こんにちは。広告事業部の水上(みずかみ)です。プランナーとしてNHN Japan全体の広告企画案件のプランニングを担当しています。

仕事内容については、私の上司である谷口の過去記事『「○○と言えばライブドア」と指名されるまで』をご覧いただければ、概ね掴めるかと思います。

また個人活動として、国内の販促事例を集めた「キカクル」というサイトもやっています。興味のある方はチェックいただければ幸いです。

今回は、地味ながら重いテーマである、『目的設定』について、媒体のアドプランナー視点で書いてみます。(本ブログはディレクターの方向けですので、適時エッセンスを変換していただければと思います。)

目的の明確化はなぜ重要か?


私たちの仕事の流れとして、最も多いパターンは下図のような感じです。

adplanning_flow_image

クライアントさんから広告代理店経由で、弊社営業に広告企画案の提出依頼がきて、私たちプランナーが企画書・提案書を作成。それを代理店さんがクライアントに提案する、という流れです。

広告代理店さんから知らされる情報は、たとえば「ロケタッチを使った企画で予算は○○○万円」とか、意外なほどざっくりとした内容であることもしばしばです。その場合、諸々の理由で限られた情報の中で企画を立てることも少なくありません。そのような場合は、私たちプランナー側で時に想像を入れながら企画の目的を明確化しておく必要があります。

今回は、平時はもちろん、そんな時にも有効なフレームワーク(考える枠組み)を2つ紹介します。

  • 6W3H(目標整理のフレームワーク)
  • SMATS(目標評価のフレームワーク)

目的整理のためのフレームワーク「6W3H」


■「6W3H」って何?

小中学校で先生に教えてもらった、作文の「5W1H」、覚えているでしょうか?これにビジネス企画として必要な3項目、WHOM(誰に)HOW MUCH(いくら)HOW LONG(期間)を加えたのが「6W3H」フレームワークです。単純な枠組みですが、案外使い勝手がイイです。

■使用シチュエーション

シチュエーション的には、目的を整理する際に使用すると有効です。クライアント・代理店とのヒアリング時や、アイデアブレストの際にシートに書き込んで使用する感じです。

■有用性

最も有用なのが、情報の抜け・漏れを防ぐことです。あとで、「目的の優先順位は?」等となった際に振り返ることもできますし、そもそも、このような状態に陥らないように最初に目的を明確にしておくことができます。
また、このシートはマス目になっているので、MTG時に相手から情報を引き出す際にも効果を発揮します。人はマス目があると埋めたくなる生き物なので、スムーズに情報を引き出すことができるのです。

■どんな項目があるの?

紙面の都合上、列挙して紹介します。
  • WHY(なぜ)
  • WHOM(誰に)
  • WHAT(何を)
  • WHEN(いつ)
  • WHERE(どこで)
  • WHO(誰が)
  • HOW(どのように)
  • HOW MUCH(いくら)
  • HOW LONG(期間)

■使用方法

続いて肝心の使い方ですが、時と場合によって変わります。ので、私たちが広告案件時に埋めるべき項目を表記しておきます。下記のようなイメージです。





WHY

クライアントが施策を実施する目的
※複数ある場合は列挙し、優先順位を明確にする。
WHOM

施策のターゲット
※できる限り詳細に。
WHAT

・代理店・クライアントの考えている案
・その場で思いついた仕組み
WHEN

施策実施までのスケジュール
※提案日・決定日(目安)・開始日
WHERE

使用媒体名
※先方の希望。
複数ある場合は全て列挙

WHO

・クライアント名
・代理店名
・競合企業名
※担当者レベルでも確認できれば
HOW

WHATをどの手段で現実化されるか
※たとえばロケタッチオーナーズで実現
HOW MUCH

予算
※下限、上限、受注ライン

HOW LONG

・実施期間
・掲載期間

たとえば、競合媒体がどの媒体でどんな提案を依頼されているか(WHO)、我々には何を期待されているのか(WHAT)、予算の上限は(HOW MUCH)等の情報がわかれば、提案がどのような内容となろうとも、一定の満足度を担保できます。

目的評価のためのフレームワーク「SMATS」


■「SMATS」って何?

SMATS」は、目的を確認・評価する際に使用するフレームワークです。
目標の評価基準に「SMARTの原則」と言われるものがありますが、「SMATS」のフレームワークは「SMARTの原則」をベースに改良を加えたものになります。

■使用シチュエーション

目的を“評価”する際に使用します。たとえば企画書に目的を落とし込んだ後に、それが本当に有効かを評価する際に使用するイメージです。

■有用性

目的は、とかく抽象的・情緒的になりがちです。その点数値ベースで評価することで、第三者がみても目的を客観的に評価できるようになります

■どんな項目があるの?

まずは「SMARTの原則」の説明から。「マニフェスト」の本場英国では「SMART」が政策目標評価ツールとして使用されています。こちらです。

SPECIFIC(具体的な・明確な・詳細な)
MEASURED(測定できる)
ACHIEVABLE(達成可能)
 or Agreed upon(同意できる)
REALISTIC(現実的)
TIMED(達成時期が明確、期限設定のある)

といってもわかりづらいと思いますので、実例で紹介します。たとえば、あなたが英語力向上を目指していたとします。

S=TOEICを受験する(具体的な)
M=TOEICで730点をとる(測定できる)
A=現在680点であり、730点以上から資格給がでる(同意できる)
R=過去2回50点アップしてきた(現実的)
T=1年以内(達成時期が明確)

という具合に目的を評価するのです。

先の「SMARTの原則」に、Achievable(達成可能)でなければRealistic(現実的)ではありえないという理由でRをはずし、目的はシンプルでなければならない(あるいは優先順位づけが大事)との理由からSimple(シンプル)のSを加えたのが、私が考えた目的評価フレームワーク「SMATS」です。
整理すると下のようになります。

SPECIFIC(具体的な・明確な・詳細な)
MEASURED(測定できる)
ACHIEVABLE(達成可能)
 or Agreed upon(同意できる)
TIMED(達成時期が明確、期限設定のある)
SIMPLE(シンプル)

■使用イメージ

前述の英語のように頭文字とその内容を書き、全てが滞りなく埋まるかで判断するという方法もありますが、下図のように○×式で目的全体を評価することもできます。

SMATS

以上、駆け足で目的整理&評価の2つのフレームワークを紹介しました。
発想法等の華やかなツール・フレームワークと比較すると、かなり地味ですが、案外大事だったりするので、興味を持っていただいた方は使ってみてください。

以下、6W3HのプレーンPDFファイルをアップしておきます。

プレーンファイルはこちら

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