありがとうございます。佐々木さんとかはどうですか?こんなエンジニアはいいとか。

佐々木(D):ロジカルであればあるほど好きですね。衝突した時なんかでも、究極の理屈の部分で話し合ってわかりあえるエンジニアが最高に仕事がしやすいです。そうじゃないとダメって意味ではないんですよ。例えば毎朝バナナを差し入れしないとダメとか、気の利いたことをしないといけないとなると、それはちょっと自分が不得意な分野だというだけで。週に1回は飲みに行くってのを半年続けないとまともに仕事ができないとかは、苦手というか無理です(笑)

栗原(E):逆に、そういうのちゃんとわかってるのはすごい。バナナあげないとダメなんだなとか。

佐々木(D):それが必要ならもちろんそうしますが、やりやすいかどうかだと、そうじゃない方がやりやすいです。だって、飲みに行ける人って週に最大5人じゃないですか。だけど、ロジカルにいけるんだったら週に何百人だって相手にできる。仕事がどんどん高速化してよいものができる。

井原(E):論理で動かないエンジニアもいますね。人情で動くエンジニアも中にはいるんですよね。

佐々木(D):まぁいますね。でもよしあしじゃなくて。やり方次第というか。

司会:なるほど、櫛井さんはどうですか?

櫛井(D):僕の場合はプログラムというかサーバのうえで動いてるもの全部やってくれるエンジニアが一番よくて、それ以外の調整はまかせて欲しいですね。そりゃもう全部やるんで、自分の仕事をちゃんとやってほしい。

栗原(E):それって俺の言ったやつの逆バージョン?

櫛井(D):そうですね。だから僕は栗原さんと仕事する時はウマが合うというか役割分担が明確なので、そこに対しての理屈が一緒だから「なんでこう思うのか」とかで揉めないですね。俺はディレクターだから調整をするし根本的な「こうあるべき」みたいなのをディレクター視点で考えて仕様を書くし、栗原さんはエンジニアだからプログラミングをするっていうのが言わなくてもお互いにわかってるからすごくやりやすいですね。いちいち衝突しなくていいというか。

栗原(E):お互いに「踏み入れないところは知らないよ」っていうのが成り立ってるし。自分の範疇じゃないものを無理矢理ふられたとしても「知らないよそんなの」で一蹴しちゃうよね。

櫛井(D):そうですね、そういう時は笑顔で「それはアンタの責任だろ」って言うんだけど別に冗談で言ってるわけじゃなくて本気で思ってるし。

佐々木(D):そうだ、そういえば言うの忘れてました!ディレクターから見たエンジニア像で言おうと思ってたんですよ!俺ね、武将と文官の話は昨日読んだ本にそう書いてあったから言ったんですけど、ほんとは「漫画家と漫画編集者」って言いたかったんですよ。

一同:あー。わかる気はする。

佐々木(D):僕は編集者になりたかったんです。漫画をガーと描きつつストーリーを考えてる作家の横で、写真や資料をそろえたり、ストーリーに行き詰まったら話を聞いてそれを膨らませたりしながら、「よーし徹夜だ、がんばれー」って励まして最終的に締め切りに間に合うように入稿して発行部数をあげるというような。それが今はWebディレクターやってるっていう。

栗原(E):あ、たしかにピッタリ佐々木さんハマりますね。

佐々木(D):そういう意味でいうと、LDRを作った時なんかはまさにそういうカンジだった。髭の長い漫画家と一緒に(笑) 最初なかなか書いてくれないんですよ(笑) あれはほんと、漫画編集者っていうカンジでした。読者からの葉書が沢山きて「ここが評判のようでございます」って差し出したりするような。でも、自分が書きたいようにしか結局書いてくれないみたいな。結局それが正しいからいいんですけど。


■過去の体験談、俺たちあのころ輝いてたよね


司会:では次のお題にいきたいと思います

栗原(E):「過去の体験談」て、これ何?

