(photo: Google Logo in Building43 by Robert Scoble)
こんにちは、広告事業部でネットワーク広告の運用を担当している木原です。
今回は4月に掲載した記事の続きとして「【第2回】ネットワーク広告担当者が語るGoogle Adsenseでネットメディアの収益を最大化するポイント」をお送りします。
※前回に引き続き内容は初級者〜中級者向けにしています。
広告配信の仕組みを知る
さて、皆さんが日々運用しているGoogle Adsenseですが、誰がどのような方法で広告を出稿/管理し、どのようなロジックで広告が表示されているのかご存知でしょうか。広告収益を最大化する上で、広告配信の仕組みを知ることは非常に重要なポイントになります。
広告主・代理店が広告を出稿し、実際にあなたの運用する媒体に広告が掲載されるまでには大きく2つのステップがあります。ざっくりとまとめた配信フローのイメージと各ステップ毎の内容は以下の通りです。
STEP1 〜配信設定
広告主(個人/代理店)はGoogle Adwordsというツールを使って広告の出稿を行います。
このGoogle Adwordsというツールは普段皆さんが利用しているGoogle Adsenseの管理画面と同じような見た目で、
・キーワードの設定
・クリエイティブの登録
・予算(月/日/時)の設定
・オークション時の上限単価の設定
・配信時間の設定
・配信先の設定(デバイス指定・ドメイン指定…)
・配信方法の設定(コンテンツターゲティング・リターゲティング・オーディエンスターゲティング・プレースメントターゲティング…)
その他にもネットメディアに広告を出稿する上で必要なありとあらゆる事が可能です。
もちろん、どの媒体でどれだけのコンバージョン(目標に対する効果)があったのか?といった広告出稿を行った後の効果測定もかなり細かい単位で確認でき、その結果を元に効果の高い媒体に予算を集中させ、逆に「効果の低い媒体(ドメイン、カテゴリ、サイト単位で)には広告を出稿しないようにする事」も可能です。
STEP2 〜入札、オークション
STEP1で設定された広告は広告配信の手前でGoogleの広告オークションにかけられます。この「オークション」というのは皆さんも一度は利用経験があるであろうネットオークションのようなものを想像してもらえればよいと思います。
このオークションではまず媒体側が設定しているフィルタ(広告ブロックの設定状況等)を確認し、掲載が問題ない広告同士でオークションがはじまります。上限入札単価や品質スコアを元に順位が決まり一位の広告が実際に表示されることになります
このオークションにどれだけプレッシャーをかけられるかが収益性(CPM)をあげる
1つのポイントになります。今回はこれをメインテーマにしてお話しようと思います。
広告ブロックは慎重に
前回の記事を書いてから、いくつかの媒体を最適化させていただきましたが、共通していたのが広告カテゴリで「政治」と「消費者金融」をブロックしていたことです。確かに両方とも単語だけを見るとなんとなく良いイメージはしませんが、以下のような特性があることも知っておくとよいかもしれません。
例えば政治カテゴリですが、これは主に政党広告になります。政党広告というのは他の広告と違って選挙期間中に広告掲載が出来るかが勝負となるので、なんとしてでもオークションに勝つため入札金額を上げてきますし、高単価なプレースメント(枠指定)での出稿もあります。その結果、選挙期間中は一時的ではありますが通常時よりもCPC(広告単価)がアップする可能性があります。
次に消費者金融業というのは、2006年までインターネット広告市場を牽引し、非常に多くのネット広告予算を投下していた業種でした。その後2011年ごろまで広告出稿は停滞しますが、2012年以降徐々に回復の兆しを見せており、今でもネット広告予算全体に占める消費者金融の割合は比較的大きく広告単価も期待できる業種の一つです。
もしこの2つのカテゴリをブロックしていれば当然最初に説明した広告オークションで除外されるため収益面では非常に大きな機会損失が発生するわけです。もしカテゴリブロックされている方がいればこういった事情を踏まえた上で再検討してみてはいかがでしょうか。
