ディレクターの渡邉雄介です。
ディレクターブログで以前に何度かモバイルSEOについて言及していますが、今回は、モバイルコンテンツ制作に関わるディレクターが最低限押さえておきたいSEOの進め方と、34個のチェック項目を紹介したいと思います。
SEO、その前に
SEOを行うとき、まず最初に何をしていますか?
「さっそく実施する」とお答えになる方もいるかもしれませんが、私は最初は何も手を付けず、現状の数値の把握から始めています。
たとえば、ページ内に特定のキーワードの出現回数を増やして、そのワードの検索順位の向上を目指しているような場合、施策を実施する前に最低1週間は過去の順位の推移・平均をみておかないと、結果どれだけ向上したのか、適切な検証ができません。
モバイルはPCと違って、まだまだ解析できる項目が限られているため、SEOの実施後にどれだけの変化があったのかを適切に検証をするには、実施前の数値も把握しておくに越したことはありません。
施策を考えたらすぐに実施してしまいたい気持ちはわかりますが (また、経験者の方にとっては当たり前のことかもしれませんが)、その施策がただの作業・自己満足で終わってしまわないよう、急がば回れで現状の数値を把握してみてください。
モバイルSEOのチェックリスト34項目
Googleのマリッサ・メイヤー副社長が、検索結果を決める評価指標は約200種類あると言っているように、検索エンジンのアルゴリズムは日々進化しており、よほどのスパム行為をしているサイトでもない限り (元からある程度SEOを考慮して制作されたサイトの場合)、単にいくつかの施策を行っても、なかなかはっきりとした成果として現れにくくなっているのが現状です。
SEOは「検索エンジンからの流入を増やす」ことが目的と思われがちですが、厳密に言えば「増やす」のではなく、そのコンテンツが元々持っている価値を、余すことなく検索エンジンに伝えることが目的だと考えています。
ライブドアでは下記のようなモバイルSEOのチェックリストを作成し、コンテンツのリリース前や、リニューアル前に担当のディレクターがチェックするようにしています。
■環境要因
- bot (Google・Yahoo!)・PC (Mozillaなど) のクローラーのIPアドレス・UAを許可しているか。
- 下位端末のbot (Google) からのアクセスを遮断していないか
※上位端末のアクセスに制限している場合も同様 - PC版コンテンツのURLに携帯のUAからアクセスした場合、確実に着地させたいモバイル版のURL (ページ) にリダイレクトしているか
※リダイレクト先をトップページに限定していないか - インデックスさせたいURLに対し、不要なパラメータが含まれないようにしているか
※どうしても含まれてしまう場合、canonicalで正しいURLを認識させているか - 被リンクURLの分散が懸念される場合、パラメータをパスに埋め込むなどして、URLの正規化をしているか
×: http://contents.m.livedoor.com/a/b.html?param=hoge ○: http://contents.m.livedoor.com/a/b.html/param/hoge
- URLに付属するパラメータに、Softbankの予約語が使われていないか。
pid・sid・uid・lid・gid・rpid・rsid・nl・cl・ol pl・jsky〜・(*)・prc・cnt・reg・vsekey・vsernk
※Softbankの技術資料・開発ツール 全技術資料一覧 参照 - Google ウェブマスター ツールに登録し、モバイル サイトマップの作成・送信をしているか
■HTML要因
- 非会員領域の <title> タグは、検索してほしい・されるであろうキーワードを入れているか
- 非会員領域の <title> タグは、他ページと重複していないか
※Google ウェブマスター ツールの [コンテンツ分析] でチェック - 非会員領域の <title> タグは、10〜30文字で記述されているか
※Google ウェブマスター ツールの [コンテンツ分析] でチェック - 非会員領域の <title> タグに、不要なHTMLタグ (<br> など) が入っていないか
- 非会員領域の <meta> タグの description は、同ページの <title> タグに含まれるキーワードを入れているか
- 非会員領域の <meta> タグの description は、他ページと重複していないか
※Google ウェブマスター ツールの [コンテンツ分析] でチェック - 非会員領域の <meta> タグの description は、10〜40文字以内で記述されているか
※Google ウェブマスター ツールの [コンテンツ分析] でチェック - 非会員領域の <meta> タグの description は、不要なHTMLタグ (<br> など) が入っていないか
- 非会員領域の <meta> タグの keywords は、同ページの <title> タグに含まれるキーワードを入れているか
- 非会員領域の <meta> タグの keywords は、不要なHTMLタグ (<br> など) が入っていないか
- <img> タグに alt属性を付加しているか
※レイアウト用途 (spacerなど) の画像の alt属性には、空要素を指定しているか - 適切なDOCTYPE宣言・Content-Typeが設定されているか
- PC版コンテンツには、Mobile Link Discoveryを確実に着地させたいモバイル版のURL (ページ) に指定しているか
※トップページに限定していないか
<link rel="alternate" media="handheld" href="モバイル版 コンテンツのURL" />
- ステージング環境はbot (Google・Yahoo!) にインデックスさせない設定になっているか
- <body> タグ内で検索してほしい・されるであろうキーワードは、画像ではなくテキストになっているか
- <body> タグ内で検索してほしい・されるであろうキーワードを含むリンクは、「こちら」「詳細」「もっと詳しく」「一覧」などではなく、リンク先ページの <title> タグの内容になっているか
- <h1> (もしくは <h1> にあたる <div>) タグは、同ページの <title> タグに含まれるキーワードを入れているか
- <h1> (もしくは <h1> にあたる <div>) タグを、同一ページで複数回使用していないか
- <h1> (もしくは <h1> にあたる <div>) タグを、文章構造に合わせて正しく使用しているか
- <h2> の下に <h1> タグを記述していないか
- <strong> タグを、同一ページで2回以上使用していないか
- トップページ以外の全ページに、「トップページに戻る」内容のリンクを設置しているか
- インデックスされたいページが、4階層以内に収まっているか
■外部要因
- ディレクトリ型検索エンジン (Yahoo!ビジネスエクスプレスやJエントリーモバイルなど) に登録・申請しているか
- ポータルの適切な場所にリンクを入れたか
- 運営日誌などの社内ブログに投稿しているか
■その他
- 各種検証ツールに登録しているか
手間がかかるチェックリストを作る意味
このチェックリストに沿っていくつかのコンテンツを複合的に施策を行ったところ、検索流入・検索順位ともに結果は非常に良好でした。
そして、ひとつひとつご覧になればわかるかも知れませんが、チェックリストといっても何か特別な (秘密の) 施策が書かれているわけではありません。SEOに興味のある方なら知っているようなことばかりです。
しかし、チェックリストなしに漏れなく項目をチェックするのは難しいと思います。ひとつひとつは当たり前のことでも10を超えると何かが抜けたり、忘れるからです。このようにチェックリスト化することにより、担当ディレクターのSEOリテラシーを高め、致命的な抜け漏れやスパム行為を未然に防ぐことで、コンテンツの価値をそのまま検索エンジンに伝えられると考えています。
ライブドアではモバイルSEOに強いディレクターを募集しています。
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