櫛井(D):あ、これは僕がお題決めてるんですけど。ぼんやりとした話ばかりになっちゃうと読んでるほうはイメージ沸かないかなと思って、サービス名とか交えて具体的に話せるとリアリティ出るかなと思って用意したんです。で、僕が井原さんと栗原さんと一緒に仕事した時のことを話す、それを全員それぞれやるっていう形でどうかなと。

司会:なるほど、ありがとうございます。では櫛井さんの思い出からお願いします。

櫛井(D):はい、まず井原さんはブログを担当していて普段どういう作業をしてるかというか仕事ぶりというかそういうのは知っていたんですけど、一緒に仕事をしたのでいうとEDGEしかないんです。数少ない一緒に仕事したというなかでいうと、そもそもEDGEの思想に合ってる提案の仕方をして来てくれるしやりたい事もすごい合ってるし、何て言えばいいかな。「求められる」ではなくて「自分達が出したい」っていうプッシュ型で来てくれるんですよね。で、その時にはもう「これで出すよ」っていうある程度形になった状態で持ってこられるので「あ、これはもう何とかしないといけないな」と思って、そういうモチベーションで来てもらえるので僕もやらざるをえないというか喜んでやれるし、すごく楽しくやれました。で、さらに連発だったんですよね。

井原(E):あぁ、暇だったんですかね(笑)

佐々木(D):いや、めちゃくちゃ忙しい時だった気がします。

井原(E):忙しい時に掃除が進む、みたいな…

櫛井(D):忙しければ忙しいほど効率が高まるって人がライブドアには多いですよね。佐々木さんはそういう状態が一番ブログ書きたくなるって聞きましたし。暇だと逆に何も生み出せなくなったりしますよね。

司会:連続して公開、とお聞きしましたが?

櫛井(D):そうですね、スパムちゃんぷるーCicindelaDataSetと3つくらいを短いスパンで出したんですよね。次もまたネタがあれば井原さんと仕事したいです。

司会:櫛井さんは栗原さんとはどういったお仕事をされたのでしょうか。元々はモバイル事業部で一緒だったと思いますが。

櫛井(D):えーっと、何かやりましたっけ?

栗原(E):実際あんまり仕事したことないかも。

佐々木(D):えっ

櫛井(D):細かいのはすごくたくさんあるんですけどね。最近だとlivedoor Authとかかな。

栗原(E):うーん、そんな作業量なかったしなあ。ベッタリ一緒にやるってのは無いね。

櫛井(D):そうですね、僕と栗原さんとでやる案件では一緒に考えてやるというのがほとんど無いですね。僕が必要なところまで考えて仕様にまとめてざっと渡して、あとは栗原さんがうまいこと実装してくれるっていうのが多いから一緒に苦労したとか「戦友だ」みたいな感覚ってのはホントないですね。

司会:では、佐々木さんと井原さんはいかがでしょう?同じブログをご担当されているので長い気がするのですが。

佐々木(D):僕がLDRとかClipとかを担当してた時期はかぶってなくて、その間に井原さんがブログのメインプログラマになったので、じつはそんなに長くはないですね。1年くらいですかね。

井原(E):そうですね。

司会:井原さんとの仕事はどうですか?たぶん社内で一番論理的だと思うのですが。

栗原(E):たしかにこの二人はすごく合ってると思う。

佐々木(D):そうですね、一番やりやすいですね。でも、エンジニアにはそもそも論理的な人が多いですよ。なんていうか、IRC文化好きっていう時点で、もういいんですよ。間違うこともあるし、すごくいいこともあるし、話の内容は色々だけれど、常に大勢の前でオープンに発言して鍛えられてるってのがいいんです。


井原(E):でも二種類いるんですよね。IRCが好きな人と、個別のメッセンジャーが好きな人と。僕は個別メッセタイプがすごい嫌いなんですよ。勝手にこう、脇道を通って根回しとかされるとすっごいウザイ(笑) ただ、それを好む人同士ってのがいるんですよね。人情的な、仁義で繋がるような人に多いかな。

