こんにちは、ティーンズメディアグループ小出です。
ティーンズメディアグループでは、リアルタイムサービス「デコミィ」とスマホ専用デコメサイト「デコポスト」のディレクションや運営を行っています。また、マーケティング活動の一環としてグループインタビュー(以下グルイン)なども行っています。
ライブドアに入社してからも含め、私個人ではこの業界に入ってこれまでに約15回ほどのグルインを行ってきました。その経験で身につけたノウハウを、2011年7月18日に実施したデコポストグルインの様子と共にお伝えします。
まずはチームメンバーで集まって「グルインを行って何を明確にしたいのか?」という狙いを明確にします。「潜在的なニーズを掘り起こしたい」「サイト内UIを改善したい」など媒体によって様々でしょう。
デコポストのグルインでは「スマホ初心者が、デコポストを初めて使ったときにUIで手間取る部分を洗い出す」ことを狙いにしました。デコメをヘヴィに使うガラケーユーザーにとって「スマホとデコメ」の相関性は機種変更の重要なファクターになっている可能性が高く、「スマホデコメ市場の先取り」を意識しているデコポストにとって「スマホ初心者」の使いやすさは重要と判断したためです。
次にグルインの実施日を決めます。また、実施したい日付から逆算して事前準備項目もスケジュールに組み込みます。
ティーンズメディアグループでは6月初めにグルインプロジェクトが始動しました。エクセルでガントチャートを作成し、スケジュール通りにチームで動くことができるよう共有しました。ちなみに事前準備項目は以下です。
※サンプルとして、ガントチャートと資料のExcelファイルを公開します。
http://blog.livedoor.jp/ld_directors/doc/group_interview.xlsx
媒体のターゲット層に近いモニターさんを集めます。なお、社内リソースでグルインを実施する上ではこれが一番難しいです!
オーソドックスな手法ではサイト上で募集する方法ですが、媒体規模が小さいとなかなか集まらないと思います。デコポストグルインでは、社内アルバイトさんと、彼女のお友達合計3人に集まってもらうことにしました。
もちろんターゲット層に近い社員やアルバイトさんがいないこともありますが、社内ネットワークを活用して探してみると意外と協力的な方もいると思います。粘り強く探してみてください。
ちなみにモニターの人数は3〜4人が妥当だと思います。経験的に、モニターさんが5人を超えてくると「発言と発言の間のタイムラグ」が大きくなるせいか、グルインの盛り上がりに欠けてきてハンドリングが難しくなります。もちろん司会者のスキルにもよりますが…
また謝礼もお渡しする旨は伝えましょう。デコポストでは3000円分のクオカード+交通費をお渡ししました。事前に社内稟議等が必要な場合は忘れずに。
グルイン用の資料準備も重要です。デコポストのグルインでは3種類の資料を準備しました。
グルインのスタッフはできればメイン司会・アシスタント・議事録担当3名は準備したいところです。特にアシスタントの役割は重要で、タイムキーパーや資料配布・回収、端末準備、モニターさんのヘルプなど多くの役割があります。
モニターさんの集合時間や場所などはわかりやすく伝えておきましょう。当日の連絡先なども予め交換しておき、モニターさん遅刻などの状況にも円滑に対応できるようにします。
モニターさんが集まったらいよいよグルイン開始です。最初に写真撮影やボイスレコードの許諾をもらい(どちらも後から役に立ちます)、さっそくヒアリングシートを記入してもらいましょう。開始直後は司会者だけではなくモニターさんも緊張しています。ヒアリングシートの内容を元に、モニターさんに色々と質問を投げかけて話しやすい雰囲気作りをしましょう。
先日のデコポストグルインでは私がメイン司会を担当しました。完全に余談ですが、グルインのとき私は学生時代にやっていた合コンのノリを思い出して盛り上げています。「あのノリ」は意外と使えます。
