こんにちはライブドアの小久保です。
SEMを担当されている方には馴染み深いと思いますが、広告宣伝費の費用対効果は想定CPAという数字をもって、出稿先を選定する、といったことを繰りかえしているかと思います。そこで、今日は立ち返ってユーザー獲得にかけられるコストというものを考えてみます。
まず最初にタイトルにある、ライフタイムバリューの説明をします。ライフタイムバリューはLTVとも略され、企業と顧客が継続的に取引をすることによって、顧客が企業にもたらす価値(利益)を指します。
もともとこの言葉はマーケティング用語で、ライフタイムバリューを上げるために顧客満足度やユーザーロイヤリティの向上を目指しましょう!といった使い方をされます。
さて本題です。広告出稿を検討している出稿者が持っている「想定CPA」というのは結構ミソで、どちらかというと過去の出稿経験でのデータや、競合他社との入札状況により、かなり曖昧に想定CPAを持っている方が多いように思います。この原因はわりと単純明快です。
リスティング広告などは非常に分かりやすい例ですが、キーワードの単価は入札により市場価格が決まっており、「保険」「自動車」「プロバイダ」「ブログ」などを買おうとした時点である程度CPCのレンジが決まってしまいます。
アフィリエイトはどうか?こちらも結局のところほぼ同じような競争原理が働いており、「競合さんはいくら出しているので、CPA●円で設定すれば、月●人獲得が見込めます」という話になります。
純広の場合は、当然ながら媒体側が定める枠の定価があります。100万インプレッションいくらという価格の妥当性は、出稿側は想定CVRからCPAをイメージしながら購入していることでしょう。
このように本来目指すべきCPAは回収できる水準かどうか?で考えなければいけないところが、長いこと続ければ続けるほど「現実的な市場価格」に引きずられがちである、ということは共感される方多いのではないでしょうか?
前述の現実的な話は一旦脇においておいて、改めてこう問いただすのならば、「ユーザー一人獲得当たりに得られる収益」が広告宣伝費の限界値であるのは自明です。もう少し詳しく表現すれば、「ユーザー一人当たりのライフタイムバリューの平均値」ということになります。
ライフタイムバリュー=顧客生涯価値というと大げさな表現ですが、ネットサービスの場合であれば要はユーザーを獲得してから(事実上の)退会をするまでにもたらしてくれる利益ということになります。
LTVの計算方法については、もともと物販モデルでは有名で、以下のような計算式で算出されます。
物販だけではなく、どんなネットサービスにおいてもLTVは計算できます。広告モデルであれ、ユーザー課金モデルであれ、基本的には一人当たり月間収益(ARPU) x 平均継続月数という計算式で算出できます。
少し前に大手SNSの収益性の比較をされていた興味深いデータがありました。ここでARPUについての考え方は参考になるでしょう。
これにユーザーの滞在月が分かれば、SNSでのLTVはARPU x 滞在月数ということで計算できます。すなわち、当然ながらユーザー獲得に対してかけられるコストはARPUが最大であるGREEとなります。CMもいっぱい打ってましたしね!?
ただ実は広告ARPUの算出が結構厄介でして、ユーザー単位で分解して掲載面別の正確なeCPMを把握するのはほぼ不可能で、ある程度のボリュームの平均単価で丸めるなどしないと算出は難しいと思います。
さて、あなたのサービスのユーザー当りのライフタイムバリューはいくらくらいでしょうか?かなりシステム的にデータ収集が難しい点もあるかと思いますが、一度トライしてみる価値はある指標だと思います。
最初、本エントリーはこれで終わろうと思ってたのですが、自分で書きながら気づいたことがありました。
当たり前のことなのですが、LTVを上げることによりユーザー獲得にかけられるコストも上がり、結果さまざまな選択肢が広がります。広告宣伝ボリュームの増加→シェア拡大&競合への勝利、という正のスパイラルが生まれる訳です。
LTVはもともとマーケティングで顧客満足度やロイヤリティを上げることの効果を示唆しておりましたが、ネットサービスにおいてもユーザーの顧客満足度やサービス利用の継続性をあげることが、新規ユーザー獲得の選択肢を広げる要因になることは、あまり今まで考えられてこなかったことのような気がします。これについてはまた深く考えて行きたいと思います。
SEMを担当されている方には馴染み深いと思いますが、広告宣伝費の費用対効果は想定CPAという数字をもって、出稿先を選定する、といったことを繰りかえしているかと思います。そこで、今日は立ち返ってユーザー獲得にかけられるコストというものを考えてみます。
ライフタイムバリューとは?