栗原(E):僕は使いわけてますね。

佐々木(D):僕も使い分けてますけど、どんどん個別メッセとかが増えてくるとIRCで全員に言っちゃったほうが早いからIRCに行き着きます。

井原(E):うん、ただIRCの人数が多いチャンネルとかで罵倒されると本当に落ち込んじゃう人っているから。それはやっぱり使い分けるテクニックはあったほうがいい。

櫛井(D):でもIRCも使いようで、「俺がんばってるアピール」みたいなのする人いるじゃないですか。

佐々木(D):そんなのあるかな?

井原(E):あ、俺しますよ。

櫛井(D):井原さんはいいんですよ(笑) 手も動かすし、やってるから。なんだろ「よくよく考えるとキミ別に何もしてないよね」みたいな人いるじゃないですか。えっと、まぁいいや。

井原(E):まぁ、アウトプットしてるだけマシだよね。「お前なんもしてないじゃん」て言われる準備は出来てるんですよきっと。

司会:井原さんはどうですか?過去の体験というのは

井原(E):さっきも言った「なんでもお膳立てされた」ってのが、櫛井さんとやったEDGEのツンデレの時なんかはこう、パパッと整いましたよね。

櫛井(D):あ、そうですね。あれは結構さらっと見えるようにやった覚えがあります。

井原(E):そう、最初に俺が「ツンデレでやりたいんですよ」とか思いつきで言ってたら 、デイリー四コマの作家さんにお願いできないんだっけ?とかいう話になって、これ結構難しいんですよね。まず四コマ作家さん使いたいとなると別の部署を通して作家さんに話を通してもらわないといけないし、しかも丁度コミケが近い時期で都合がつきにくいってのが容易に想像できて、コストどうするとかそういう問題もあって。一旦話はつきそうになったんだけどちょっとうまくいかなかったりで、結局櫛井さんの知り合いのツテを辿って絵師さんにお願いするってのが比較的ササッと行われました。

櫛井(D):あ、そうですね。あれは早かったですね。数時間でやった覚えあります。

井原(E):ちょっと早すぎでしたね。結局うまいこといったんですけど、早すぎて情報の行き違いで二重発注みたいな状況になっちゃって。

櫛井(D):そう、皆の思いが先走りすぎちゃって。

井原(E):あれなんかは人によっては「ちょっと考えておきまーす」と言って動かない場合もありますよね。結局ダメになるパターン。

櫛井(D):我ながらよく頑張ったなと思うんですけど、普通言い出せないんですよねああいう状況だと。二重発注状態になっちゃってて、どっちかを止めないといけない。忙しいとわかっている中で知り合いに声をかけちゃってる手前どうすんだ、みたいな。

井原(E):で、最後にモノを言うのはコミュニケーション能力で、そこでスピードが必要なのにちまちまメール書いてるヤツとか、席まで行って言えばすむことをわざわざミーティング設定したりとか。電話すればすむじゃん、ていう状況なんだけどしないって人がいたりもするんだけど、なかなか出来ないみたいだよね。

櫛井(D):あの時は、ちょっと担当がまたがってるてのもあってもう一人のディレクターが動いてくれてたんですけど。

井原(E):そうそう、彼の動きがちょっと早すぎた。

櫛井(D):うん、早かった。 「こういうことやりたいんだよねー」と話してて、結局じゃあこういうふうにやりましょうっていう合意が取れてない状態でもう動いてくれてて。普段の仕事ならそのスピード感でもいいんだけど、やっぱり部署をまたがったりってちょっとめんどくさいというか気をつかうんですよね。仕切りの問題とかもあるんですけど、細かい部分が調整しきれないうちに動いてくれちゃって結果的には早すぎて止めたという経緯なんですけど。

