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こんにちは、NHN Japanのマッチングサービス事業部でマーケティングを担当しているotakeです。

今回は担当サービスの運用業務と並行して出稿も担っている忙しいディレクターさんやこれから出稿業務に携わる方のために、チャッチャと読んで現場ですぐに使える実戦的なナレッジの一部を「バナー広告制作の基礎知識」として書かせていただきます。

当事者意識を持たせるAttentionを考える


ユーザーの購買行動において、バナー広告が担うポジションはAttention(注意)喚起にあたりますが、一般的にバナー広告は誰に注意を促すものなのでしょうか。
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検索から目的を持って能動的に何かを探しているわけではないが、潜在的な関係性を秘めているのがバナー広告の対象となる潜在層。ここに位置する対象には”この広告はあなたに関係あるものです”、”おそらくあなたの話です”といった潜在欲求に気づきを与える「当事者意識を高める訴求」が注意喚起として効果的です。

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「当事者意識を高める訴求」

これは良くたとえ話で使うのですが、深夜になるとタイムセールをおこなう近所のお弁当屋さんで「竜田揚げ半額80円」デカデカと張り紙がされています。竜田揚げが半額の80円でお得だということは勿論わかるのですが、販売対象は普段から食べ物の値段に目を光らせている主婦ではなく、深夜帰宅の独り者のビジネスマンです。

半額の80円でお得だと訴求するよりもキンキンに冷えたビールと熱々の竜田揚げのビジュアルをセットで広告した方が、これから家で一息つく独り者のビジネスマンにとっては「この竜田揚げが自分の帰宅後の一杯に貢献する素晴らしいアイテムだ」ということより具体的に関係性を持って理解出来る為、効果的な訴求といえるかもしれません。

大切な事は「半額」ということが効果的なのか、「その商品のポテンシャルを伝える」ことが効果的なのかを見定めることです。つまり当事者意識の視点に立つと「半額」は後付けでも良い可能性もあるという事です。

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自分が関係者である可能性があると気付かせる訴求、それが潜在層に有効な「当事者意識を高める訴求」。このように考えていくと「Attention(注意)」を狙うバナー広告で訴求すべき事が何なのかが見えやすくなってきます。

よく陥りがちな傾向として

「一応これも書いておこう」「やっぱりサービス名は必要だよね」
バナーの製作過程において、こういった考え方に陥ることがありますが、これらは非常に危険な考え方です。

当事者意識を高める訴求をおこなう場合、訴求文言は極めてシンプルに「刺さる要素」に絞っていくことが大切です。「日本最大」「無料」「キャンペーン実施中」と狭いエレベーターのようなバナーの中で同時に叫んで適切な訴求となるでしょうか。詳しい話はランディングページに任せて、そのサービスから得られる最も解りやすいメリットについて訴求することにフォーカスした方が良いでしょう。

バナー広告の先、 Interest(関心)の領域を担うのが他ならぬLP(ランディングページ)なわけですから綺麗に役割をわけておきたいところです。あれもこれも盛りつけた結果Interest領域にまでバナーが食い込み、視認性が悪く、陳腐な訴求となってしまうケースも多々あります。

バナーではあくまでも最高の「Attention(注意)」を狙うことが結果的に高い効果につながります。そのためには広告を見た人が一瞬で意味を理解することができ、当事者意識にリーチできる厳選された「刺さる要素」探しが重要になります。

ではそんな言葉やビジュアルはどうやってみつければ良いのでしょうか?

ユーザーに当事者意識を持たせる思考設計


簡単10分ブレークダウンをやってみよう


当事者意識を喚起する「刺さるもの」、本質的な興味、欲求をイメージさせるものをあぶり出すために私たちは制作前にブレークダウンのブレストをします。ちょっとした言葉を何度か分解しながらキーワードを探します。

▼用意するもの
紙、ペン、お気に入りの飲み物、リラックスした空間。

▼ブレークダウンの流れ
軽い尋問スタイルで質問側と回答側に分かれて、下図のようにテンポよく回答に質問をかぶせていきます。
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私たちの制作現場では実際にあぶり出て来たキーワードを下記のようなマトリクスにマッピングしていきます。こうすることで非常に明確にそれぞれのキーワード適正が見えてきます。これでそれぞれの制作スタッフの頭の中もスッキリ同じ視点に立って適正について考えていく事ができます。

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このようにキーワードをふるいにかけていくことでそれぞれのマトリクスで右上の世界に位置されるものが「刺さるキーワード」という考え方です。

基本制作テクニック


最後にバナー広告のビジュアルに関する構成上の基本的な配慮について少し触れておきます。ビジュアルの話しとなると、当然広告内容や、デバイス、サイズによって大きく異なるのでスマートフォンのバナー広告を例に基本的なことを記述させて頂きます。

1)視点は左から右へ

当然の事ではありますが、日本語の横書きの記述は左から右。ページ内に書かれているテキストの多くがそうであり、視点のリズムは左を起点に流れるのが基本です。
横長のバナー広告のどの場所に何の要素を置けば効果的なのかCTRを見ながら検証してみましょう。実際に検証していくとCTR(クリック率)に差が表れるのが解ると思います。

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2)写真は正面が効果が高い?

私たちのサービスを例に、男性を対象にした「出会い」の広告の場合、もっともシンプルに反応しやすいビジュアルは女性です。直感的に素敵な人との出会いを想起させる、寂しい気持ちにしっくり幸せを予感させる女性の笑顔、仕草、髪型、ファッション等、総合的に効果の高い女性のビジュアルを常に複数用意して検証しています。

また重要な要素としてエレガントさを感じる一見絵的に美しい横顔の写真よりも、しっかりと正面を向いてニッコリ微笑みかけるような写真の方が効果が高いという事が実際の検証結果から解りました。見る側と目が合うような写真を選ぶという要素はAttentionの工夫の基本として押さえておくと良いでしょう。

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3)デザインの軸をブレさせない

ブレークダウンとマトリクスのマッピングで絞り込んで、狙いを決めたキーワード。

その効果を最大限に発揮させる為に注意したいのがデザインを飾りすぎないということです。バナーのデザインの善し悪しをジャッジする視点として必ず、狙いを決めたキーワードがストレートに視認出来るかを確認しましょう。

残念ながらビジュアル視点を軸に制作し一見凝ったデザインのクオリティの高いバナー広告が良く言えばシンプル、悪く言うと粗野なデザインのバナーに効果という面で圧倒的に負ける場面を何度も見てきました。

訴求文言に絵的な要素を盛り込みすぎることで逆に全体が絵として映り、メッセージ性が薄まって目に留まるというより見流される広告となってしまう可能性があります。最後までAttentionとしての視点をブレさせないことが肝心です。

今回のエントリーを書き終えて振り返ると本来ならば広告効果全体を通してバナーと一体で考えるランディングページでの訴求、出稿タイミング等に関する記述もセットでお伝えしたかったのですが、一回のエントリーで記述する膨大な量になってしまいますので、こちらに関しましては改めて別のエントリーで共有させて頂きたいと思います。

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