モバイルビジネス部の久野です。

下記は最近の携帯電話の販売ランキングと、2009年度のスマートフォンの出荷台数シェア (国内) です。iPhone 4 の発売で、更に iPhone 人気は加速していることがわかります。

携帯販売ランキング(7月26日〜8月1日):続く「iPhone 4」旋風 6週連続首位 (1/5)

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出典: MM総研 [東京・港]

iPhone が素晴らしいプロダクトであり、開発者だけでなく世界中の多くの利用者に新しい体験を与えていることはご存じのことかと思います。そんな中、海外の Android 市場もここ数カ月で急速に拡大してきています。

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図2: 2010年上半期、米スマートフォン市場でAndroidがiPhoneを上回る

このような動向を踏まえて、日本市場における Android 端末の普及の見込みを整理したいと思います。

スマートフォン所有者1,500万台に至るまであと何年?


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出典: 矢野経済研究所推計 注1: メーカー出荷台数ベース 注2: (予) は予測値

まずは現在の国内携帯電話市場について見ていきましょう。2010年3月のキャリア別の契約者数のシェアは以下のようになっております。
  • docomo: 約5,569万2,500件
  • au: 約3,156万7,200件
  • SoftBank: 約2,199万8,000件
  • 全体合計: 約1.1億件
次に、スマートフォンの出荷台数推移を見てみましょう。
  • 2008年度通期: 約140万台
  • 2009年度通期: 約200万台
    ※全体 (約3,400万台) の約6%を占める割合に到達
これが、2010年度には約300〜400万台とも言われています。2010年4月の時点では、約300万台 (全体の約3〜4%程度) の普及ということになりますが、この急増傾向を踏まえると、2010年度中には少なくとも7%〜8% (約700〜800万台)、2012年度には15% (約1,500万台) に到達する見込みです。

世界市場と比較しても、日本の普及はまだまだこれから


日本においては、約3%程度のシェアであるスマートフォンの普及率が、欧米においては、約20〜25%と言われています。

欧米では、通信事業者主体のデータ通信サービスが促進せず、通信業界の標準化が混乱する中、インターネット企業主導のイノベーションが進むことでスマートフォン市場が形成されはじめました。

一方、国内においては、ガラパゴスと呼ばれ発達した通信事業者を軸としたモバイル市場が強固であったこともあり、スタートがやや遅れました。

しかし、契約者数が1億台を超え、販売促進制度の廃止などもあり、端末の出荷台数が急降下した2008年以降、国内のスマートフォン市場が本格的に動き始めたといえます。

日本での普及のポイントと、各プレイヤーの取り組み


欧米とは普及の割合が異なる日本市場ですが、iPhone 3G と国内初の Android HT-03A を私が手にした時に感じた、日本での普及のポイントを改めて振り返ってみたいと思います。

1. 既存携帯電話にある機能の搭載
メール、絵文字、デコメ、おサイフケータイ、ワンセグといわれる既存の携帯電話にあってスマートフォンにない機能の搭載
2. 決済手段に対する安心感
クレジット利用やインターネット決済が欧米に比べて発達していない日本における、セキュリティの強化による安心感の提供と信頼して利用できるサービスの充実
3. 販売現場での取り組み
携帯電話とスマートフォンの区別がつかない (理解できない) 利用者や、購買を決断する販売現場における、教育やサポート
4. 端末メーカーの参入と拡大
実際に端末を開発・生産する端末メーカーの取り組みの本格的な始動
5. 既存携帯電話との差別化
既に高性能な既存携帯電話にはない、加速度センサーや拡張現実 (AR) などの機能が活かされたサービスの充実

約1年が経過した現在、これらのポイントと各プレイヤーの動向を整理してみます。

◆1&2. 既存の携帯電話機能の移植と、ますます充実する決済サービス

2010年6月〜7月にかけて続々と正式にリリースされ、実現が決定している状況です。最大手の docomo については、SPモードの展開で、スマートフォン向けISP対応、デコメ、絵文字、アクセス制限、コンテンツ決済の導入が確定しておりますし、おサイフケータイ、iチャネル、iコンシェルなど iモードで好評なサービスの展開も予定しています。
ドコモ、スマートフォン向けISP「spモード」概要を発表
NTTドコモ、発売予定のスマートフォンに「おサイフケータイ」機能などを導入へ

au については、第1弾の IS01 のタイミングで、ワンセグ、赤外線通信などを搭載し、今後、EZwebメール、デコレーションメール、FeliCa、LISMO の対応が既に進行しております。
IS01の5つの特徴!〜成り立ちからその個性まで〜
スマートフォンコンテンツの代金を携帯料金と合算で支払い――auかんたん決済

◆3. 充実した iPhone の販売現場、ドコモも利用者の教育/サポートを強化

この8月から docomo が、ショールームを開始しました。
「新時代を身近に体験」――ドコモが丸の内にスマートフォン専用ショールーム

iPhone については、皆さんも体験したことがあるのではないでしょうか。Apple Store に、iPhone のコーナーがありますが、ここにはモックアップが置かれていないかと思います。SIMカードが入っていて通信のできる実機が設置されています。そして、写真も音楽も電話帳もあらかじめ準備されています。あわせて、豊富なアプリがインストールされた状態となっています。

