こんにちは、ディレクターブログ編集部の村上です。
ロンドン五輪開催期間中、74万人のユーザーに利用されたLINE公式アカウント「LINE五輪ニュース速報」。この初めての試みの中で苦労した点や得られた知見などについて、実際の運用に携わったニュースチームのディレクターにインタビューを行いました。
—— LINE五輪ニュース速報の運用、お疲れさまでした。まずは率直な感想と体制について教えてください。
松本:率直にいうと、想像していたよりもずっとハードな運用になりました。今回朝、昼、深夜の3交代制で運用したのですが、私は深夜のシフトに入っていたため、日程が進むにつれだんだん心身の疲労が出てきました(笑)。今回の五輪では、主に日本時間の夕方から、翌日明け方にかけて競技が行われました。そこで深夜のシフトを最も厚くして、常時3人体制で臨みました。
森:深夜はずっと松本さんが担当だったので、さすがに最後の方はちょっと不機嫌になってましたね(笑)。私はシフトには入ってなかったんですが、会社にいるときは基本的にはお手伝いする感じでした。
▲期間中、深夜の運用を担当し続けた松本さん
—— 基本的な質問になりますが、ライブドアのスポーツニュースは現地で取材をしているわけではないですよね。運用をしている人は主に何をしているのでしょうか。
松本:主にテレビを見ています(笑)。ただ、それだけではお茶の間のみなさんと変わりませんのでカバー出来ない競技に関しては、ネットの五輪中継を追っています。また、選手やコーチのTwitterをチェックするなど周辺情報も収集しています。
—— テレビを見つつ、パソコンでも情報を収集をする、という感じですか
森:そうですね、現場に行かない分、常に貪欲に情報収集をすることを意識しています。
松本:深夜は3人体制だったので、役割分担しながら対応していました。同じ競技を見ないよう気をつけていましたね。
—— 同時に多くの競技が行われている中でチームワークが大切だったと思うのですが、アルバイトのスタッフもいる中で気をつけたことはありますか?
松本:今回はこの五輪のためにスポーツに詳しいアルバイトの方を採用したので、安心して見ていられました。
ただ、LINEを担当してもらうに当たって最初は、送信ボタンを押した先にどれだけの規模のユーザーがいるのかとか、間違った情報を送ることがどれだけの影響を及ぼすかというところはちょっと想像できてなかったかもしれません。なのでそこは改めて意識してもらうように気をつけました。最終的にはあうんの呼吸というか、自然に業務を進められた気がしますね。
森:LINE五輪ニュース速報に関して言えば、いろいろな種目がある中で、まずそれぞれの競技にあったフォーマットを決めるのが大事でした。フォーマットに関しては一旦決まったあとも、微調整を行っていきました。
—— 開始当初と終盤では、送られてくるメッセージもずいぶん変わっていましたよね
森:LINEは受け取る側が全員スポーツ好きではないので、どんな人にも分かる内容にしていきました。レスリングや柔道だと、一般の人はなかなか分からないと思うんです。そういう分かりにくい競技をいかに分かりやすく伝えるかというところは念頭においていました。
▲分かりやすくなるよう工夫したという柔道の競技結果
—— LINEを使ったリアルタイムのスポーツ速報はまったく新しい試みでしたが、最終的には74万人以上のユーザーに登録されました。これは開始当初の目論見どおりでしたか?
松本:完全に期待以上でした!企画が立ち上がった段階では、livedoorニュースの実況チャンネルというコンテンツを運営しながら、平行して情報発信する別チャンネルという位置づけで考えていたのですが、最初のユーザー数の上昇や反応を見てびっくりして、すぐにLINEのユーザー向けに全力で運用する方針と体制に切り替えました。
—— 初速をうけてチーム全体が盛り上がったという感じですか?
森:初速も確かによかったんですが、Twitterでの「LINEの五輪速報が便利」「結果はLINEで朝チェックしてる」といった反応を見て喜ばれていることがわかったのが大きかったですね。リソースを振りきったのもその反応を目の当たりにしたからです。注目されているのはうれしいことです(笑)
—— Twitterで見る反響には当然ネガティブなものもあったと思いますが・・・
松本:わたしたちの経験上の予想をはるかに上回ってポジティブな声が多かったです!もちろん深夜に送信数が多かったこともあって「うるさい」という感想もありました。ただ運営側としても夜中に送ることを踏まえて、毎日23時に、通知ブロックあるいは通知をオフにできますという案内を繰り返していました。その甲斐もあってネガティブな声は予想していたよりは少なかったです。
—— 74万人のうちどれくらいのユーザーがアクティブに購読していたのでしょうか?