まず最初にタイトルにある、ライフタイムバリューの説明をします。ライフタイムバリューはLTVとも略され、企業と顧客が継続的に取引をすることによって、顧客が企業にもたらす価値(利益)を指します。
参考URL:顧客生涯価値 【Customer Lifetime Value】
もともとこの言葉はマーケティング用語で、ライフタイムバリューを上げるために顧客満足度やユーザーロイヤリティの向上を目指しましょう!といった使い方をされます。
想定CPAの現実・・・
さて本題です。広告出稿を検討している出稿者が持っている「想定CPA」というのは結構ミソで、どちらかというと過去の出稿経験でのデータや、競合他社との入札状況により、かなり曖昧に想定CPAを持っている方が多いように思います。この原因はわりと単純明快です。
リスティング広告などは非常に分かりやすい例ですが、キーワードの単価は入札により市場価格が決まっており、「保険」「自動車」「プロバイダ」「ブログ」などを買おうとした時点である程度CPCのレンジが決まってしまいます。
アフィリエイトはどうか?こちらも結局のところほぼ同じような競争原理が働いており、「競合さんはいくら出しているので、CPA●円で設定すれば、月●人獲得が見込めます」という話になります。
純広の場合は、当然ながら媒体側が定める枠の定価があります。100万インプレッションいくらという価格の妥当性は、出稿側は想定CVRからCPAをイメージしながら購入していることでしょう。
このように本来目指すべきCPAは回収できる水準かどうか?で考えなければいけないところが、長いこと続ければ続けるほど「現実的な市場価格」に引きずられがちである、ということは共感される方多いのではないでしょうか?
ユーザー獲得に対して、いくらまで広告宣伝費をかけてよいか?
前述の現実的な話は一旦脇においておいて、改めてこう問いただすのならば、「ユーザー一人獲得当たりに得られる収益」が広告宣伝費の限界値であるのは自明です。もう少し詳しく表現すれば、「ユーザー一人当たりのライフタイムバリューの平均値」ということになります。
ライフタイムバリュー=顧客生涯価値というと大げさな表現ですが、ネットサービスの場合であれば要はユーザーを獲得してから(事実上の)退会をするまでにもたらしてくれる利益ということになります。
ライフタイムバリューはどんなサービスでも計算できる
LTVの計算方法については、もともと物販モデルでは有名で、以下のような計算式で算出されます。
経営企画室.comより引用
ライフ・タイム・バリューは以下の指標によって計算を行います。年間平均客単価×年間平均購入回数×平均購入年数となります。具体的な数値を当てはめてみますと、年間平均客単価3,000円、年間平均購入回数8回、平均購入年数3年であれば、3,000円×8回×3年=72,000円がライフ・タイム・バリューの基となる1人当りの平均売上です。健康食品を通信販売で販売している企業であれば粗利率80%ですので、72,000円×80%、すなわち、57,600円がライフ・タイム・バリューになります。つまり、1人の新規顧客を獲得できれば平均して57,600円の粗利に貢献してくれることになるのです。
物販だけではなく、どんなネットサービスにおいてもLTVは計算できます。広告モデルであれ、ユーザー課金モデルであれ、基本的には一人当たり月間収益(ARPU) x 平均継続月数という計算式で算出できます。
少し前に大手SNSの収益性の比較をされていた興味深いデータがありました。ここでARPUについての考え方は参考になるでしょう。
Facebook ビジネスモデルを徹底分析 〜 mixi,モバゲー,GREEと比較
Facebookは日本のSNSと比較すると,広告ARPUで20-40%程度,会員ARPUで2-50%程度に留まっている。そのため,会員1人あたりの月売上で約12円と,ARPUが最大であるGREEの112円と比較すると11%となっている。
これにユーザーの滞在月が分かれば、SNSでのLTVはARPU x 滞在月数ということで計算できます。すなわち、当然ながらユーザー獲得に対してかけられるコストはARPUが最大であるGREEとなります。CMもいっぱい打ってましたしね!?
ただ実は広告ARPUの算出が結構厄介でして、ユーザー単位で分解して掲載面別の正確なeCPMを把握するのはほぼ不可能で、ある程度のボリュームの平均単価で丸めるなどしないと算出は難しいと思います。
さて、あなたのサービスのユーザー当りのライフタイムバリューはいくらくらいでしょうか?かなりシステム的にデータ収集が難しい点もあるかと思いますが、一度トライしてみる価値はある指標だと思います。
ユーザー満足度が新規ユーザー獲得の選択肢を広げる!?
最初、本エントリーはこれで終わろうと思ってたのですが、自分で書きながら気づいたことがありました。
当たり前のことなのですが、LTVを上げることによりユーザー獲得にかけられるコストも上がり、結果さまざまな選択肢が広がります。広告宣伝ボリュームの増加→シェア拡大&競合への勝利、という正のスパイラルが生まれる訳です。
LTVはもともとマーケティングで顧客満足度やロイヤリティを上げることの効果を示唆しておりましたが、ネットサービスにおいてもユーザーの顧客満足度やサービス利用の継続性をあげることが、新規ユーザー獲得の選択肢を広げる要因になることは、あまり今まで考えられてこなかったことのような気がします。これについてはまた深く考えて行きたいと思います。
コメント