雑談を交えた後はいよいよ本題に入っていきます。潜在ニーズ調査などマーケティング的なグルインでは、モニターさんの「不満点」をあぶり出すような質疑応答をしていくのが良いと思います。UI調査的なグルインでは、司会者が指示する操作に対してモニターさんが「どこでつまずいているか?」を注意深く観察してください。
デコポストグルインでも、かなり多くの「つまずき」を発見することができました。例えばデコポストのフッターは、グルイン前は以下の構成になっていました。
モニターさんに「ページ最上部にいってください」と指示しても、この「ページTOPへ」というボタンに気づかずスクロールで戻るケースが発見されました。後から確認しても「わかりませんでした」との回答があったため、グルインの翌日には以下の形式に変更しました。
このボタンに変更した結果、「ページTOPへ」のクリック数が変更前と比較すると20%ほど上昇しました。
いかがでしたでしょうか。このように「つまずき」をいくつ発見できるかが勝負どころです。デコポストグルインでも、重要な「つまずき」を10項目以上発見することができました。そしてライブドアならではの開発スピードを生かして、グルインの結果を順次サイト内の改善につなげています。
繰り返しますが、グルインで重要なことは「事前に趣旨を明確にすること」です。それにより「事前に準備すること」「グルインで見るべきこと(=つまずき)」が明確になり、結果的にサービスやチームへのフィードバックがしやすくなってきます。
また自分たちだけでグルインを行う場合、どうしても「グルインをやっただけで満足」してしまい、サービスの改善にまでつなげられないことが多々あります。僕自身も何度も失敗してきました。いまだにグルインは難しいと感じます。だからこそ「絶対に改善項目を見つける!」「新サービスのヒントを見つける!」という目的意識を強く持たないと何の意味もないものになってしまいます。
ライブドアではグルインを率先して実施できるディレクターを募集しています。
ティーンズメディアグループでは、リアルタイムサービス「デコミィ」とスマホ専用デコメサイト「デコポスト」のディレクションや運営を行っています。また、マーケティング活動の一環としてグループインタビュー(以下グルイン)なども行っています。
ライブドアに入社してからも含め、私個人ではこの業界に入ってこれまでに約15回ほどのグルインを行ってきました。その経験で身につけたノウハウを、2011年7月18日に実施したデコポストグルインの様子と共にお伝えします。
事前準備編〜“明確な趣旨”と“想定される回答”の用意
「狙いを明確にする」
まずはチームメンバーで集まって「グルインを行って何を明確にしたいのか?」という狙いを明確にします。「潜在的なニーズを掘り起こしたい」「サイト内UIを改善したい」など媒体によって様々でしょう。
デコポストのグルインでは「スマホ初心者が、デコポストを初めて使ったときにUIで手間取る部分を洗い出す」ことを狙いにしました。デコメをヘヴィに使うガラケーユーザーにとって「スマホとデコメ」の相関性は機種変更の重要なファクターになっている可能性が高く、「スマホデコメ市場の先取り」を意識しているデコポストにとって「スマホ初心者」の使いやすさは重要と判断したためです。
「スケジュールを決める」
次にグルインの実施日を決めます。また、実施したい日付から逆算して事前準備項目もスケジュールに組み込みます。
ティーンズメディアグループでは6月初めにグルインプロジェクトが始動しました。エクセルでガントチャートを作成し、スケジュール通りにチームで動くことができるよう共有しました。ちなみに事前準備項目は以下です。
- モニター集め及びスケジュール調整
- 資料×3点準備(後述します)
- モニター謝礼の社内稟議及び準備
- 端末準備
※サンプルとして、ガントチャートと資料のExcelファイルを公開します。
http://blog.livedoor.jp/ld_directors/doc/group_interview.xlsx
「モニター集め」
媒体のターゲット層に近いモニターさんを集めます。なお、社内リソースでグルインを実施する上ではこれが一番難しいです!
