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こんにちは、広告事業部のディレクターの原です。前回の「使われやすいLINE“スポンサード”スタンプとは」に続いて、今回はLINEスポンサードスタンプの具体的なバリエーションについてお話したいと思います。

2012年5月31日にリリースした「アメイジング・スパイダーマン」から数えると、スポンサードスタンプも今では100種類を超えました。LINEのユーザー数が増加するのに伴い、スタンプのダウンロード(以降、DL)数と利用数も増加傾向にありますが、スポンサードスタンプは広告商品でもあり、DLするだけではなく、実際に利用してもらわなければなりません。そこで今回は、指標の一つとしてスタンプの利用率(利用数÷DL数)を元に、ユーザーに支持されやすいスタンプと、その制作手法についてご紹介します。

ユーザーに愛されるスポンサードスタンプとは?


 
左:映画『ホビット 思いがけない冒険』 / 右:アイシティ×らき☆すた
©2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.
©Kagami Yoshimizu/Kadokawa Shoten Co./HOYA Co.

利用率の高い事例として、特徴的だったのが「映画『ホビット 思いがけない冒険』」(2012年12月4日リリース)と「アイシティ×らき☆すた」(2013年4月2日リリース)です。髪が抜け落ち、不敵な笑みを浮かべるキャラクターのゴラムは“キモカワイさ”を共有しようと利用者が続出。また、4コマ漫画から京都アニメーション制作によりアニメ化され、平野綾さんが声優を務めたオタク女子高生・泉こなたも、公式アカウントとして連動して多くの友だち獲得に成功しました。いずれも万人受けするクリエイティブとは言い難いですが、それまでの既存スタンプと差別化を図り、独自の個性を発揮してユーザーに支持されたという結果において、学ぶべきヒントがありました。

代表的なバリエーション


スポンサードスタンプは8種もしくは16種でリリースされますが、大別するとポジティブ/ネガティブな喜怒哀楽の感情系、「いいね!」や「NO」などの回答系、風呂や買物などの生活シーン系、「おはよう」や「いってらっしゃい」などの挨拶系、そして「暑い」や「メリークリスマス」などの季節系に分類することができます。代表的なバリエーション8種をLINEキャラクターで例えると以下のようになります。

   
左→右:嬉しい / 了解(いいね、OKなど) / 好き / 怒る

   
左→右:落ち込む / 頼む、謝る / 驚く / 悲しい
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スポンサードスタンプ制作時に気を付けるべきこと


スポンサードスタンプ制作時に「どんなスタンプが使われますか?」という質問をよく受けますが、必ずしも上記の感情表現を模倣すればよいとは限りません。冒頭でご紹介した“不敵に笑う”ゴラムや、“照れ笑い”する泉こなたのように、同じ“笑う”という動作一つとっても、表現方法や伝わるメッセージは多種多様です。また、スポンサードスタンプをヒットさせる要因とは、メッセージ内容だけではありません。

1. 最初に、伝えたいキモチありき


12体のポーズや顔の表情など、具体的なデザイン制作に着手する前に、まず最初にすべきなのは、伝えたいメッセージを決めることです。表情やポーズは、伝えたいメッセージを表現するための手段に過ぎません。クリエイティブチェック時には、各スタンプが意図するメッセージを文字で補足されていることもありますが、実際にユーザーが目にするのはスタンプのみなので、説明が無くても意図するメッセージが正しく伝わらなくてはなりません。制作側が意図するメッセージが伝わってこないクリエイティブでは、スタンプを送る側から受け取る側へと、大切なキモチを伝えることができません。

2. 豊富なバリエーション


13制作時には、スタンプ一つ一つのクリエイティブに目が行きがちですが、送信前にユーザーが目にするのは、他のスポンサードスタンプや有料スタンプと並列して、8種類のサムネイルが表示される一覧画面です。毎週新たなスタンプがリリースされていく中で、他のキャラクターとの熾烈な競争を勝ち抜くためには、感情はもちろん、顔のアップや全身を使ったポーズ、象徴的なアイテムや、感情に合わせた背景画像、そして寒暖やカラフルな色使いなど、表現内容が重複することなくバリエーションを豊かにして、一つ一つのスタンプの視認性を高めることが必要となります。

3. 単純明快かつ大胆に


14送信前に一覧表示されるサムネイルは、実寸大のスタンプから縮小表示されるため、文字数の多いセリフや、背景やアイテムなどの細かい描写など、サムネイル大でメッセージ内容が理解できないスタンプは、送信するユーザーの立場で考えれば使いづらいです。スタンプは文字を入力する手間なくスムーズに、リアルタイムでメッセージ画面上を流れていくため、パッと見で相手に内容を理解してもらわなければなりません。また、カスタマイズ可能なメッセージ画面の背景画像を考慮して、どんな背景に載せても視認性を保つべく、淡色ばかり使用することなくカラフルな原色を混ぜてコンストラストを強め、アウトラインは太めに引くことでキャラクターをハッキリと視認させ、シンプルかつオーバーに感情を表現しなければなりません。

4. 男は黙って…


15LINEはグローバルメッセンジャーであり、セリフが無くても、顔の表情やアイテム、背景などで感情やメッセージが伝わるクリエイティブが好ましいです。また、流行語は短期的に見れば利用数が増えますが、事前の制作期間と、4週間の配布期間、更に180日のDL期間を含め長期的に見ると、ブームが去った後の流行語は、流行語大賞に選ばれた芸人が翌年姿を消していくように、利用数が減少する危険性も否めません。

5. カンバスを有効活用


16スタンプのカンバスサイズは、ほぼ正方形となります。極端に縦長や横長なクリエイティブは、長辺に合わせて縮小表示されるため、背景含めて、正方形に近づけることが好ましいです。

6. PRはさりげなく


17スポンサードスタンプが広告である以上、企業や商品PRとの調整は避けて通れません。とはいえ、8種もしくは16種すべてのスタンプに企業名やロゴ、商品画像を過剰に入れてしまっては、ユーザーに違和感なく使ってもらうことが困難になります。また、企業や商品を想起させるポーズやセリフは、ときに利用シーンを限定させてしまうこともあり、結果として使われないのでは誰も幸せになれません。より自然な形で違和感なく、ユーザーに広告と意識させずにPRを行うのは、最大の難点かもしれません。

7. 常に変化を怖れない


18前述した感情系、回答系などのバリエーションは利用されやすい反面、既存のキャラクターと重複してしまう可能性も高くなります。例えば、LINEキャラクターのブラウンには、炎を燃やして怒っているスタンプや、紙吹雪が舞う中で喜んでいるスタンプがありますが、同様の感情表現は、他のスポンサードスタンプの中にも見付けることができます。平均的に利用されやすいスタンプの感情表現は存在しますが、飛び抜けて利用率の高いスタンプとは、孤高の一匹狼のごとく多数派に埋もれず、今までにない斬新な感情表現である傾向が多いです。

過去のヒットを模倣するだけでは、新たな発見や成功は得られません。確実に言えるのは、ヒットするスタンプとは、保守的なクリエイティブではなく、変化や失敗を怖れない、飽くなきチャレンジ精神から生まれるということです。ユーザーは、お決まりの感情表現ではなく、今までになかったキモチを伝える新たなコミュニケーションを、LINEのスタンプに求めているのだと感じています。

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