井原(E):そう、そこでミーティングだメールだってやってるとダメになってたと思う。

櫛井(D):あ、そうですね。その時はそのディレクターに「メッセとかメール書いてる時間あったら直接話したほうがいい」と注意したんです。一緒に担当のところに行って三人で話してすんなり解決しましたけど。話がこじれたら、直接顔を合わせて話せば大体解決するんですよね。

栗原(E):たしかにメッセとかミーティングとかより、話したほうが早いよって時は沢山あるね。

櫛井(D):そういえばモバイルのディレクターは直接会って話すことが多いですよね。ミーティングも多いけど、ディレクターが直接エンジニアの席まで来て仁王立ちで待ってたりしますよね。僕の席から近いからよく見えるんですけど、何かの答えを待ってるのかバグの修正を待ってるのかわからないけど、こないだは3人くらいディレクターが張り付いて仁王立ちで待っててビックリしましたよ(笑) 今となってはある意味で風物詩みたいなもんなんですけど、モバイルはやっぱり行動力あるなーと思う。こりゃもう文化なんだろうなと。

井原(E):それはもうほんとに漫画編集者じゃないですかね。

佐々木(D):そうですね、サボらせないというか。人気のエンジニアは行列できてる時ありますよね。CTOの池邉さんの横で、古賀さん(営業部マネージャー)と松浦さんと僕が順番待ちして、その場でコードを書いてもらったりとか。

櫛井(D):小久保さん(ネットサービス事業部長)もそういえば行列できてましたね、一時期。

栗原(E):あったあった。

井原(E):佐々木さんと俺は漫画編集者と漫画家っていう関係性じゃない気がしてる。ブログをやってて思ったのは同じ論理派だからっていうのもあるんだけど、比較的ロングランで「こういうものが作りたい」てのがすごくハッキリしてるんですよ。「この機能が欲しい」じゃなくて「こういうものが欲しい、だからこの機能を作る」っていうのがハッキリしてて、何か思いついた時も方針に沿ってるかどうかで判断できるんですよね。「あ、これは佐々木さんが言ってるブログじゃないや」っていう感覚があるからすごくやりやすかったですね。ブログというあれだけでかいプロジェクトが途中で迷走しなかったのはスゴイと思う。

司会:だいたい大きなプロジェクトは迷走しますもんね

井原(E):皆の意見を取り入れてるうちに気付いたら最初に言ってたのと全然違ったものになってるよね、とか。ボートを操縦する時に、すごく遠くの点を目標にしないとずれていっちゃうってあるじゃないですか。その遠くの点が見えてるかどうかってのが重要。灯台てきな。


■お互いに言いにくいこと、この際だから言っておきたいこと


佐々木(D):なんか「目玉企画」って書いてますね

司会:あ、カンペ読まないでください…これは井原さんのターンです。

櫛井(D):これは普段ディレクターに感じていて、言うべきでもないから黙っているようなこととか井原さんはあると思うんですけど。もっとこうあるべきだとか、とにかく黙って数学部に来いとか、そういうのを言ってもらうために用意しました。

