こんにちは、広告事業部に所属するディレクターの川頭です。現在は主にLINEマストバイと呼ばれる広告メニューのコーディネートを担当しています。

このLINEマストバイとは、店頭で行われるLINEを使った販促施策の1つ、具体的に言えば企業が景品付販売キャンペーンを展開する際、LINEスタンプをそのノベルティ(つまりオマケ)としてご活用頂くというものです。

店頭での販促活動は、実施する立場(小売 or メーカー)によっても異なりますが、古今東西、実に様々な試みが行われてきました。「売上を拡大させること」ことを最終的なゴールとして、プッシュしたい商品を目立たせたり、お客さんにリピートして貰うための工夫をしたり、買い物し易い店内レイアウトや商品陳列を考えたり――、世にあるショップを見渡せば、その“仕掛け”を沢山見つけることができるはずです。

さらに、これがメーカーの立場となれば、販売促進を行うもう一つ手前に大きな壁が立ちはだかることになります。言わずもがな、スーパーやコンビニといった小売店の商品棚における競合製品との「場所取り合戦」ですね。メーカーとして、いくらテレビCMなどを行ったところで、そのタイミングでコンビニやスーパーの棚に自社の製品が並んでいなければ消費者は買いたくても買えませんから、ここを疎かにはできません。

コンビニでは毎週100アイテムもの新商品が発売されると言われています。言い方を変えれば、店内では毎週100アイテムが入れ替わっていることになります。「棚落ち」という言葉を耳にしたことがある方もいるでしょう。飲料やお菓子といった競争の非常に激しいジャンルでは“一ヵ月で大部分の商品が入れ替わる”なんて記事を目にしたこともありますが、決して大袈裟な話とは言い切れません。せっかく数ヶ月〜数年かけて進めてきた新商品も、1週間〜2週間という短期間でスタートダッシュに失敗し「棚落ち」してしまうと、その商品はそのまま敗者復活の可能性もなく、事実上お蔵入りになってしまうというのが昨今の消費財を巡るマーケティングの環境です。

そのような状況下で行われる大手メーカーのマーケティング活動では、コンビニやスーパーなどの限られた店内スペースに“どうやって自社商品を置いて貰うか?”ということが最重要テーマになっていると言えるのではないでしょうか。

そんな折、LINEマストバイはこれまでになかった店頭での販促活動を実現しつつあります。国内4800万人以上の幅広いユーザを対象に、スタンプというノベルティを用意したことで「数千万人へのリーチ」×「店頭への動員力」という新たなモデルを構築することができました。それは、これまでメーカーがテレビCMのスポットキャンペーンで行っていた訴求に匹敵する成果が出つつあるということです。

今回のエントリーでは、LINEを活用した店頭での販促活動とはどのようなものなのか。その特徴や実際の企画立案時に気をつけたい点まで事例を交えてご紹介したいと思っています。

1. 購入決定動機を引き出し、バイラル効果をプラス




こんなデータがあります。流通経済研究所によると「スーパーなどの量販店で購入される商品の約7割が非計画購買」だそうです。要はお店を訪れる約7割の人が、その場で購入する商品を決めているということですね。

このような非計画購買に対して行われる店頭での販促活動の一つに、購入を条件とした総付け(ベタ付け)と言われるメーカー視点の手法があります。抽選型のプレゼントなども含め、プレミアムキャンペーンだったりプレキャンとも呼ばれますね。

ちょっとした玩具だったり、フィギュアだったり、容器がそのままプレゼントになったり、ベタ付けに用いられるアイテムは様々ですが、この販促活動の目的には、購入決定動機の導出や「お得感」を出すことによって、売上向上はもちろん小売店の棚に並ぶ競合商品との差別化を図ることにあります。

LINEマストバイであれば、言わずもがな「この商品を買えばLINEスタンプが貰えるよ!」ということになるわけですが、LINEスタンプの場合には“その先”があります。プレゼントを“貰って終わり”という従来のベタ付けに対し、LINEスタンプにはユーザがその後のコミュニケーションで利用するという利点があります。スタンプを通じてプレミアムキャンペーンの情報が広がっていくわけですね。