オーソドックスな手法ではサイト上で募集する方法ですが、媒体規模が小さいとなかなか集まらないと思います。デコポストグルインでは、社内アルバイトさんと、彼女のお友達合計3人に集まってもらうことにしました。
もちろんターゲット層に近い社員やアルバイトさんがいないこともありますが、社内ネットワークを活用して探してみると意外と協力的な方もいると思います。粘り強く探してみてください。
ちなみにモニターの人数は3〜4人が妥当だと思います。経験的に、モニターさんが5人を超えてくると「発言と発言の間のタイムラグ」が大きくなるせいか、グルインの盛り上がりに欠けてきてハンドリングが難しくなります。もちろん司会者のスキルにもよりますが…
また謝礼もお渡しする旨は伝えましょう。デコポストでは3000円分のクオカード+交通費をお渡ししました。事前に社内稟議等が必要な場合は忘れずに。
「資料準備」
グルイン用の資料準備も重要です。デコポストのグルインでは3種類の資料を準備しました。
- 質問シート
一番重要なのがこの質問シート。最初に作成します。当初掲げた狙いを明らかにするための質問を準備しましょう。ポイントは「想定される回答」です。質問に対する想定回答があると、実際のヒアリング時との「差異」がそのままグルインの結果となって表れてくるので必須です。 - 進行表
グルインが始まってからの進行表です。先程の質問シートを元に時間割、担当者、テーマ、目的、内容、注意点などを記入していきます。予定通りに進まないことも多々あるので、そういった時のリカバリー策も検討しておくと良いでしょう。 - ヒアリングシート
グルイン当日、モニターさんに記入してもらうヒアリングシートです。この内容を元に雑談をして盛り上げたり、後からマーケティングデータになったりと色々使えます。
開催当日編〜必ずある「つまづき」「不満」を見逃すな!
スタッフはできれば3名準備
グルインのスタッフはできればメイン司会・アシスタント・議事録担当3名は準備したいところです。特にアシスタントの役割は重要で、タイムキーパーや資料配布・回収、端末準備、モニターさんのヘルプなど多くの役割があります。
集合場所・時間・連絡先などはわかりやすく
モニターさんの集合時間や場所などはわかりやすく伝えておきましょう。当日の連絡先なども予め交換しておき、モニターさん遅刻などの状況にも円滑に対応できるようにします。
グルイン中
集合〜導入は雰囲気作り
モニターさんが集まったらいよいよグルイン開始です。最初に写真撮影やボイスレコードの許諾をもらい(どちらも後から役に立ちます)、さっそくヒアリングシートを記入してもらいましょう。開始直後は司会者だけではなくモニターさんも緊張しています。ヒアリングシートの内容を元に、モニターさんに色々と質問を投げかけて話しやすい雰囲気作りをしましょう。
先日のデコポストグルインでは私がメイン司会を担当しました。完全に余談ですが、グルインのとき私は学生時代にやっていた合コンのノリを思い出して盛り上げています。「あのノリ」は意外と使えます。
本題は核心に迫る!
雑談を交えた後はいよいよ本題に入っていきます。潜在ニーズ調査などマーケティング的なグルインでは、モニターさんの「不満点」をあぶり出すような質疑応答をしていくのが良いと思います。UI調査的なグルインでは、司会者が指示する操作に対してモニターさんが「どこでつまずいているか?」を注意深く観察してください。
デコポストグルインでも、かなり多くの「つまずき」を発見することができました。例えばデコポストのフッターは、グルイン前は以下の構成になっていました。
モニターさんに「ページ最上部にいってください」と指示しても、この「ページTOPへ」というボタンに気づかずスクロールで戻るケースが発見されました。後から確認しても「わかりませんでした」との回答があったため、グルインの翌日には以下の形式に変更しました。
このボタンに変更した結果、「ページTOPへ」のクリック数が変更前と比較すると20%ほど上昇しました。
まとめ〜目的意識を強く持つ
いかがでしたでしょうか。このように「つまずき」をいくつ発見できるかが勝負どころです。デコポストグルインでも、重要な「つまずき」を10項目以上発見することができました。そしてライブドアならではの開発スピードを生かして、グルインの結果を順次サイト内の改善につなげています。
繰り返しますが、グルインで重要なことは「事前に趣旨を明確にすること」です。それにより「事前に準備すること」「グルインで見るべきこと(=つまずき)」が明確になり、結果的にサービスやチームへのフィードバックがしやすくなってきます。
また自分たちだけでグルインを行う場合、どうしても「グルインをやっただけで満足」してしまい、サービスの改善にまでつなげられないことが多々あります。僕自身も何度も失敗してきました。いまだにグルインは難しいと感じます。だからこそ「絶対に改善項目を見つける!」「新サービスのヒントを見つける!」という目的意識を強く持たないと何の意味もないものになってしまいます。
ライブドアではグルインを率先して実施できるディレクターを募集しています。
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