こんにちは。NAVERまとめ編集長の桜川です。NAVERまとめではタイアップ広告も行なっていますが、情報爆発の時代にあって、広告は本当に効きにくくなっています。
今回は、ユーザーに振り向いてもらえる広告を作るにはどうすればいいのか。その考えかたの基本についてお話したいと思います。


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いまの世の中には情報が溢れかえっています。朝起きればテレビをつけ、通勤中にはスマホでニュースサイトやFacebookで最新の情報を収集。職場の昼休みではPCでYouTubeなどを眺め、帰宅を前にLINEで友人と連絡を取り合う。こんなにもめまぐるしく情報に触れ続けているユーザーに、別になくても困らない広告を見てもらうのは至難のワザです。

よく言われる話ですが、広告は恋愛に似ています。ユーザーは口説き落としたい女の子。しかも相手は学校や職場のマドンナ的存在で、ライバルも多い状況です。そればかりか、その子はすごく多趣味で、週末の予定はビッチリ。どうやってデートの約束を取りつければいいのか、まったく手がかりがありません。広告の作り手は、そういう「超リア充」な女の子相手に、たいして興味を持たれていない男の子(=商品)をアピールするキューピッドにならなければいけないわけです。

モテないことを自覚することから始める


はじめから超モテモテな商品なんてめったにありません。新しくなる度に行列ができるiPhoneのような商品はひと握りです。
とはいえ、多くの商品は企業が人とお金をかけ、愛情込めて作られていますから、いいところは必ずあります。たくさんの人にはモテないかもしれませんが、気に入ってくれる人はきっといる。広告の作り手は、誰にどうやってその商品の魅力を伝えるかを、戦略的に設計する必要があります。

商品とユーザーとの関係性を見極めるためには、アスキー新書の「ソーシャルインフルエンス」という本が参考になります。この本に出てくるマトリクスを僕なりに単純化したのが下の図です。



その商品を「知っているか」と、その商品に「興味があるか」という、認知と関与のマトリクスです。この「ユーザーと商品の関係性」を考えるときも、恋愛に置き換えるとイメージしやすいかと思います。

恋愛において、相手に存在を認知されていなければ、まずは知ってもらうことから始めなければいけません。そして、好きの反対は嫌いではなく無関心。存在を知られていても興味を持たれていなければ、恋愛は始まりません。
ところが、誰もが恋愛ではイメージできるはずなのに、広告になるとユーザーそっちのけで、言いたいことばかりアピールするものも残念ながら少なくない。求めていないタイミングでいきなり現れて、聞いてもいない自分の魅力をとうとうと語る男なんてモテるはずもありませんよね?

いかに商品の存在を認知してもらい、関心を高くしてもらえるか。図の右上にある「自分ゴト」にしてもらえるための方法を考えるのが、広告の仕事になります。

例えば右下の「他人ゴト」領域の商品。知っているのに興味がないってことですから、その商品の価値を認められていないということです。価値そのものを変えて伝えてあげなければいけません。恋愛で考えるなら、誰もが恐れる学校一のヤンキーと女の子をどう結びつけてあげるか。「やだなに恐い((((;゚Д゚))))ガクブル」というイメージしかなく、恋愛対象として見られてないですから、まずその固定観念を破壊しないと、スタートラインにすら立てません。
そのヤンキーが実はぶっきらぼうなためにおっかなく見えるだけで、心優しいところがあることがわかれば、雨に濡れる捨てネコを拾ってあげていたとか、信号待ちのおばあちゃんの荷物持ちをしていたとか、「実はいいところあるんじゃん♡」となるようなエピソードを発掘して伝えてあげるのが、広告の役割です。


「ヤンキー、ネコを救う」のイメージ図

左上の非認知領域にある商品であれば、魅力が伝わりきってないわけですから、正しく商品の機能を訴求してあげます。地味なんだけど、ギターが超絶うまい男の子なら、文化祭で女の子の好きな音楽に合わせたライブを企画してあげるようなイメージです。

左下の「無関心」領域の商品は、存在を知ってもらえても興味を持ってもらえないわけですから、ひと工夫がいります。女の子の近しい友人を通じて、男の子の魅力を伝えてもらう必要があるかも知れませんし、ときには女の子の趣味に合わせて、ファッションを変えたりする必要があるかもしれません。

キューピッドの責務をまっとうするために


このように商品の立ち位置でアプローチの方法は変わります。相手の気持ちを把握して、どうやって接点を作ればいいのかは、商品によってもそのときどきによっても変化します。昔はサッカーやってる男の子が好きだったのに、いまはバンドマンに夢中みたいなことはよくある話。刻一刻と変化する「女心と秋の空」のようなユーザーのインサイトを捉え、商品との間をとりなしてあげるキューピッド。それが広告の務めです。
「あの子はお前のこういうところには興味ないけど、こういうところは気に入ってくれそう」と、商品の隠れた魅力を引き出してあげるのはもちろん、ときには「お前とあの子は向いてない。こっちの子とつき合ったほうが絶対幸せになると思う」と向き合う相手を変えるように進言することも必要かもしれない。
相談されるがまま、やりたいようにさせるのは優しさじゃありません。クライアントにとってベストな選択を促せるというのも、広告のディレクターとしては重要なスキルだと考えています。


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