東北地方太平洋沖地震から約三ヶ月。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そのご家族の方々に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
今回のディレクターブログでは、大震災前後の「livedoorニュース」のアクセス状況から、こうした未曾有の災害時に、どの様なニュースが必要とされ、またニュースメディアとしてどのような役割を果たしたのかを、時系列に沿って検証したいとおもいます。
※今回の記事では、実際の数値ではなく、パーセンテージやグラフで表記いたします。
ご了承ください。
震災当日のアクセス状況
今回のディレクターブログでは、大震災前後の「livedoorニュース」のアクセス状況から、こうした未曾有の災害時に、どの様なニュースが必要とされ、またニュースメディアとしてどのような役割を果たしたのかを、時系列に沿って検証したいとおもいます。
※今回の記事では、実際の数値ではなく、パーセンテージやグラフで表記いたします。
ご了承ください。
震災当日のアクセス状況
以下のグラフは、PC版「livedoor ニュース」の3月1日〜31日までのPVの推移です。
◆「livedoor ニュース」全体/先月比: 127% [増]

震災当日の「3月11日」はほぼ変わらない数値ですが、これは非常にアクセスが伸びたカテゴリと、逆にアクセスが落ちたカテゴリが拮抗した結果と思われます。
また、緊急事態により、ニュース提供元の配信が一時ストップしたり、配信事態を自粛する提供元も見られましたので、そうした要因も影響しています。"震災当日はニュースよりもテレビの特報を見ていた" という意見も社内では聞かれました。
本格的にPVが伸び始めたのは、震災後の12日夜からの一週間で、「3月16日」には約2倍の数値を記録。その後緩やかに下降しますが、3月の総計では過去最高数値を記録しました。
それでは、増加したカテゴリと減少したカテゴリをそれぞれ個別に見ていきましょう。
◆「政治」カテゴリ/先月比: 175% [増]

震災直後の12日は下落しているのが特徴的です。その後、菅首相をはじめとするさまざまな政治家の発言や、行動に対しての注目が集まり、3月15日には通常の約3倍を記録。
後半は福島原子力発電所の事故対応などの是非を問う話題が多く見られました。記者会見でマスコミに対応した枝野官房長官も、国内外で大きな注目を集めました。
◆「国内」カテゴリ/先月比: 170% [増]

震災直後から、徐々に明らかになる各地の被害や、後に深刻さを増していく福島原子力発電所の状況など、非常に多くのアクセスを集めました。震災後の約一週間は、地震、津波、原発と段階的に被害が明らかになるにつれて、現地の被害状況が速報的に配信されました。
◆「海外」カテゴリ/先月比: 144% [増]

震災から数日後、世界各国も続々と震災支援を表明。特に多額の義援金を集めた台湾に注目が集まりました。3月後半になると、福島原発の事故を受けて、ドイツなど原発推進国の政治状況も決断を迫られ、メルケル首相の発言にも注目が集まりました。
◆「経済」カテゴリ/先月比: 120% [増]

震災直後の大きな変化はありませんが、輪番停電の及ぼす経済的な影響や、事故を受けて急落した東京電力株の話題になりました。また、国内外の企業による義援金の表明が相次ぎました。
◆「IT」カテゴリ/先月比: 115% [増]

震災直後から、様々なIT企業が震災支援に乗り出しました。中でも「Google」の「Person Finder」や、電話が不通となった中で安否確認に大きな役割を果たした「Twitter」、海外支援のネットワークの場となった「Facebook」などが注目を集めました。
弊社も、IT情報を提供する「IT Life Hack」が、福島の避難地域情報や「IT」という切り口から様々な情報を発信し、PVは先月比166%上昇しました。
◆「スポーツ」カテゴリ/先月比: 106% [横ばい]

スポーツでは、相次ぐイベント中止を受け、Jリーグがいち早く開幕延期を表明。続くプロ野球は、一時は開幕の決行を表明しましたが、世論の反発などもあり結局は開幕延期が決まりました。
サッカー界は29日に「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ」は、カズの感動のゴールなどもあって、観る者を勇気づける感動的なニュースとなりました。また、海外移籍組の選手もいち早く日本へのエールをおくるなど、サッカー界の姿勢を印象づけました。
◆「エンタメ」カテゴリ/先月比: 102% [横ばい]

エンタメカテゴリは震災直後に一時落ち込んだ後、3月はほぼ横ばいを続けました。TVのバラエティー番組や、イベントの自粛なども相次ぎ、「エンタメ情報」よりも「国内」「政治」などのカテゴリに注目が集まった結果と思われます。
◆「映画」カテゴリ/先月比: 96% [減]

映画カテゴリも3月はほぼ横ばいとなり、後述の音楽カテゴリと同じく先月比割れしております。やはり興業関係の話題は乏しく、上映中止のニュースや、映画俳優たちの寄付の話題などが多くを占めました。
◆「音楽」カテゴリ/先月比: 94% [減]

音楽カテゴリもエンタメと同じような推移ですが、3月トータルで見るとやや減少しています。震災から数日後に、泉谷しげる、Mr.Childrenの桜井和寿、AKB48、B'zらの大物アーティストが相次いでコメントや寄付を表明しました。コンサートなどのライブイベントの中止も大きく影響しました。
総合的に見ると、震災直後は被災地の状況などを刻々を伝える「国内」カテゴリがアクセスを集め、その後は「政治」カテゴリで福島原発への対応の是非を問うニュースが注目を集めました。
そして、「エンタメ」「音楽」「映画」「スポーツ」など、娯楽やリアルイベントに関するカテゴリは、著名人の寄付などの話題もありましたが興業の中止や自粛なども多く、PV的には総じて「横ばい」もしくは「微減」という状況でした。
「Web上の論壇」として様々なブロガーの意見が
交わされた「BLOGOS」
最後に、様々なブロガーがオピニオンを発信する「BLOGOS」の状況を見てみましょう。「livedoor」のニュースメディアで、最も急激にアクセスを伸ばしたのがこの「BLOGOS」でした。
◆「BLOGOS」カテゴリ/先月比: 194% [増]

震災直後は一時的に下落したももの、13日以降は投稿数も増え、一時は通常の約3倍までアクセスが急増しました。結果的に、3月は先月比の約2倍のアクセスとなりました。
特に「放射能汚染」の問題については、テレビや雑誌などのマスコミの情報が錯綜する中で、専門的な知識を持つブロガーの記事や、独特の視点からの解説記事などが注目されました。
また、福島原発での事故を受けて、国内の「原発の是非」についても、賛成派、反対派それぞれが「BLOGOS」を舞台に持論を繰り広げ、正に「ブロガーのオピニオンの場」として、様々な意見が交わされ、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアにも伝播しながら、ネット上での議論を巻き起こしました。
様々な立場のブロガーが集まる「BLOGOS」では、新聞やテレビといった一般のマスメディアとは違った、幅広いオピニオンをすばやく発信することができ、今回の震災は、「インターネット」や「ブログ」の強みを活かしたメディアのありかたを感じさせる出来事でした。
最後に
今回の震災は、我々スタッフも大きな揺れに見舞われましたが、「ニュースの重要性」について改めて気付かされた出来事となりました。被災地の復興を祈りつつ、「ニュースメディア」としての役割やあり方についても、引き続き模索していきたいと思います。
交わされた「BLOGOS」
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