2. 多様な店頭マーケティングに使えるフレキシビリティ




LINEマストバイでは、多様な販促活動に使える高いフレキシビリティもまた大きな特徴です。

理由は簡単です。ノベルティに位置づけられるLINEスタンプは何らかさばるものではありません。商品購入者にプレゼントするのはシリアルナンバーのみ。メーカーのプレミアムキャンペーンで「陳列棚で目立つようネックPOPにしたい」「自動販売機で販売する商品にも貼れるようシールにしたい」といった要望のみならず、「来店者全員にカードを配りたい」といった小売やショップ、イベントの来店&来場促進にも活用頂けるのです。

そうなると、「デジタルコンテンツなら何でもいいじゃん」というご指摘が聞こえてきそうですが、これまでのデジタルコンテンツではキャリアや端末の壁が高く、利用者やターゲットを制限しなければならないものも多いという実情がありました。

後述しますが、キャリアの壁を超え、無料通話をはじめとするシンプルなコミュニケーションツールとして日本国内4800万人以上のユーザにご利用頂いているLINEであれば、このような弊害もなく、男女両方の幅広い年代層をカバーしています。ゆえにどのようなターゲット層にも対応できる――、高いフレキシビリティとはこの辺りについても言えることなのかもしれません。

3. 大規模なキャンペーンほど、際立つメリット


販売促進であれ、来店促進であれ、プレゼントを活用したキャンペーンを行う際には商品数ないし来店数に応じた数のアイテムを用意しなければなりません。当然、制作コストは数に比例して上がっていくため、これらを実施する企業にとっては一つでも多くのキャンペーン商品を流通に乗せたい反面、流通数を見誤った際のリスクも大きく、その見極めが困難とされてきました。

また、アイテムには利用者の好き嫌いによる偏りが出るもの。大規模な販促活動を望んでも、これに見合った適切なアイテムを用意することがまた難しく、結果的に抽選型のプレゼントキャンペーンに転換するといったものもありました。

ただし、抽選型プレゼントキャンペーンの場合、購入者にとっては「合否の壁」が立ちはだかるため、(プレゼントの内容にもよるところですが)必ず貰えるベタ付けと比べ購入動機の導出は弱くなってしまいます。これらの点においても、LINEマストバイは過去になかった販促活動を実現できていると言えるでしょう。

前述した通り、プレゼントとして配布するのはシリアルナンバーのみ。商品流通数に応じ印刷代などの固定費は上がりますが、キャンペーン全体の予算も立てやすく商品の流通数が大規模になればなるほど限界利益率も上がっていくことになります。

そして、国内で毎日LINEスタンプをご利用いただいているユーザは、2,500万人以上とも言われていることから、広いターゲット層に対するニーズもあり、大規模な販売&来店促進に適していると言えるのではないでしょうか。

では、一連のLINEマストバイを立案する際、どのような点に気をつけなければならないのか。実際の事例を用いてご紹介したいと思います。

1. 準備期間は長く、キャンペーン全体を勘案して


12これはLINEマストバイに限らず、世のプロジェクトに共通するごく当たり前のことですね。

LINEマストバイの場合も同様ですが、その準備期間は企画立案時から半年程度あることが望ましいと考えています。スタンプの制作やシステムの構築以外にも、商品に添付するPOPやカードのデザインやパッケージのデザイン制作だったり、商品の製造ラインを確認したり、実際の流通との調整やキャンペーン事務局の立ち上げ、消費者からの質問への問い合わせ対応ガイドラインの策定まで、ネットとリアル両方の進行を勘案しスケジュールを立てなくてはなりません。

また、企業が実施する大型キャンペーンにおける1パートをLINEマストバイが担う場合もしばしばあります。ここで紹介したいのは、B-R サーティワンアイスクリーム株式会社が今秋実施しているLINEをご活用頂いたプロモーションになります。

秋のハロウィン商品販売を見据え、LINE公式アカウントを開設頂き、スポンサードスタンプを実施。スタンプキャラクターの認知向上と共に友だち数を400万人以上まで増やすことができました。

その上で“来店+ハロウィン商品購入”によるLINEマストバイを実施頂いたわけですが、同キャラクターの別バージョン・スタンプがダウンロードできる今回のキャンペーンを、開始と同時に400万人以上の友だちへ一斉に案内することができたというわけです。