井原(E):はい、ありますね。

櫛井(D):ですよね、なのでこれは井原さんしか言いたいこと無いと思うんですけど。

井原(E):いや、櫛井さんもあるでしょう。

櫛井(D):いや、僕はあんまり無いんですけどね。

井原(E):あ、まぁ、うん。今日はさっきからちょこちょこ小出しにしてるんだけど、ディレクターにあまり企画能力は求めてないんですよ。コンペとかで能力もあがってるのもあって、本当に企画が出来る人はいます。だけど思うのは、例えば1つのプロジェクトチームがあったとしてディレクターもいればプログラマもコーダーもデザイナーもいて、その中で「このサービスどうしよう」となった時に、プログラマって仕組みがわかってるんですよ。それとネットの子だから、ネットが好きで好きでプログラマやってる人達が多いのでやっぱりネットの空気とかが読めてて、そういうものに軸足をキチンと置いて「こういうことがやりたい」とか「こういうことをすべきだ」とか言ってる。少なくとも1つ軸足を持ってるんですよ。デザイナーとかコーダーてのもまたそれぞれ別のちゃんとした軸足があって、そのうえで「これがやりたい」ていう企画が出せるんですよ。その時にディレクターって、さっきも言ったけどディレクターっていう仕事はすごい様々でその全部を皆持ってるわけじゃないし、それを体系的に会得してる人も少ないんで、プログラマとかが持ってる軸足を持たずにフワフワっと企画を出しても、きちんとした軸足を持ってる人の企画には及ばないんですよね。そこでちゃんと出来るディレクターってのも確かにいるんだけど、いないなら別にディレクターが企画しなくてもいいっていう状況もある。他に行程管理とかお金の管理だとか社内外の調整だとか色々出来ることがあるからまずそれをきっちりやって、それはほんとに体系的に学べるものだからまずそれをきちんと持って、少なくともプログラマとかデザイナとかが持ってない軸足を持って、企画とか言い出すのはそれからだろと。そもそも、一人で考えなくてもこんだけ色んな軸足を持った人達がいるんだからその意見を聞いて、いいものをパッと吸い上げてダメなものはどこが違うか調整していくと自ずと企画は生まれていくので。何となくディレクターて言われた時に「自分が何か考えなきゃ、俺が新しいこと言わなきゃ」って思ってる人もいるんだけど、それって何か違うんじゃない?と。例えばこっちが何か言っても「面白いですね」って言うだけでスルーしたりするんですよ。それは、企画は自分が考えるもんだと思ってるから。それは何か違うんじゃないかなと思うというか10年はえーよ的に思ったり。それはなんか体系的な知識とか経験に基づく軸足を持って欲しいなと思うことはあります。

櫛井(D):まぁ、僕なんかもそうなんですけど、ぼやっとしたままというかわけもわからぬまま「ディレクターです」って名乗っちゃうのがweb業界は多いじゃないですか。テレビ業界なんかは現場たたき上げでアシスタントのアシスタントみたいなところから始まって、とにかくガムテ持って走るみたいな世界から始まるから自分がその場で何をしなくちゃいけないかってのは叩き込まれると思うんですけど。web業界ってまだ業界自体が若いっていうのもあるんですけど、結構みんな優しいし、あまりこう声を荒げて怒ったりとかしないじゃないですか。静かに殺されていくというか。ちょっと言い方難しいですけど「必要じゃないな」とか「こいつは別に育てる必要がないな」と思ったら、みんな静かに手を引いていくじゃないですか。そういう意味では、育ちにくい環境かもしれないです。

井原(E):ディレクターを育てる環境を作るってこともまだ出来てない気がしますね。ディレクターは入社の基準とか難しくないんですか?プログラマとかだとどれだけのコードが書けるとか判断基準があって、これより下のヤツは絶対入れないっていう基準が明らかにあって。ディレクターってそれが難しいですよね。だからこう、底抜けというか底が無いんですよね。ピンはハッキリして、それはすごくよいんですけど、キリが下すぎて全体の平均を下げてしまうところがある気がする。

司会:佐々木さんはディレクターの面接で何を見るんですか?

佐々木(D):絶対に聞くのは「前職をやめた理由」ですかね。

櫛井(D):それは何だったら刺さるの?

佐々木(D):ライブドアに来たくて一生懸命な人と、たまたま居場所がないからっていうので探してる人は明確に違って、後者だとどうやってもうまくいかないんですよね。だから「ライブドア入りたい!」って言ってくる人は、ほとんどそれでオッケーです(笑)

一同:え!ゆるっ!!! それは、ゆるい!

佐々木(D):いや!あれ?これが、結構ないもんなんです! まぁそういって採用したのまだ二人くらいしかいないんですけど…。

櫛井(D):え、熱意だけでしょそれ。ちなみに佐々木さんは何て言ってライブドアに入ったの?