オークションのプレッシャーを最大限にあげるには少し運用に手間は掛かりますが、デフォルト全カテゴリ許可設定にし、都度URL単位やクリエイティブ単位で広告ブロックを行うのがよいかと思います。
設定は管理画面上部の「広告の許可とブロック」から可能で、URL単位の停止は「広告主のURL」から、クリエイティブ単位での停止は「広告(広告レビューセンター)」で可能です。
広告タイプは「テキストとイメージ/リッチメディア」がお勧め
広告のタイプは「テキストのみ」「テキストとイメージ/リッチメディア」「イメージ/リッチメディアのみ」といった3種類の選択肢があります。これは前回の記事でも触れましたが、特別な理由が無い限り「テキストとイメージ/リッチメディア」にしましょう。その理由はやはりオークションのプレッシャーをあげるためです。
仮にイメージのみに設定していた場合、オークション時にテキストタイプの広告が高CPMだと判断されてもテキスト広告を呼び出すことは出来ずその次に単価の高いイメージ広告が選択されることになるのです。広告ブロックと広告タイプの設定を見直すだけでも収益性(CPM)が大きく変わるので是非この機会に試してみてください。
広告ネットワークとは
管理画面のパフォーマンスレポートを開くと左側に「広告ネットワーク」という項目があると思います。これは一体なんでしょうか。
冒頭でAdsense枠にはAdwordsから広告を出稿すると説明しましたが、他にもGoogle社が正式にパートナーと認めているネットワーク会社に関してはAdsense枠に自社の広告在庫を配信する事が可能となっています。これらの広告は、Googleの広告オークションにAdwordsと共に参加し、Adwords経由の広告よりも高いCPMが期待される場合そちらが優先して表示されることになります。
Google社は何故このような取り組をおこなうのでしょうか。この取り組みで「媒体者」「認定ネットワーク会社」「Google社」それぞれに以下のようなメリットが生まれます。
媒体者:競争相手が増える事によりオークションのプレッシャーがアップする
認定ネットワーク会社:自社が管理する枠以外に配信先が増える
Google社:媒体者へより高いパフォーマンスを還元する事ができ、媒体者の満足度をあげられる。
この認定ネットワーク経由の配信も「広告の許可とブロック」→「広告ネットワーク」から制御可能ですが、広告収益を上げるためには、あまりブロックしない方がいいでしょう。ちなみに、自分の媒体にどれくらいの割合で認定ネットワークからの配信があったのかというレポートも「パフォーマンスレポート」→「広告ネットワーク」から確認可能です。
たった50ピクセルでCPMは大きく変わる
それでは最後のトピックスとして前回はPC版の広告レイアウトについてお話しましたが
今回はSP版の広告レイアウトについてつい最近livedoor Newsで実装した最適化例を2つ紹介しようと思います。
「ソーシャルボタン」と「続きを読むボタン」の整理
左がbefore 右がafterですが、何をやったかというと無駄に距離をとっていた2つのボタンを整理し、広告の位置を押し上げました。この結果CPMは1.4倍にアップしました
「ヘッダのバナー広告位置を変更してみる」
これも左がbefore 右がafterですが当たり前のように設置していたヘッダバナーを記事タイトル上から記事タイトル下に移動して少し目線をかえてみました。この結果CPMが1.2倍になりました
もしスマートフォンでの運用もされている方がいればこれを参考に今一度広告レイアウトを見直してみてはいかがでしょうか。たった数ピクセルのレイアウト変更が収益増に繋がるかもしれません。
前回の記事を書いた後、広告の最適化についてお話する機会を何度か頂きました。個人的には色々勉強になり楽しかったのですがそれと同時にまだまだ最適化の方法、レポートの見方、用語の意味が分からないと困っている方が沢山いるということも知り少しでもそんな人の役に立てればと前回の記事に続き第2回を投稿させていただきました。
また皆様のリクエストがあれば第3回を投稿したいと思います。それでは!
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