それらは、iPhone をかっこよく、あるいはかわいく、そしてセンスのあるものに見せるような写真や音楽、アプリが入ってるだけではなく、対面するお客様のライフスタイルに合わせて、どういう提案ができるかにより、セールストークを変え、日常使う機能をお客様が「iPhone を好きになる」ようなプレゼンテーションをしているのです。

非常にシンプルなことですが、一般の利用者にどのようにスマートフォンを理解してもらうか?好きになってもらうか?そういった取り組みも重視され進行されています。

◆4. 国内外問わず、積極的なAndroid展開

2008年前後の1億台到達や販売奨励金の廃止により、携帯電話の出荷台数の減少、端末の単価の向上、1台辺りの利用期間の長期化を経て、端末メーカーは売上げ減少に伴う、開発コストの維持/低減が余儀なくされる中、Android という低コスト開発が可能な端末は、端末メーカーとしても重要視して選択されてきました。

SHARP、 Sony Ericsson などは既に発売開始されていますが、国内メーカーも続々と準備を進めており、更に海外でも実績のあるメーカーの参入も今後更に活性化していく見込みです。
「HTC Desire X06HT」 のMMS対応とAndroid 2.2へのアップデート予定を公表
NTTドコモ、秋以降に「Samsung Galaxy S」を発売! サムスン電子製Androidスマートフォン
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◆5. オープンなアプリマーケットにおいて、コンテンツプロバイダ・開発者だけでなくキャリアも積極的に活動

アプリマーケットにおいては、コンテンツプロバイダや開発者がユニークで魅力のあるアプリの提供を日々リリースしていることと思います。

利用者の安心感や利便性という点では、docomo、au 共に、「ドコモマーケット」「au one Market」を展開しており、日本人には分かりにくい Android マーケットの中から利用者に届けたいものを厳選して最適化した形で提供されはじめています。更に、拡張現実の取り組みや、電子書籍事業への参入なども明確に打ち出しています。
スマートフォン「拡張現実」、ドコモとKDDIが新サービスへ
KDDIと頓智・の資本提携について〜携帯端末におけるAR事業の協業推進について〜
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5つのポイントを振り返ってみましたが、国内スマートフォン市場が今以上のペースで拡大していくことは間違いないことと、iPhone の躍進にあわせて、国内における Android の普及が急速に進行していくことが分かります。

iPhone と Android は競合ではない?


国内市場におけるスマートフォン市場の拡大は、iPhone と Android が中心になってくると考えられる中、私も iPhone と Android を常々比較していますが、あくまで参考程度の比較であり、競合しているわけではないと考えています。
※iOS と Android の比較は別の論点ということで省略します。

各プレイヤーの重要視する領域とビジネスモデルを整理すると以下のようになるかと思います。
  • アップル: 端末 (OS) シェア/アプリ (課金) 拡大
  • グーグル: サービス (広告収入) 拡大
  • 携帯キャリア: 通信料収入 (契約者数) シェア拡大
  • 端末メーカー: 端末シェア拡大
Appleは、携帯キャリア、端末メーカーと競合していますが、Google と Apple は競合せず、むしろ Google は iPhone 上での最高の地図ともいえる Google Map なども提供することでサービス (広告) シェアの拡大を狙うことになります。更には、Googleと携帯キャリア、端末メーカーは補完関係になるのではないでしょうか。

現状は、このように見受けられますが、iPhone の他キャリア展開、SIMロック解除など、まだまだいくつかの論点がありますので、各プレイヤーの今後の動向は注視する必要があると考えています。

ライブドアの取り組み


各プレイヤーの取り組み状況から、Android を中心にスマートフォン市場の動向を探ってきましたが、今後の拡大が非常に楽しみです。
ここで、一番大切であると考えているのは、欧米での事例を見れば分かるように、私たちインターネットプレイヤーが、この動きを更に加速させる役割を担っているということです。

詳細は別の機会になりますが、ライブドアにおいては、「iPhone WEB」「iphone アプリ」「Android WEB」「Android アプリ」の4つの領域に対して、弊社の強みを活かしながら、今後、更に加速するべく活動していきます。ポータル事業、ブログ事業を中心とした弊社で運営するサービスの全スマートフォン対応 (Web/アプリ) による「ユーザー利便性向上」と「利用シーンの拡大」を実現すると共に、新たなユーザー接点として各種マーケットや、端末とのサービス連携を推進していきます。

後退することなく、変動し続ける国内スマートフォン市場ですが、市場を注視し、ユーザーと向き合い、サービスに落とし込むという刺激的な毎日がそこにはあります。ライブドアでは、モバイル&スマートフォンが大好きで (3台持ち推奨: 既存携帯電話、iPhone、Android)、日々の変動の波を乗りこなせる、そんなディレクターも募集しています。

今後とも、ライブドアをよろしくお願いいたします。