スマートフォンアプリやウェブの検証を行うQAチームに所属している久野です。

去る10月12日にAppleからiPhone4Sが発売され、同時にiOSも5へとアップデートされました。主な変更点としてiCloud対応やリマインダー、iMessagaeなど200を超える新機能が加わりました。弊社でも多くのiPhoneアプリをリリースしていますが、大きな変更に伴った不具合もありました。今回はそんな経験から、iOS5対応チェックの勘所をご紹介します。

主なチェックポイント


1.日本語の予測変換バー
iPadでは以前から日本語の予測変換がキーボードの上部に表示されていましたが、iOS5からはiPhoneでもその形式が採用されるようになりました。この変更によって、キーボード上にオプション機能などを表示させていた場合にそれが隠れてしまい、利用できなくなっていないか確認しましょう。

こんな風に、日本語キーボードの場合だけオプション機能が隠れてしまう場合も。
  


2.下位互換
iOS5対応のアプリを制作して正常に動作したとしても、iOS4以下のバージョンのiPhoneでの動作確認も必ず行いましょう。iOSのバージョンアップは強制ではなく任意なので、当然そのまま古いバージョンを利用しつづけるユーザもいます。
あるアプリでiOS5から対応したSDKのAPIを利用しており、iOS4では正常に動作しないというケースもありました。検証用の実機としてiOS5にアップデートしたものとiOS4のままの2つを用意して、両方で正常に動作するか確認するといいでしょう。

3.プッシュ通知の変更
iOS5からプッシュ通知の表示スタイルがバナーかダイアログを設定できるようになりました。今まではダイアログ形式のみで、通知後はかならずユーザーの操作が必要となるため、見逃すことはありませんでしたが、今回追加されたバナー形式では、画面上部に表示された後に自動的に表示が消えてしまうようになり、通知センターを確認する必要が生じることに留意しましょう。

プッシュ通知の形式



バナー形式での表示



通知センター



4.SafariのUser-Agentの変更
iOSのアップデートと関連して、SafariのUser-Agentも微妙に変更されています。スマートフォン向けサイトでiPhoneかAndroidのどちらでアクセスしているかなど、User-Agentで判別処理している箇所で正常に動作するか確認しましょう。

iOS4.3.5
Mozilla/5.0 (iPhone; U; CPU iPhone OS 4_3_5 like Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/533.17.9 (KHTML, like Gecko) Version/5.0.2 Mobile/8L1 Safari/6533.18.5
iOS5
Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 5_0 like Mac OS X) AppleWebKit/534.46 (KHTML, like Gecko) Version/5.1 Mobile/9A334 Safari/7534.48.3


検証はiOSのリリース前に


Appleでは開発者向けに、次期OSをベータ版として配布しています。もちろんベータ版なので不具合や仕様変更もあり得ますが、iOS5の場合も正式リリースの数ヶ月前から配布が開始されていました。
リリース直後に、iOSアップデートによる不具合報告が頻発してから慌ててチェックすることがないように、アプリの開発者だけでなく、検証を行う担当者も「iOSデベロッパプログラム」に登録しておき、事前に配布されるベータ版で実機の確認ができるような体制を整えておきましょう。


ライブドアでは、両手にiPhoneを持って同時に操作できるようなディレクターを募集しております。

R.I.P. Steve Jobs