佐々木(D):まさに今やってるブログを担当したいと言いました。
Paperboy&co.さんがやっている「カラーミーショップ(http://shop-pro.jp/)」ていうショッピングカートを搭載したCMSがあるんですが、そういうことをlivedoorブログの拡張でやれないかなと。でも、実際に入社のきっかけになったのは、外から見てても人が足りてないなあと思ってたんで熱意を持ってアタックすれば入れるだろうなあとは何となく感じてました。当時のlivedoorブログってユーザー60万人くらいだったんですが、ディレクターが1人って聞いてたんで、絶対入れると思って。

櫛井(D):出た。勝つ自信のある勝負しかしない佐々木さん。

佐々木(D):いやいやw 当時は「CGM」という言葉はありませんでしたが、そういったサービスを開発している会社で悩んだんですよ。基準としては、Perlで自社でサービスを作ってるっていう点なんですけど。

栗原(E):え、Perlがよかったの?

櫛井(D):それはPerlのコミュニティが好きなだけでしょ(笑)

佐々木(D):そうなんですよ。Perlのエンジニアがいて、かつ大規模なサービスを展開してるところがよかったんです。前職でもブログの事業をやっていた経験があったので、人が足りてない今行けば絶対入れると。入社が決まった2005年3月は、「ブログ」が流行語大賞を取る前で、まさにこれから盛り上がっていく、というときだったので。

司会:栗原さんは、言いにくいこととかないですか?

栗原(E):うーん、そうですねえ

櫛井(D):あの、たぶん皆さんご存じないかと思うんですけど。いちおう僕は栗原さんの友人でもあるんで知ってるつもりでもあるんですけど、彼はほんわかしてるように見えて誰よりも心の中にはアツイものを持ってるというか煮えたぎっているというか、そういうところもあるんですよ。それを全て、そりゃもう自分自身からも見えないところにしまいこんで静かに溶かして「なかったこと」にするっていう。そんな栗原さんでも消化しきれないものがあったような記憶があるんですけど「ディレクターがディレクションしない!」とか言ってたような…。

栗原(E):うーん、なんだったっけなあそれ(笑) なんか最近丸くなっちゃって、なんでも許せちゃうんだよなあ。あげるとすれば、最近一緒にやっているディレクターって受託制作あがりが多いんでスケジューリングとかきっちりやってくれるんですよ。でも今は自社サービスもやってるんでそれ以外のところもやっていかなきゃいけない。受託制作であればクライアントから言われたことをやるのが第一目標だったのが、自社サービスという違う分野になったのでその部分が足りていないと感じる部分はあるかな。自分でこのサイトをどうしていくのか、どうしたら伸びるかとか、そういうのが足りない人がいる。

井原(E):それは受託体質ってことですか?

栗原(E):簡単に言うと、サイトを育てるのがヘタかな。自分で何かサイトをやりたくてライブドアに入ったって人が多いと思うんですけど、そういう人はサービスへの思い入れも結構あるので「どうしたらうまくいくんだろう」ってことを常に考えてるからいいんだろうけど受託から来ると、そういうところの能力的に低い人が多い。

井原(E):そういう意味でいうとさっきの灯台の話がそうですよね。目標設定というか。

栗原(E):そう、そういう人はいいんですよね。

井原(E):ただ、灯台だけあってもダメなんですよね。目標を作ったあとに検証をちゃんとしなきゃいけなくて、この2つがないとダメですよ。そういう意味で、数学部でやってる統計学はディレクターには知っておいてほしい。

栗原(E):ユーザーアンケートとかやったりするけど、集計するまでは得意なんだけどそれを活かすのがヘタな人ってのもいるね。集計したデータをどう活かすかってのが不得意というか。受託だと集計したデータをクライアントに渡して終わりなんだけど、自社サービスだとそのデータを基にどうしていくかを考えていかなきゃならないんだけどそこが出来ないというか弱い。それ以外の調整とかは出来てて。

櫛井(D):つまり、ビジョンがないということですか?