このようにLINE公式アカウント、LINEスポンサードスタンプ、そして店頭でのハロウィン商品販売にLINEマストバイを組み合わせ、様々な企画を段階的に進めることでサーティワンアイスクリームの“秋”を盛り上げていきました。ちなみに、この「ワンダフルハロウィン」キャペーンは10月末まで実施していますので、ぜひお店に遊びに行ってみて下さい。

2. LINEスタンプの意味合いを考えたクリエイティブを


12ここまで何度もお伝えしている通り、LINEマストバイにおけるLINEスタンプは“購入動機を引き出すためのスタンプ”です。現在LINEで様々な企業が提供している無料のスポンサードスタンプとは、少々意味合いが異なります。

広告メニューにあるスポンサードスタンプは、ユーザに無料で配布し利用して貰うことで企業のブランディングや商品認知の向上に役立てて頂くものであり、中にはアピールしたい商品を盛り込んだり、企業色を残すようなスタンプのクリエイティブもあります。

しかし、LINEマストバイにおけるスタンプには、これ自体に商品購入を後押しする力がなくてはなりません。

日清食品株式会社「チキンラーメン」のひよこちゃんは、昨年スポンサードスタンプを実施頂き、550万以上のダウンロードを記録するヒットとなりました。すでにキャラクターの人気は実証されていましたが、今回のLINEマストバイでは、当時人気となったスタンプ・バリエーションを残しつつ、新たなクリエイティブを加えるといった工夫を凝らし、ユーザの購買意欲を後押しすることができました。

もちろん、キャラクターをお持ちでない企業も沢山あります。日本コカ・コーラ株式会社「爽健美茶」のLINEマストバイでは、講談社の人気漫画作品『GTO』『海月姫』『モテキ』『大きく振りかぶって』とのコラボレーションを実現、これをLINEスタンプとしてリリースしたことから大きな話題となりました。

また、現在展開中の江崎グリコ株式会社「ポッキー」では、お馴染みLINEキャラクターズとのコラボで描き下ろしによるLINEスタンプをリリースしました。こちらは商品パッケージなどにもご採用頂いており、キャラクターをお持ちでなくとも、ファンの購買を刺激する価値あるスタンプを送り出すことができました。
※爽健美茶キャンペーンページのイメージは、本ブログ用に加工しております

3. シンプルな設計、最小限の遷移に


12LINEが急速に伸びた大きな理由の一つに、スマートフォンに特化したシンプルなユーザーインターフェースが挙げられます。老若男女多くのユーザに受け入れられた“分かりやすさ”は、これからもLINEにとってコアの提供価値であり続けるでしょう。

このことはLINEスタンプをダウンロードする際、「シリアルナンバーを入力する」という1アクションが増えてしまうLINEマストバイなら尚、意識すべきです。LINEマストバイでは様々なキャンペーンが平行して進行することも多い分、商品購入→ダウンロードまでの流れはできるだけシンプルに設計したいもの。

開始4週間で20万ダウンロードを記録したJT「桃の天然水」では、ペットボトルに目立つ首掛けを付けることで店頭での存在感を顕著にしました。この首掛けにはシリアルナンバーを封入するとともに、ダウンロードの条件や説明を簡潔に明記、QRコードを読み取れば、1アクションでLINEのスタンプダウンロードページが立ち上がるという極めてシンプルな遷移でした。

デジタルコンテンツのプレゼントとなると、それだけで手間がかかる、あるいは複雑という印象を与えかねませんが、多くのユーザに“分かりやすい”と感じて頂けるようシンプルな設計を意識しなければなりませんね。

さて、事例を交えて色々とご紹介をさせて頂きましたが、そもそもLINEマストバイは今春リリースしたばかりのサービスです。今でこそ、販売促進型、来店促進型の利用が中心となっていますが、活用シーンのバリエーションは今後もさらに増えるでしょう。

LINEが持つポテンシャルを新たな販売&来店促進に活かしつつ、それでいてユーザファーストは崩さない。LINE株式会社では広範囲に目が行き届く気配り上手なディレクターを募集しています。

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