森:8割以上の方がブロックをせずにアクティブに受信していただいていたようで、これも予想以上の割合でした。(累計526件の情報を配信。合計2億通以上のメッセージがユーザーに配信されました)
松本:Twitterをみていても、10人いたら2〜3人が「うるさい」と言っていたイメージですね。ただ、通知はオフにしてもブロックまではいかないようでした。朝起きてまとめて結果を確認する人が多かったのではないでしょうか。
森:細かく通知のオン、オフ切替をしている人も結構いましたね。ライフスタイルに合わせて自然と使い分けをしてもらえていたようです。
—— ちなみに、livedoorニュースとLINE五輪ニュース速報のユーザー層に違いは感じられましたか?
松本:livedoorニュースでは、各ジャンルごとにそれぞれ詳しいユーザーがついているんですが、LINEではよりライトな層が多かったと思います。運用に関しても、順位表には日本人選手しか載せていませんでした。柔道では対戦相手の国名も省いていたので、社内からは「対戦相手の国名も書くべき」という指摘があったものの、ユーザーからはそういった不満はほとんどなかったですね。
森:当初はスポーツ好き以外興味ないのかなと考えていて、「主要な競技だけでいい」というリアクションが帰ってくるかもしれないと思っていたのですが、そこは逆にむしろ「そんな競技もあるんだ」と前向きに五輪を楽しんでもらえたようです。「テレビは見ないけどLINEでチェックしている」という人も多くさすが五輪!と感じました。
——テレビといえば途中から本日の放送予定表も配信されるようになりましたね
森:忙しい方にとっては、プッシュ通知で結果が送られてくるのが便利だったのではないでしょうか。スケジュールについては、テレビは録画放送も多く、いつどんな競技が行われているか、分かりづらいので用意しました。途中からメダルの獲得リストを入れるようにしたのも、朝起きてからまとめて競技の結果を見られれば便利だなと考えたのがきっかけです。
松本:今回、日本人選手が頑張ってくれたおかげで、メダル獲得リストは毎日出せました。これは本当によかった点ですね。
—— 五輪開幕当初はキャラクターっぽく振る舞っていたのが、徐々にシンプルな情報だけになっていったというのも反応をみながらの判断ですか?
松本:はい。最初は担当者ごとに「トッシー」などの署名をいれたりしていたのですが、最後はなんと、単なる表になりました(笑)。
▲運用当初のメッセージ(左)と、終盤のメッセージ(右)
—— 最初は文章だけでなく絵文字などもあって、柔らかい感じでしたよね
松本:柔らかさもそうですが、今振り返って見ると長いんですよね。スマートフォンで何かの合間に読むには。うんちくもあったし、誘導用のリンクもあった。全ての競技でそれをやるのは難しいし、スマホに合っていないと思ったので、競技が始まってからはシンプルになりましたね。
—— シンプルになりながらも、五輪終了時にお別れメッセージみたいなものがありました。個人的にはとても印象に残ったのですが
森:もちろん名残惜しい気持ちはありましたが、たくさんのユーザーに気に入ってもらえたというのもあって、最後まで信頼関係を保った状態で、ささっと身を引かせていただきました。
松本:「LINEの五輪ニュース速報がなくなって悲しい」「お疲れさま」「お別れの挨拶がきて寂しい」など、お別れメッセージに対する反応も悪くなく、最後まで多くのユーザーにいい受けとめられ方をしていただけました。
▲最後に送信されたお別れメッセージ
—— さて、最後に。情報を伝えるチャンネルとしてLINEも加わったこれからのニュースメディアの運営にはどういう人が向いていると思いますか?
森:ひとつは運営しているメディアが大好きなこと、もうひとつは日々進化するネットに関する、様々な情報への感度が高いことですかね。
松本:スポーツに関しては広く浅く知ってる人の方がいいかもしれませんね。ちょっと調べればきちんと語れるくらいの人。あとは新しいツールを普通に使ってくれている人がいいですね。それと・・・若い子ですかね(笑)。
以上、LINE五輪ニュースの中の人のインタビューをお送りしました。
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来たれ、若人!
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