現在39歳、IT業界にいながらパソコンの前に座ることが辛くなってきたディレクターの谷口正人です。

その為、担当している広告企画も、現在では外に撮影しにいく機会が増えているのですが、パソコンの前に長く座って記事を作るよりも、外に出て作った方が好評だったという事を今回レポートします。

ケーススタディ1. ライフネット生命とのコラボ企画


例えば最近担当した企画では、ライフネット生命さんが保有契約数10万件を突破されたことを祝い、「10万」をキーワードに、「10万回納豆を混ぜてみるとどうなるか?」「10万世帯を囲む超巨大なライフネット生命のロゴをGPSで描いてみる」などのバカなチャレンジをしました。作業の大半はロケの準備や撮影という体を使ったものでした。

ライフネット生命 保有契約10万件おめでとうサイト
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この企画は昨年末から年始にかけた1ヶ月半の掲載だったのですが、ツイッターで1,530回つぶやかれ、フェイスブックで659回いいね!され、ページビューは全体で50万となりました。低予算で制作したこともあり、当社の通常広告換算で約10倍の効果がありました。

この企画は、弊社が行っているバカ広告企画のアドネットワーク「バカジャイル」の一環で、ニフティのデイリーポータルZの林さん達と一緒に行ったのですが、林さん達の「全身全霊をかけてムダな事をする」というプロフェッショナル魂は、ムダすぎて逆にNHKの人気番組「プロフェッショナル」を思い起こさせるほどでした。

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前年のエイプリルフールに行われたバカジャイル決起会より。
左からエアギターの宮城マリオ氏、筆者、デイリーポータルZ編集長・林雄司氏


上述の「納豆を10万回混ぜてみる」という試みでは、16時間もスタッフが交代で混ぜ続けていました。これは、東京マラソンを3回走るくらいのタイムです。
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何回混ぜたかわかるよう計測器をつけている。

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8万回時点での納豆。見た目はほぼキャラメル。

また、GPSでライフネット生命のロゴを描くという企画では、約「10万」世帯の港区を囲むように6時間ほど歩き続けました。
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左からライフネット生命の岩田さん、GPSで地上絵を描くのが趣味の石川さん、弊社鈴木

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6時間歩いた結果、港区に見事に描けたライフネット生命のロゴ

これらのコンテンツに対する反応は、「くだらなすぎてすごい」など、ほとんどがポジティブなものだったので一安心すると共に、ライフネット生命さんを賞賛する声も多く、実際にこの企画を見て保険申込された方もいるそうで、バカコンテンツが広告として機能させることができたと感じました。

ケースタディ2. ウィルコム「どん引き」キャンペーンとのコラボ企画


また、先日3月14日のホワイトデーに合わせて、「どん引きされるホワイトデーのお返しを作ってみた」という記事も作成しました。これは、ウィルコムさんで3年間、月額基本使用料をどーんと割引きする「どん引きキャンペーン」とのコラボ企画で、次のようなオリジナルチョコを5時間ほどかけて制作しました。

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「わーいわーい」
「土偶?」


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思ったより精巧に仕上がった手作り土偶チョコ

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時計チョコもつくってみた。見事にどん引いているのがわかる。

この企画も当社の通常の広告より数倍の効果があり、またしてもバカコンテンツで良い結果を出すことができました。

ソーシャルメディアでは「おしりを出した子」が一等賞?


広告クライアントとしてバカな企画でいいのか?という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、例えばライフネット生命さんの場合、広告の専門雑誌「宣伝会議」のインタビューで「(ウェブでは)他社がやれない、やらない、やりたくない領域で」広告企画をすると明快に述べられています。

これには、近年の広告がソーシャルメディア上でいかに拡散するかを目指しているため、他社がまだやってないような事でもしないとスルーされる、という背景があります。

BMN_matrixそして、もっとも他社がやらないのは、体を使った意味がない事です。

また、「ネットで面白いことをやっている企業」というブランド認知は、特に若い世代を顧客としたい企業にとって有効です。若い人ほど、ネットの空気がわかっている企業により親しみを感じるからです。

ところで、「まんが日本昔ばなし」の歌で「おしりを出した子一等賞」という謎のフレーズがありましたが、これも体を使った意味がない行動です。普通の子供より、間違っておしりを出している子の方がよりつっこみやすく、よりリツイートされ、いいね!も押されるのは想像できます。元々ネットではつっこみやすいものがウケていましたが、ソーシャルメディアによってさらにそれに拍車がかかっているような気がします

余談ですが、デイリーポータルZ編集長の林雄司さんは、若いライターに対して「ライターはパンツを脱ぐぐらいの心意気がないといけない、おまえはまだパンツを脱いでない」と酔って絡むこともあるそうです。

何が言いたいかというと、ネット広告が、ソーシャルメディアによって徐々にその姿をバカっぽい物に姿を変えつつあるのではないかというポジショントークです。

バラエティ番組の終わりと始まり


ところで、テレビのバラエティ番組が、最近はひな壇に芸人を並べただけのものがやたら多いという声があがっているようです。これは、制作費の削減が番組内容に反映された結果と捉えることができます。(「ピカルの定理」のように完成度の高いコントを制作している番組もあります)

一方ネットはどうかと言うと、ネットで広告スポンサーが制作費を出すバラエティはあまりありません。ネットは笑いに親和性が高いのに、ネットのバラエティの多くは、ネットの住民が無償で作っているのです。私個人としても、バカ日本地図chakuwikiなど、みんなで作るサイトを主催しており、それはそれで楽しんでいます。

とは言え、制作費がしっかり出ると、より大掛かりにバカな事ができるため、会社では広告とバラエティコンテンツの融合を模索していました。その答えのひとつである、バカサイトを集めたバカ広告企画のアドネットワーク「バカジャイル」は、個人的には昔のTV番組「オレたちひょうきん族」がモチーフで、バカサイトを集めて、より大きなバカなことをしたいと思っています。

今回、ライフネット生命さんとウィルコムさんのバカ広告でしっかりと成果が出せたので、この結果を生かしてバカジャイルを広告クライアントに提案していこうと思っています。その結果、近い将来、バラエティ番組がネット上でドンドン作り出されるでしょう!
たぶん!

■関連リンク
バカジャイルメディアネットワークの概要資料(PDF)

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