モバイルでニュースを担当している小島です。

ふだん私は、ニュースに見出しを付ける業務を担当しています。12文字という字数制限で見出しを考える際には、半角カナにできるところは半角カナにして文字数を削減したり、語順を入れ替えて半角スペースを入れる余地を確保したりという、細かい作業が不可欠になってきます。

そして、そのような場面で要求されるパズル的な感覚は、ダジャレ作りにも応用できるのではないかと考えています。そこで今回は、『AERA』の表紙や中吊り広告などで見かける“ダジャレ”キャッチコピーの作り方について書こうと思います。

なお、モットーとしては、爆笑を誘うよりも「誰がうまいこと言った」と言われることを目標としております。華やかな笑いは、プロの芸人に任せようではありませんか。

頭の中に「五十音表」はあるか

ダジャレの基本はゴロ合わせです。まず、比較的難易度が低いものとして、声に出したときに違和感の少ない、1文字だけ変えるものから考えていきます。

たとえば、流行りのファッション用語「森ガール」を1文字改変するとします。このとき、変えようと思った文字に「あいうえお、かきくけこ...」と1音ずつ当てはめて、「蟻ガール」「炒りガール」……などと全部出すのは面倒ですし、だんだん感覚が麻痺して最終的に何がいいのかわからなくなってきませんか?

ゴロ合わせでダジャレを作る場合、韻を揃えるという工程が非常に重要です。そこで「あいうえお、かきくけこ...」ではなく、「あかさたなはまやらわ」から「おこそとのほもろよを」まで、元の音に対応した五十音表に当てはめてみてください。

1文字ずつ当てはめていくことは変わりませんが……
50音表の図

「あいうえお、かきくけこ...」と10回繰り返すよりも、
あいうえお、かきくけこ...

「あかさたなはまやらわ」のパターンで横からいくと5回で終わるため、
あかさたなはまやらわ

組み合わせの後半で「ロリガール」という怪しげな単語を出すまでに息切れしてしまう可能性を少しだけ避けられます。若干、作業感が軽減された気がしませんか?

また、ゴロ合わせがうまくいかない場合、キーボードに相談してみるという手もあります。わざと同音異義語の誤変換をかましてみるのです。行き詰ったときの思考の助けになってくれるかもしれません。ほら、「銛ガール」という、海女のような名前が出てきたではありませんか。

さらに奥の手「区切りずらし」

長い単語に関しては、つながりを無視してゴロのみで勝負するやり方もあります。変なところで区切ることでダジャレの選択肢が広がったり、「ー」や「っ」や句読点で区切ることでブレイクスルーが発生するかもしれません。

「ハーマイオニー役のエマ・ワトソンが事故死」という嘘の情報がネットを賑わせたときに出てきた「はー、まぁいいようになるんじゃないですかね(ハーマイオニーだけに)」や、「えーまぁ、わっと騒いで損する人がいたわけです」はその例です。

ダジャレに飽きたときには

目先を変えて「上手いこと」言うパターンを数例挙げてみました。

  • わざと見間違いをする (例: 叶姉妹を吐姉妹)
  • 余分な一文字・単語をつけ足して違う意味にする (例: 酒井違法子、二次元大介)
  • もっと付け足して他の単語にする (例:時をかける正長の土一揆)
  • 英語の略称について、勝手に何の略か考える (例: TBSを「to be sold」)
  • 短歌の縁語のように連想する言葉を並べてみる (例: ボルト、ワット驚く新記録)

作品発表の場としてのWeb空間

人知れず鍛錬を積むストイックさも結構ですが、Webを発表の場にするのが手軽にレスポンスを得られていいと思います。「洒落」という字をローマ字で書いても分かる通り、ここでも「Open and "Share"」の精神で臨みましょう。

140文字以内で「つぶやき」を投稿するTwitterは、格好のネタ披露ツールとしての使い道も持っています。モバイルから1駅ごとにダジャレを投稿してみたり、他のダジャレ好きのユーザーとネタの応酬に興じることで、楽しみながら瞬発力と発想力を鍛えていくことができます。

Webとの連携で言えば、もう一つ提案があります。苦労して編み出したダジャレをGoogleなどで検索してみましょう。このときに検索結果に何件もそのダジャレがヒットしてしまった場合の失望感は、自分と同じ服を着た人に電車で出くわしてしまった時の気まずさと通じるものがあります。こういう苦い経験をバネにして、より新奇性のある言い回しを研究する習慣をつけてください。

ハガキ職人的な才能を生かすなら、Webディレクターという選択肢はいかがでしょうか。