こんにちは、佐々木です。
今回、ディレクターブログ編集部から「チームビルティングについてなんか書いて」というリクエストをもらいましたので、プロダクトマネージャーとして意識している「フロー(ZONE)理論を活用したチームビルディングの考え方」というのをまとめてみたいと思います。
まずこの「フロー」という言葉ですが、Wikipediaによるとこういう意味だそうです。
人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう(ZONE、ピークエクスペリエンスとも呼ばれる)
フロー - Wikipedia
スポーツ選手のインタビューなんかを読んでいると、よくこういう話が出てきますね。野球選手が「ボールが止まって見える」とかいうのも、これにあたるんじゃないかと思います。ではこの状態を、個人ではなくチームに、スポーツではなくビジネスにあてはめるとどうなるでしょうか。
仕事をしていると、「ものすごい集中力が続いて、素晴らしいアイデアがどんどん湧き出て、仕事もスピードアップし、業績もどんどん上がり、チームの誰もが一体感を味わい、気分が高揚して楽しくてしょうがない」という状態を経験することがあります。チームがこういう状態になってしまえば、もう怖いものなしです。プロジェクトはきっと高い確率で成功するでしょう。
では、プロジェクトマネージャーとして、どのようにしてその状態を作り出せばよいのか?
この理論を提唱したミハイ・チクセントミハイ博士は、フロー体験の要素として以下の8項目を挙げています。
1. 明確な目的(予想と法則が認識できる)
2. 専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中。(活動に従事する人が、それに深く集中し探求する機会を持つ)
3. 自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。
4. 時間感覚のゆがみ - 時間への我々の主体的な経験の変更
5. 直接的で即座な反応(活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される)
6. 能力の水準と難易度とのバランス(活動が易しすぎず、難しすぎない)
7. 状況や活動を自分で制御している感覚。
8. 活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない。
フロー - Wikipedia
とのこと! たくさんあって、何のことかわかりませんね。
というわけで実際に、このフロー理論を、チームビルディングの方法論に置き換えていきましょう。
1. 明確な目的
プロジェクトの目的を明確にしましょう。
そして、それを額に飾ってオフィスや寝室やトイレに貼り(それができなければ、メールの署名や、イントラのTOPページに特大のフォントで書く!)、誰もが目に見えるところに常に置いておきましょう。
2. 専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中
兼務は禁物です。
優秀なマルチタスク人間にはいろんな業務をお願いしたくなりますが、なるべくひとつのことに集中させましょう。また、チームとしても、その場その場でひとつのことに集中しましょう。
3. 自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。
この項目は、博士が何を言っているのか理解できなかったのでパス。仕事やチームへの応用方法がわかりません。
4. 時間感覚のゆがみ
過酷な長時間労働、深夜に至る残業、過酷な休日出勤。まるで悪者のように言われるこれらの働き方だって、フロー状態に突入するためには必要なタイミングだってあります。全てを投げうって取り組む時、個人でも、チームでも、ものすごい成果が出ます。
5. 直接的で即座な反応
数値のアップダウンは即時共有。グラフ! グラフ! グラフ!
そして、よくできた仕事はすぐ褒める。メールでは遅すぎたり、堅苦しくなりがちなので、YammerやFacebookなどのクローズドなグループでの「いいね!」が大活躍します。
6. 能力の水準と難易度とのバランス
簡単な仕事にはテンションがあがらない。難しすぎてでも前に進まない。
いつも、一歩だけ先にある難しい目標を設定しましょう(させましょう)。
グラウンド10週を命じられてぎりぎり走り切ったと思った最後に課せられる追加の1周、あれが効きます。
7. 状況や活動を自分で制御している感覚
権限委譲。その仕事の品質に責任を持っているのは、他ならぬ自分なんだという当事者意識が大事です。
仕事を手伝う「ティーチング」ではなく、行き先を示してあとは自分で考えさせる「コーチング」を心がけましょう。
8. 活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない
いいか! 俺たちは世界でもっとも価値のある仕事をしているんだ! 世界を変えるんだ!
リーダーがそれを信じて、堂々と公言しましょう。
それがチームに活力を与えます。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。すでに実践しているよ、という項目も多いと思いますし、まだのものでもすぐに実践可能なことばかりだと思います。しかし、だからといってフロー状態を作るのは簡単なことではないですが、よりよいチームビルディングのための、なんらかの参考になれば幸いです。私も精進したいと思います。
ちなみに、昨年末に(当時はまだ「株式会社ライブドア」でした)、「ADMIN Nite」という勉強会をやりました。普段は直接の担当者しか見ることのできない各サービス毎の管理画面を、チームを超えて紹介し合い、迅速な数値共有のノウハウを交換しました。それ以来、社内の管理画面のレベルアップのスピードがあがり、チーム運営に大いに役だっています。これは、「5. 直接的で即座な反応 - グラフ!グラフ!グラフ!」を意識して行った勉強会だったのですが、予想以上に効果がよかったので非常にお薦めです。
もうひとつ。「Growth Hacker」や「Metrics-Driven Engineering」などのキーワードで検索すると、数値共有による様々な効能が語られた資料が見つかります。以下に関連リンクをリストップしましたので、ぜひあわせてご覧ください。
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