井原(E):ビジョンとスキルと両方必要なんですよね。

櫛井(D):理想的には、そうですね。

井原(E):アンケートとってるってことは何かビジョンがあったんだと思うけど。

櫛井(D):いや、ビジョンがなくてもアンケートとることってありますよ。

井原(E):え、そうなんだ。

栗原(E):でも、数学部の影響で最近はアンケートとろうっていう風潮もあって。「なんかとったらなんか方向性が出るんじゃないか」って思ってるんだけど、集計の先が出来てからのものなので出来てない。

櫛井(D):たしかに、僕が入社したばかりの頃はアンケートだけとって我ながら活かせてないなあと思うことが結構あったんですけど、事業部が異動になって「こいつスゲーかも」って思ったのは、実は佐々木さんなんですよね。佐々木さんて、とったアンケート結果を執拗に舐め回すんですよ。統計的なというか、集まった意見を全体からも見るし1つ1つも吸い上げるし、ほんとスゲーなって思った。しかもそれを数ヶ月ずっとやるんですよ。でもたぶん本人はそれを何とも思ってないんですけど。

佐々木(D):覚えてない…

櫛井(D):ですよね、それを自然にやってるんだろうなって。そのアンケート結果を持ってチームに対して「こういう結果も出てるからこういう改善案を立てた、みんなで頑張ろう」っていうから、それに集中していけるんですよね。ユーザーに求められているし、言ってることも間違ってないしっていう。

佐々木(D):言いにくいこと、思い出しました。もっと自主的にサービスを作ってくれる人が居てほしいなと思います。漫画でたとえたら、発注してもないのに読みきりとか新連載のアイデアをたくさん作っているような作家さん。もし連載に穴が開いて困ったときに声をかけると、打てば響くように最新作の習作が出てくるような人が増えたら最高ですね。

栗原(E):あー、今いるとしたら例えばだれ?

佐々木(D):ブログのお絵かき機能は、まさにそんな感じでしたね。漫画の持ち込みのような。Webディレクターがなんかする前に、エンジニアが企画を持ってきて成功まで引っ張っていったというケースです。

井原(E):好きでやってる人はそういうの持ってるんですけどね。そういうのが今でてないってことは、あんまり好きじゃないというか情熱がないというかそういうことだったりするんですかね。

佐々木(D):持ってないとは言わないですけど、もっと居てほしい。

栗原(E):うーん、エンジニアだと難しいのかも。そういう情熱みたいなのをサービスに昇華させる人と、そうじゃない人っているじゃないですか。サービス以外のモジュールとかずーっと作ってたり。

井原(E):たしかに、サービスに昇華させるべきというか、プログラムが出来るからっていうだけでエンジニアやってちゃダメなんだろうなと思う。サービスをやってお客さんの反応を見て楽しいと思えるようじゃないと、それこそディレクターに手綱を引かれないとやれないようなエンジニアじゃダメだと思う。まぁ作るだけでもダメで、ディレクター目線というかプレゼン能力みたいなものは必要で「これはこういう風に活かせます」とか「ユーザーがこれをこういう風にして楽しんでる様子が見れます」とか言ってほしい。

櫛井(D):まぁ足りないところはやっぱり組織というか我々が手助けして、チームとしてやっていってもいいと思うんですけどね。

司会:では最後に、櫛井さん何かありますか?

櫛井(D):そうですね、普段から言いたいこと言ってるから無いんですよね。あ、でも1つだけあります。エンジニアにというよりかは栗原さんにっていう内容なんですがいいですか。

栗原(E):お、何ですか。

櫛井(D):Tech Blogを更新してください(笑)

栗原(E):おっとバレましたか。がんばります。。

司会:では、本日は皆さんありがとうございました。



■おわりに


いかがだったでしょうか。社内でもこういった対談は滅多に行われないので企画・参加をした私自身も新鮮でした。こういった普段とはちょっと違う場じゃないと出ない意見も聞けたので、また機会を設けてみたいなと思います。



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