こんにちは、NHN Japanウェブサービス本部の幕田です。
私は他社とのタイアップキャンペーン企画を担当することが多いので、今回は共同キャンペーンを進行する際に陥りやすい「落とし穴」をご紹介したいと思います。基本的なことばかりですが、他社も巻き込んで進行するため「うっかり」では済まされません。「こんなの知ってるよ!」という方もおさらいだと思って再確認していただけると幸いです。
落とし穴その1:クライアントの真意を汲み取っていますか?
共同で企画を実施する以上、自社判断のみで企画を詰めることはできません。まずはクライアントの要望がどういうものなのかを把握する必要があります。
1.「ゴールが明確に決まっていて、その実現のために何をどうすべきか、という部分まである程度決まっている。」
2.「問題は把握しており、そのために何かをやろうとはしているのだが解決方法がわからずにいる状態。」
クライアントに実際ヒアリングを行うと、程度はあるものの1か2かに大別できる場合がほとんどです。ビジネス上では、1を「オーダー」、2を「オファー」と呼ぶことが多いのですが、ここの見極めが非常に重要です。
オーダーの場合は、キャンペーンを通じてどういうマーケティングを実施してゴールを目指すかというストーリーの骨組みがクライアントサイドである程度完成している場合が多いです。そのため、私たちには円滑な進行管理と、目的達成に特化した制作が求められます。骨組みが固まっているので、必要な要素を洗い出し、タスクに落とし込みましょう。役割分担が明確なためスケジュールも引きやすくなるでしょう。
しかしオファーの場合はそうはいきません。クライアントは、問題解決の方法として具体的に何をすればよいかわからないという曖昧な状態です。そのため、コラボする自社サービス側でどんな機能を使って何ができるか、その機能でクライアントのゴール達成ができるか、などを踏まえた総合的な解決策の提案をしていく必要があります。ディレクターだけではなく開発者や戦略担当者などにも相談し、質の高い選択肢を幅広く用意しておくと良いでしょう。幅が広がる分、結果的に提供できる価値の幅も広がります。
オーダーとオファーを勘違いしたまま企画を進めていると途中で必ず座礁します。まずは「クライアントの真意を吸い上げる」。ここに全力を注ぎましょう。
落とし穴その2:法律対応チェックはできていますか?
企画内容が固まったら必ず社内の法務担当に確認するようにしましょう。
参加者にプレゼントが当たる場合には景表法違反にならないかのチェックが必要ですし、応募者情報をクライアントと共有する場合は事前に個人情報取り扱いに関する契約書が必要となる場合があります。
キャンペーン企画を進めていると、どうしても「どう開発するか」、「どのようなマーケティングを実施するか」、という部分に注目しがちです。しかし、法律に抵触した場合には自社だけでなくクライアントにとっても大きなリスクになります。最悪の事態を未然に防止するためにも法律対応は必ず実施しましょう。
(参考)以下消費者庁のページへリンクします。
・景品表示法
・個人情報保護法
落とし穴その3:そのスケジュールで本当にOK?
企画内容が固まったら開発チームに相談し、スケジュールを立てます。共同キャンペーンの場合、開発チームのスケジュールだけでなくクライアント側の細かいタスク(内容確認、素材提供など)にも考慮してスケジュールを切らなければなりません。
また、スケジュールが完成しいざ進行となっても、
・デザイナーが急病。代わりのデザイナーも確保できない!
・クライアントから想定以上の修正。1からやり直しに!
なんてことがあるかもしれません。
スケジュールにはバッファ期間を設けつつ、常に早めの行動を心がけましょう。
落とし穴その4:ソーシャルメディア対応
クライアントの要望に沿った制作物ができた!Tweetボタンもいいねボタンも設置して、ソーシャルメディア対応もばっちり!
・・・と思って意外と見落としがちな部分が、OGP(Open Graph Protocol)です。OGPは、og:descriptionやog:imageなどのmeta要素をソース内に設置することで、Facebookなどのソーシャルメディア内で任意のウェブページを表現することができる技術です。
細かいところではありますが、OGPはメインのページ制作に気をとられてうっかり忘れやすいポイントです。フィードが流れて行ってしまうソーシャル上でのキャンペーン拡散において、表示をリッチにするOGPの設定は欠かせないポイントです。
※Facebookの提供している「Debugger」で表示チェックができるので、キャンペーンサイトオープン前にはぜひ活用してみましょう!
落とし穴その5:リリース後の運用こそが本番です!
キャンペーンページをリリースするとついついホッとしてしまうことも多いのですが、キャンペーンに関わる制作はあくまでもゴール達成のための手段。ここから先の運用でいかにキャンペーン参加者を増やしていくか、事前設定したゴールを目指していくかが重要になります。
共同キャンペーンのメリットとして、クライアントのリソースもうまく活用して運用できるという点があげられます。例えば、リアル店舗のようなWeb以外のチャネルを持つクライアントなら店頭で宣伝してもらうことで強力なバックアップになりますし、両社のソーシャルメディア上で共同プロモーションを実施することもできます。自社だけでは実現が難しかったマーケティング活動が可能になるため、事前の擦り合わせで運用面での企画内容とお互いの役割もしっかり固めておくと良いでしょう。
以上、Web制作が絡むキャンペーンで特に注意したい「落とし穴」を5つご紹介しました。ここに挙げた落とし穴は、すべてWebディレクターにとっては基本です。基本だからこそ、抜けがないよう普段の自分を再チェックしてみてくださいね。
NHN Japanでは、基本を大切にし、細かい部分にも気が回るディレクターを募集しています。
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