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はじめまして。


開発部 デザイナーの小黒と申します。
「連載・ロケタッチのつくりかた」ということで、デザイナーではありますがディレクターブログにお邪魔させていただきます。

ロケタッチでは、ロゴデザインとトーン&マナーの選定、スマートフォンとPC用の画面UIデザイン、アイコンなどのビジュアルのアートディレクションなど、デザインに関わる全てを担当しました。

オーダーをより正確に掴むために


クライアントやディレクターもしくはプロデューサーが「こういうの作ってよ」って言ったものをそのまま作ったはずなのに「これじゃない」「なんかちがう」と言われた経験はありませんか?

なぜそういったことが起こるのでしょうか。
それは、オーダーしている人がイメージしているものを正確に言葉にできていない場合があるからです。日本語というのは非常にあいまいで、単語ひとつとってもいろいろな解釈ができてしまいます。

また、世の中のクライアントやプロデューサーがすべてデザインに精通している訳ではないので、具体的なビジョンがあってもそれを明確な言葉で言い表せているとは限らないのです。

デザインのオーダーに対してよく使われる「かわいい」「かっこいい」「大人っぽい」これらはすべて相対的な評価なので、これだけのヒントからデザインを起こすには、まだまだ情報は足りません。

デザイナーはオーダー通り、もしくはあるべき姿のビジュアルを起こすためには、より多くのヒントを引き出す必要があるのではないでしょうか。

ヒアリングに変わる手段としてのワークショップ


わたしがロケタッチにjoinしたときはプロジェクトが始まって間もなくの頃で、サービス名さえ決まっていませんでした。
なのでデザインに対するオーダーどころか、まずはオーダーそのものを導き出す必要がありました。
そして、それらを導き出すための手段としてKJ法のワークショップをアレンジして取り入れてみる事にしました。
KJ法は通常、ブレーンストーミングの方法として利用されることが多いですが、各自が思い描いているイメージやキーワードを全て吐き出して、プロジェクト参加者全員がイメージを共有するためにも有効な手段ではないかと考えたからです。

用意するもの
・ポストイット(できるかぎり沢山)
・サインペン (人数分)
・大きめの紙(数枚)

すすめ方
メンバーのプロジェクトへの参加のタイミングがばらばらで、各自のプロジェクトへの理解にはかなりの差があったので、いつから参加している人が書いたものなのかが分かるように、今回は3色のポストイットを用意しました。

プロジェクトの船頭である佐々木さんには赤、最初のミーティングから参加しているほかの人には黄色、最近参加しはじめた人には緑のポストイットに書いてもらっています。

最初の10分で、参加者全員にプロジェクトに対して思っているイメージや、このサービスにはこうあってほしいというキーワードをそれぞれ10コ書いてもらいます。このとき、個数は多めに設定した方がいいです。かぶってもいいので無理矢理にでもひねり出すことで、各自の考えを出し切ってもらいます。

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時間がきたら一人ずつ紙に書いたことの意図を軽く説明しながら1枚ずつ出して行きます。

ある程度出たところで、キーワードが「イメージしているもの」、「システムに対すること」などに分けられてくるので、それらをグループ分けして大きめの紙に貼っていきます。

KJ法は本来ならグルーピングしたものをさらに洗練させるために次のステップが必要なのですが、今回の目的はプロジェクトの参加メンバーの考えを引き出す事なので、ここまでにしました。

ワークショップを通して得られたもの


普通にヒアリングをするだけでは出てこない単語がたくさん飛び交うとことになり、プロデューサーが自分の言葉だけで説明する以上の物を引き出せたのではないかと思います。
また、それらをプロジェクトのメンバーの前で明らかにすることで、コンセプトの共有にも役立てたのではないかと思います。

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ブレーンストーミングやディスカッションだけでは、発言力の強い人の意見が会議の流れを支配してしまいがちで、そうではない人の声や考えが表に出にくくなってしまいますが、今回は各自が考えている事を紙に書いてそれをすべて場に出してしまうため、埋もれてしまう声を吸い出す事もできました。

このあと、サービスそのものが固まりはじめた頃に「ターゲットユーザーの小学生時代の共通体験を呼び起こす」という大きな目的が浮上したため、ここで得られたキーワードを煮詰めてさらにキーワードを絞って……という作業はしませんでした。しかし、コンセプトを導き出してそれを理解して共有するためには必要なステップだったのではないかとわたしは思います。

おわりに


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デザインの幸せなゴールは、ターゲットとする人々に受け入れてもらえる魅力的なものを作る事です。
そのためには、事前のコンセプトワークをかっちりと固め、目的を明確にしてから制作に取りかかれば戻りも少なくすみます。
また、新しいアイデアが生まれたときにも柔軟に対応する事ができるので、より「伝わるデザイン」にできるのではないでしょうか。


ライブドアでは、デザイナーに正確なオーダーができるディレクターと、
オーダーに対して的確なデザインができるデザイナーも募集しています。

第1回 プロデューサー編 (佐々木)
第2回 ディレクター編 (荒井)
第3回 デザイナー編 (小黒) ※本記事
第4回 プログラマー編 (吉川)
第5回 マークアップエンジニア編 (浜)
第6回 プログラマー(ケータイ版)編 (平野)
第7回 プログラマー(iPhoneアプリ版)編 (浅見)

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